オレゴン魂の紹介:1976年アメリカ映画。1969年に公開され、主演のジョン・ウェインにアカデミー主演賞をもたらした『勇気ある追跡』の続編となる西部劇です。前作同様に主人公をウェインが演じ、保安官のバッジを没収された主人公が軍のニトログリセリンを奪った悪党に死闘を挑みます。
監督:スチュアート・ミラー 出演者:ジョン・ウェイン(ルーベン・J・“ルースター”・コグバーン)、キャサリン・ヘプバーン(ユーラ・グッドナイト)、リチャード・ジョーダン(ホーク)、アンソニー・ザーブ(ブリード)、ジョン・マッキンタイア(パーカー判事)、ストローザー・マーティン(シャンハイ・マッコイ)、ポール・コスロ(ルーク)、リチャード・ロマンチート(ウルフ)、ジャック・コーヴィン(レッド)、レイン・スミス(リロイ)ほか
映画「オレゴン魂」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「オレゴン魂」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
オレゴン魂の予告編 動画
映画「オレゴン魂」解説
この解説記事には映画「オレゴン魂」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
オレゴン魂のネタバレあらすじ:起
アメリカ・アーカンソー州西部地区の保安官代理ルーベン・J・“ルースター”・コグバーン(ジョン・ウェイン)はあまりにも派手に人を殺し過ぎるなどの問題行動を糾弾され、パーカー判事(ジョン・マッキンタイア)から保安官のバッジを取りあげられてしまいます。ところがある日、ならず者のホーク(リチャード・ジョーダン)の一味はルースターのかつての友人だったブリード(アンソニー・ザーブ)を道案内役に迎え、騎兵隊を襲撃して荷馬車1台分のニトログリセリンを強奪するという事件が発生しました。パーカー判事はやむなく、ルースターに報酬2000ドルと終身保安官の地位を条件にホーク一味を検挙するよう依頼しました。
ホーク一味は休息のためフォート・ルビーの町に入り、そこで伝道活動をしている牧師や先住民らを撃ち殺していきました。翌日、ホーク一味を追ってフォート・ルビー入りしたルースターは、殺された牧師の娘ユーラ(キャサリン・ヘプバーン)と父を殺された先住民の少年ウルフ(リチャード・ロマンチート)を保護しました。
オレゴン魂のネタバレあらすじ:承
ルースターはユーラらの身を案じ、安全な場所に連れて行こうとしましたが、ルーラとウルフも武器を入手してルースターに同行することにしました。やがてルースターら三人は車輪が壊れて立ち往生した荷馬車を発見しました。その時ホークはブリードと共にニトログリセリンと金の交換場所の様子を見に行っており不在、ルースターは一計を案じてあたかも加勢がいるように見せかけて一味を脅し、まんまと荷馬車を奪うことに成功しました。
荷馬車が奪われたことを知ったホークはブリードの忠告を無視してルースターの後を追い、一方で野営をしながら移動するルースターら三人の間にはいつしか奇妙な友情が芽生えつつありました。
オレゴン魂のネタバレあらすじ:転
ルースターは移動中の合間にユーラとウルフに自身の武勇伝を語って聞かせ、やがてルースターに憧れを抱くようになったウルフは将来自分も保安官になりたいと言い出し、ルースターも快く協力すると約束しました。
ホーク一味は荷馬車を奪還すべくルースターらを襲い、一時ウルフをさらってしまいますが、勇敢なユーラは自らガトリングガンを構えて一味を威嚇、何とか三人は難を逃れました。実はユーラは少女だった頃に初恋の人の影響で射撃と乗馬を習っており、ルースターは彼女の腕前と度胸に感服しました。
夜明け頃に大きな川の渡し場に着いたルースターらはいかだを調達、ニトログリセリンを載せると川を下り始めました。一足遅れて川に着いたホーク一味は先回りしていかだを止めようと目論みました。
オレゴン魂の結末
ホークの横暴ぶりに嫌気がさしていた一味のルーク(ポール・コスロ)は、ブリードに自分たちだけで密かにニトログリセリンを奪おうと持ち掛けました。二人は先回りして水中にロープを張り、スピードの落ちたいかだのルースターをルークが狙い撃ちしようとしましたが、ブリードはルースターへの恩義を優先してルークを射殺、ホーク一味が潜んでいることを教えました。激怒したホークは裏切ったブリードを射殺、ルースターたちはホーク一味と銃撃戦に突入しますが肝心のガトリングガンが川に流されてしまいました。そこでルースターは最後の手段としてニトログリセリンの箱を下流に流し、ホーク一味のところに流れ着いたところで箱を狙い撃ちしました。ホーク一味は全滅、町に戻ったルースターはパーカー判事からまたもやむやみに人を殺したことを責められますが、ユーラの必死の弁護に折れてルースターに保安官のバッジを渡しました。その後、ユーラとウルフはフォート・ルビーの町に戻ることになり、ユーラはルースターこそ男の鑑だと讃え、彼に見送られながら町を後にしました。
ジョン・ウェイン扮する「勇気ある追跡」の主人公ルースター・コクバーンが再登場する西部劇「オレゴン魂」。
1907年5月生まれの同い年のキャサリン・ヘプバーンと初共演、監督はスチュアート・ミラー。
大酒飲みで左眼に眼帯、犯罪者は容赦なく射殺する保安官ルースター・コクバーンが再登場。
白髪が増えたが、相変わらず同居人の中国人に世話を焼かれ、将軍という名の猫も健在だ。
相変わらずの逮捕ぶりで、何人殺したか覚えていないと詰問され、パーカー判事(ジョン・マッキンタイア)からバッジを取り上げられるが、騎兵隊を皆殺しにしてニトログリセリンを奪った、ホーク(リチャード・ジョーダン)一味を生け捕りすれば、賞金2000ドルと終身保安官にするという条件で追跡の旅に出るのだった——-。
古き善き西部劇というものがあるとすれば、1950年代が全盛期で、ジョン・ウェインがオスカーを獲った「勇気ある追跡」は、その終焉を飾る名作だった。
その続編を作ったのは、ハリウッドの名優に最後の華を咲かせたいという周辺の配慮があったからこそ。
そのためには、相手役が大切で、ハリウッドの盟友でありながら、共演したことがない名女優のキャサリン・ヘプバーンに白羽の矢が立った。
監督のスチュアート・ミラーはプロデューサーとして有能で、二人の初共演と「勇気ある追跡」のいいとこどりをして完成したこの作品は、アメリカでは、公開前から評判を呼び大ヒットを記録。
ただし、クオリティに関しては、前作の二番煎じの域を超えられる筈もなく、かなりどこかで観たことがあるシーンや破綻のある展開が目立っている。
それでも、勝ち気で愛らしい修道女に扮したキャサリン・ヘプバーンが登場し、ジョン・ウェインと共に旅をするうちに、打ち解けていく様は、まるで熟年夫婦を観るようで微笑ましいものがある。
大男のウェインが、ヘプバーンに言い負かされ、大人しく従う姿は、ほのぼのとしたムードが漂い、魅了されてしまう。
ジョン・ウェインは、翌年の「ラスト・シューテスト」が遺作となったが,キャサリン・ヘプバーンは、その後も大活躍したのは周知のとおりだ。
ストローザー・マーティン、リチャード・ジョーダン、アンソニー・ザーブなどに囲まれて、はまり役を全うしたジョン・ウェインにとって、本当の意味での最後の作品と言えるだろう。