パッション・フラメンコの紹介:2016年スペイン映画。現在フラメンコ界の第一線で活躍するサラ・バラス。巨匠たちに捧ぐ新演目をなぞりながら、ゆかりの地や、彼女が試みて来た数々のフラメンコの革新をたどる。
監督:ラファ・モレス、ペペ・アンドレウ 出演者:サラ・バラス、ティム・リース、ホセ・セラーノ、ほか
映画「パッション・フラメンコ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「パッション・フラメンコ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
パッション・フラメンコの予告編 動画
映画「パッション・フラメンコ」解説
この解説記事には映画「パッション・フラメンコ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
パッション・フラメンコのネタバレあらすじ:起・フラメンコ界のシンボル
舞台に立ちフラメンコ界を牽引するサラ・バラス。常に進化しショーを続ける彼女は、パリ公演に向けて、フラメンコ界の過去の巨匠たちへの感謝をこめて、『フラメンコ組曲・ボセス』を作ることを決めた。公演までは三週間。舞台美術や衣装、音楽、振付など全てゼロの状態から始まった。
どの公演も全力で、常に100%以外は許さないサラは、自分にも団員やスタッフにも100%の努力を求めた。三週間での準備は無理だを思われた演目は完成し、パリのシャンゼリゼ劇場で初演を成功させた。
団員達をねぎらうサラは、努力で舞台の主役を勝ち取って来た事に誇りがあり、その熱意は団員やメンバーにも伝わっていた。
パッション・フラメンコのネタバレあらすじ:承・成功と挑戦
世界各地で公演をするサラにとって、初演の成功で終わりではなく、メキシコの公演へ向かった。
成功を納めると、リスクを冒しても次へ挑む。出来が悪かったとしても、それを受け入れて前進する事が、停滞を嫌い、常に向上しようとするサラの根底にあった。それはかつてタブラオで踊られていたフラメンコを、劇場芸術に変えたアントニオ・ガデスをはじめとした、常にフラメンコを進化にあった。
サラもまた、以前は男性のための踊りだったファルーカを踊り、当時は男装や男性の領域だという世間の批判や、師からの警告も受けたが、今では受け入れられている。
また、ニューヨークではジャズのサックス奏者と共演し、音楽と踊りで言語の壁を乗り越えるという試みも成功させた。
パッション・フラメンコのネタバレあらすじ:転・サラとフラメンコ
ダンサーとして仕事をするうえで一番つらいのは、子供を残して公演に飛び回る事だと語るサラは、かつて医師から子宮筋腫で子供は埋めないと言われ、現実逃避のために踊りに没頭していたことがあった。
その時、世界に挑戦するように言われ、音楽と踊りの他は捨てたつもりだった。しかし幸いにも医師の診断は間違っており、子供を授かった。
母になって人生の見方が変わったサラは、次に障がいを持つ児童の施設で、レット症候群の少女マルティナと出会い、舞台で障がい者施設への援助を募る活動も行うようになった。
パッション・フラメンコの結末:始まりの場所
東京はサラにとって初めての海外で、自分のルーツについて考えた場所でもあった。
18歳で来日したサラは、半年間フラメンコダンサーのアパートで暮らし、東京のタブラオでダンサーとして半年働き、その間に、来日したフラメンコの巨匠たちと出会った。それから25年の間に世界中で踊ってきたが、原点は日本にある。
カディスに戻り、世界を回ってきた成果を見せることで、サラは前向きに一歩ずつダンサーとして積み重ねている。表現方法が何であれ、誰しもが成し遂げる力を持ち、あとはそれを成すかどうかというのが彼女の答えである。
以上、映画「パッション・フラメンコ」のあらすじと結末でした。
パッション・フラメンコのレビュー・考察:挑戦し続ける強さ
フラメンコは他の芸術と同じように常に変化し続ける。しかしそれができるのは、まず前提としてそれがフラメンコであると認識することのできる、確固たるリズムの存在にある。歌が入ろうが、ギターが入ろうが、踊り子が舞おうが、そのリズムだけはけして揺らぐことなく、フラメンコの基盤として常にあり続ける。そして、けして崩れないリズムがあるからこそサラは常に自由で、新しい挑戦をすることができる。彼女は必ず故郷のカディスに戻るが、それはどんなに変化しようと回帰する場所として変わることのないフラメンコのリズムと似ている。
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