山椒大夫(さんしょうだゆう)の紹介:1954年日本映画。平安朝を舞台にした森鴎外の名作短編の映画化で、巨匠・溝口健二の代表作のひとつ。悪漢たちに騙された母と子供たちの数奇な生涯を描く。溝口ファンのゴダールは『気狂いピエロ』のラストでこの映画へオマージュを捧げている。
監督:溝口健二 出演:田中絹代(玉木)、花柳喜章(厨子王)、香川京子(安寿)、進藤英太郎(山椒大夫)、浪花千栄子(姥竹)、津川雅彦(少年時代の厨子王)、清水将夫(平正氏)、河野秋武(太郎)、ほか
映画「山椒大夫」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「山椒大夫」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
山椒大夫の予告編 動画
映画「山椒大夫」解説
この解説記事には映画「山椒大夫」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
山椒大夫のネタバレあらすじ:起
時は平安時代。岩代の信夫郡の平正氏(清水将夫)は、領地の百姓の窮乏を見るに見かねて、横暴な鎮守府将軍に対し臆せず道理を説きます。ところがそのせいで恨みを買い、筑紫に左遷されます。
残された妻・玉木(田中絹代)は、子である厨子王(津川雅彦)と安寿(香川京子)を育ててその留守宅を守っていましたが、いつまで経っても夫は帰ってきません。このままでは心細いため、思い切って子供たちを連れて筑紫まで旅に出ることにします。
お供をするのは下女の姥竹(浪花千栄子)でした。しかし筑紫までは遠く、女子供の足取りでは中々旅もはかどりません。
山椒大夫のネタバレあらすじ:承
越後までやってきた一行は、その辺りで悪い人買いが横行し、旅人に宿を貸すのを禁じていることを知ります。
日が暮れて困った玉木たちは仕方なく藁や薦を集めて野宿することにしますが、そこに通りかかったのが巫女の格好をした女です。彼女は一行を自分の家に案内し、宿と食事を彼らに与えた上、近道となる船の手配を約束します。
喜ぶ玉木たちですが、実は全て女の計略。翌日連れて行かれた船は人買いのものでした。玉木と子供たちは引き離され、姥竹は船から突き落とされて溺死します。
山椒大夫のネタバレあらすじ:転
奴隷となった兄の厨子王と妹の安寿は、丹後の由良に屋敷を構える山椒大夫(進藤英太郎)という分限者に売られ、そこで大勢の奴婢に混じって朝から晩まで休みなしに働かされることとなります。
やがて大きくなった2人は新入りの婢から、母の玉木が遊女中君として佐渡にいることを知ります。危篤状態となった奴仲間を死骸の捨て場所まで運んだ時、厨子王は脱走を決意します。一緒に逃げようという誘いに、安寿は自分が残ると言いはります。
そして兄の逃亡時間を稼ぐため、彼女は自ら池に身を投げるのです。
山椒大夫の結末
厨子王は持っていた父の形見の観音像のお陰で関白とのお目通りが叶い、父の死を知らされます。特別の計らいで丹後の国守に任じられた彼は人身売買の立て札を立て、それを大夫の家来が打ち壊していると聞くと自ら太夫の館に出向きます。
太夫と再会した彼はその財産を没収。奴婢たちを解放するものの、安寿の死を知って落胆します。これで国守の役目を終えた彼は職を辞して単身佐渡へ。
最初は女郎屋で「中君は死んだ」と聞いて茫然とするものの、最後に住んでいたという津波に襲われた村へ行きます。そしてそこで「厨子王恋しや」という歌を聞きつけ、ようやく落魄の身となった母親と対面するのです。
以上、映画「山椒大夫」のあらすじと結末でした。
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