ライアンの娘の紹介:1970年イギリス映画。巨匠デヴィッド・リーンがロバート・ボルトのオリジナル脚本を映画化。アイルランドの大自然を背景に、性欲を持て余した若い人妻とイギリス軍将校の道ならぬ恋を描く。アカデミー賞では助演男優、撮影の2部門で受賞。
監督:デヴィッド・リーン 出演:ロバート・ミッチャム(チャールズ・ショーネシー)、サラ・マイルズ(ロージー・ライアン)、トレヴァー・ハワード(コリンズ神父)、クリストファー・ジョーンズ(ランドルフ・ドリアン)、ジョン・ミルズ(マイケル)
映画「ライアンの娘」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ライアンの娘」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ライアンの娘」解説
この解説記事には映画「ライアンの娘」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ライアンの娘のネタバレあらすじ:起
アイルランド南部ディングル半島の寒村に暮らすロージー・ライアンは退屈な田舎暮らしに飽き飽きしていました。村の近くにはイギリス軍の駐屯地があり、その軍人たちがロージーの父親の経営するパブにやってくるのが刺激になる程度です。ライアン家はアイルランド独立の支援者ですが、その裏では村の情報をイギリス軍に流してもいました。
ライアンの娘のネタバレあらすじ:承
やがてロージーは村の学校教師チャールズと恋に落ち、その妻となります。彼が自分の生活を変えてくれると期待していたロージーですが、すでに中年となったチャールズは初夜の晩ですら彼女を性的に満足させられず、その後の生活でも彼に対する不満が蓄積してゆくのです。間もなくランドルフ・ドリアンという将校が駐屯地の司令官として赴任してきます。第1次世界大戦の塹壕戦で片足が不自由となり、さらに神経症に罹った彼は、ちょうどロージーが1人で給仕をしていた父親のパブで神経症の発作を起こし、介抱しようとしたロージーに発作的に激しいキスをします。この時は父親たちの邪魔が入りましたが、そのランドルフの行動はロージーの性的欲求の目覚めを呼びます。
ライアンの娘のネタバレあらすじ:転
彼女は後先の考えもなく彼と密会を約束し、早速翌日に森で逢引し、体の関係を持つのです。ロージーが密会を繰り返すうち、チャールズはその行動に気づきますが、自分では彼女を満足させられないことを知っている彼は見て見ぬ振りをすることに決めます。しかし、知恵遅れのマイケルがランドルフの勲章を拾ったことから、ロージーの浮気は村人も知ることになるのです。
ライアンの娘の結末
やがてチャールズは妻の浮気現場に出くわすことになり、さすがに耐えきれず家出。そして独立運動に絡んだ裏切り行為の容疑までロージーにかかり、彼女はリンチにかけられそうになります。それを庇ったのが帰ってきた夫のチャールズで、村人に暴行を受けるものの、神父のおかげで何とか助かるのです。情事に心の傷を忘れていたランドルフも神経症が治らずついに自殺。チャールズとロージーも村人たちに愛想を尽かし、2人で村を去っていきます。見送りに来たのは神父とマイケルだけでした。
この映画「ライアンの娘」は、20世紀初頭の反英運動下のアイルランドの寒村を舞台にした、巨匠デヴィッド・リーン監督の壮大な愛の叙事詩だ。
教師と結婚した居酒屋の娘が、英軍の指揮官と恋に落ち、スパイ容疑をかけられる。
人妻の不倫愛を軸に、大自然と人間の共存を、デヴィッド・リーン監督独特の重量感とスケールで描いた佳作だ。
崖を舞うパラソル、冬の荒海、官能的な森といった、各々のシーンの絵画的な美しさ。
貧困と偏見が蔓延する村への不満を、結婚で解消できず、不倫へ溺れていく人妻の心の揺れを、サラ・マイルズが繊細に演じているのが印象に残ります。
また、ヒロインに付き従う小男の純粋無垢な愛も忘れられない。