扉の陰の秘密の紹介:1948年アメリカ映画。シリアが運命的な出会いをして結婚したマークには、悪名高い殺人者の部屋を収集するという奇妙な趣味があった。しかし第7の部屋を誰にも見せようとしない。そして彼には先妻を死に追いやったという罪の意識があった。フリッツ・ラングにとって後輩であるヒッチコックを意識したところが見受けられるスリラー映画。脚本に問題のある関係者ほぼ全員に不幸な思い出を残した失敗作とされるが、ミクロス・ローザの音楽、撮影監督スタンリー・コルテスの美しい白黒撮影は十分機能し、ラング作品独特の運命のモチーフはこの作品にも読み取れる。ジョーン・ベネットの夫だったプロデューサーのウォルター・ウェンジャーが出資してベネットとラングが作ったダイアナ・プロダクションの二作目で最後の製作作品。脚本のシルヴィア・リチャーズとラングは一時真剣に結婚を考えていたそうです。
監督:フリッツ・ラング 出演者:ジョーン・ベネット(シリア・バレット)、マイケル・レッドグレイヴ(マーク・ラムフィア)、バーバラ・オニール(ロビー)、ナタリー・シェイファー(イーディス・ポッター)、ジェームズ・シー(ボブ・ドワイト)、アン・リヴィア(キャリー)、ほか
映画「扉の陰の秘密」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「扉の陰の秘密」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
扉の陰の秘密の予告編 動画
映画「扉の陰の秘密」解説
この解説記事には映画「扉の陰の秘密」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
扉の陰の秘密のネタバレあらすじ:起・突然の花嫁
裕福な独身娘であるシリア(ジョーン・ベネット)にはこれまで求婚者は数多くいたが、結婚にこぎつけたことはなかった。唯一の肉親だった年の離れた兄リックが急死した後、リックの堅実な弁護士ボブ(ジェームズ・シー)が求婚し、シリアも乗り気になる。
独身の間に最後にはめをはずすつもりで、友人のイーディス(ナタリー・シェイファー)、その夫とメキシコに旅に出るが、街で一人の女をめぐって二人の男がナイフを手に戦う場面に出くわす。その時、自分を見つめる男の視線を感じる。それがマーク・ラムフィア(マイケル・レッドグレイヴ)だった。
君の顔を見るとサイクロンが来る前の静けさを思い出すと言うマーク。シリアは彼こそ自分が待っていた男だと気づく。二日後、結婚を決め、イーディスを付き添いにして古い教会で、建築家で建築雑誌の発行者でもあること以外何も知らない男と結婚する。
結婚初夜、宿の女将も「じらすのよ」と言うことだし、シリアは部屋に内側から鍵をかけるいたずらをしてマークを待つ。だが、マークは一度ドアを開けようとした後、庭に行ってしまう。シリアにマークは、「電報が来た、雑誌を売却するために直ちにニューヨークに行く」と告げる。その後、シリアは宿の女将に電報など来ていないことを教わる。
扉の陰の秘密のネタバレあらすじ:承・新婚家庭
マークからの手紙にしたがい、シリアはマークの屋敷がある、ニューヨークに近い田舎町レヴェンダー・フォールズに向かう。駅で彼女を迎えたのはマークではなく姉のキャリー(アン・リヴィア)。屋敷に着いてマークにデイヴィッドという息子があることをシリアは初めて知る。
そしてもう一人、屋敷には使用人の他に、マークの秘書であるロビー嬢(バーバラ・オニール)が住んでいた。彼女はかつて火事からデイヴィッドを救った時に顔にひどい傷を負った。キャリーによるとそれを負い目に感じるマークが彼女を雇い続けているのである。
翌日、ニューヨークから帰ってきたマークをシリアは駅に迎えるが、突然冷たい態度をとられる(シリアが襟につけたライラックの花のせいだと後でわかる)。傷ついた彼女はニューヨークに去ってしまおうかとも思ったが、結局自分はマークを愛していると思いいたる。夜屋敷に帰って来たマークは元のように優しかった。
1週間後、二人の結婚を報告するパーティーのために屋敷に多くの友人・知人が招かれる。ボブはシリアが彼女の資産をマークが自由に使えるようにしたことを心配する。マークは借金まみれだったのだ。
その日、マークは自分の趣味である、部屋のコレクションをお客たちに見せる。それはいずれも恐ろしい殺人の行われた部屋を再現したものだった。部屋がその住人の運命に決定的影響を与えることがあると考えるマークと精神分析を学んだ女性招待客との間で意見の対立が起きる。だが、最後の七つ目の部屋だけは鍵がかけられていてマークは人に見せようとしなかった。
扉の陰の秘密のネタバレあらすじ:転・第7の部屋の秘密
マークとデイヴィッドのいさかいの仲裁にシリアが入る。デイヴィッドはシリアに、「彼の母エレノアを殺したのはマークだ」と口走る。愕然とするシリア。キャリーは、「エレノアはマークを愛していたのにマークは彼女を愛していなかったことが病身のエレノアの生きる気力を奪った」と説明する。
シリアは、七つの目の部屋を見ればマークの秘密がわかるのでは思う。七つの目の部屋の鍵の型をロウソクでとろうとしてマークの部屋に忍び込むとき、シリアはロビーの秘密を知る。彼女の傷は既に整形手術で消えていたが、マークの近くにいたいためにスカーフで常に顔を隠していたのだ。シリアは秘密を他言しないことを約束する。
イーディスに作ってもらった合鍵が届き、深夜、シリアは第7の部屋に忍び込む。その部屋は死んだエレノアの部屋、つまり今のシリアの部屋のコピーだった。いつか自分が殺されると思ったシリアが部屋を出ると、愛のために次々と妻を殺したドン・イグナツィオの部屋のドアが開いている。マークに気付かれた。シリアはロビーの手引きで駅へ逃げようとするが、シリアの前に霧の中からマークが現れる。
扉の陰の秘密の結末:記憶を蘇らせる
翌日、マークは夫婦の仲を裂こうとしたロビーを解雇するが、ロビーはシリアが顔の傷の話をしたせいだと勘違いする。その日はデイヴィッドが入る学校の件で、デイヴィッドとキャリーがニューヨークに行き、使用人も休暇で屋敷にはマークとシリアだけになる。
マークはシリアを殺したくなる自分を恐れ、一度はニューヨークへ行くと言って屋敷を出るが、駅から引き返す。シリアは第7の部屋にマークの亡母の好きだったライラックの花束をもっていくが、そこにはマークが待っていた。シリアをスカーフで絞殺するために近づこうとするマークに、シリアは彼の封印されていた記憶をたどらせる。
その夏、10歳のマークは大好きだった母が子供だった彼を部屋に監禁して男とダンスに行ったことで母への憎悪を抱いた。その時の母の代わりにシリアを今殺そうとしているのだ。だが、シリアはその時マークを部屋に閉じ込めたのが母でなく、キャリーがいたずらをしたのだということを教える。
その時、部屋に煙が立ち込めてくる。外から鍵をしめられてしまったドアを押し破ると、火の手が廊下に回っている。マークは命からがらシリアを助けて外へ逃げる。今夜はシリアしかいないと思っていたロビーがシリアを殺そうと放火したのだった。
命の危険を逃れた二人は夫婦として長い道のりを歩み始めるのだった。
以上、映画「扉の陰の秘密」のあらすじと結末でした。
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