櫻の園(さくらのその)の紹介:1990年日本映画。同年の映画賞を総ナメにした名作で、中島ひろ子の出世作。ある女子高の演劇部が創立記念日式典に毎年恒例の「櫻の園」を上演するまでに至るほんの数時間のできごとを描いた作品。
監督:中原俊 出演者:中島ひろ子(志水由布子)、つみきみほ(杉山紀子)、宮澤美保(城丸香織)、白島靖代(倉田知世子)、岡本舞(里美先生)ほか
映画「櫻の園」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「櫻の園」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「櫻の園」解説
この解説記事には映画「櫻の園」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
櫻の園のネタバレあらすじ:起
桜華学園の創立記念日式典ではチェーホフの「櫻の園」が演劇部によって上演されるのが毎年恒例となっていました。当日の早朝、部員たちの間では二年生の杉山が前日に喫茶店で喫煙していて補導されたことが話題になります。部長の志水は突然髪にパーマをあててくるし、三年生の倉田は集合時間に遅刻した上にかなり緊張している様子。その上杉山の不祥事の件で緊急の職員会議まで開かれるようです。何やら不穏な雰囲気の中上演に向けて準備が進められていきます。
櫻の園のネタバレあらすじ:承
そんな中、職員会議の様子を伺いに行った倉田によると「『櫻の園』の上演が中止になるかもしれない」とのこと。色めき立った部員たちが職員室に押しかけ志水だけが残された部室に杉山が現れます。そして二人そろって呼びだしを受けた進路指導室で、杉山は髪のパーマについて「倉田さんは何か言っていたか」と尋ねます。杉山は志水が倉田に想いを寄せていることに気づいていたのです。そこに入って来た顧問の里美先生により「櫻の園」を予定通り上演することを告げられます。
櫻の園のネタバレあらすじ:転
衣装に着替えた倉田を志水が教室に呼びだし、胸元が隠れるように自作の飾りを倉田の衣装に縫いつけます。男役ばかりの倉田が初めての女役にとまどっていることを志水は察していたのです。「今からでも中止になってほしい」と倉田は志水に本音を打ち明けます。衣装に着替えた杉山が階段に隠れて煙草に火をつけようとしたとき、火災報知機のベルが響き渡ります。舞台監督の城丸が廊下を足早に立ち去る倉田を目撃しました。緊張で煮詰まった倉田がベルを鳴らしたようです。
櫻の園の結末
準備を終えた部員たちが会場に向かったあと、志水と倉田は二人だけで写真を撮ります。そこで志水は想いを倉田に打ち明け、倉田は応じます。物陰に隠れて杉山が二人の様子をじっと見守っています。杉山は志水のことが好きだったのです。二人を探しに来た城丸を制して杉山は身を潜めたまま二人を呼びます。部員たちがスタンバイする舞台袖で、杉山は、今日が志水の誕生日であることを明かします。皆が声を潜めて「ハッピーバースデー」を歌う中、開演のブザーが鳴り、部員たちは各自の想いを胸にステージへと出て行きました。
志水部長役の中島ひろ子さんが圧倒的な存在感を放っています。肩を怒らせ、姿勢を正して速足で歩く登場シーンには緊張感が漂います。さりげない演技がメインの周囲の役者陣の中で、テンションの高い、どこか異質な雰囲気を漂わせています。監督の手腕が光る作品ではありますが、その中に埋もれないオーラを放つ演技は素晴らしいです。