進軍の紹介:1930年日本映画。飛行機が大好きな青年・孝一は、令嬢・敏子に淡い気持ちをいだいていました。彼は念願かなって飛行機の整備士の職に就く事ができましたが、敏子との仲は誤解によりこじれてしまいました。そんな時、ついに戦争が始まり、孝一にも召集命令がかかります。
監督:牛原虚彦 出演者:孝一(鈴木伝明)、敏子(田中絹代)、史郎(高田稔)、庄作(藤野秀夫)ほか
映画「進軍」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「進軍」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「進軍」解説
この解説記事には映画「進軍」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
進軍のネタバレあらすじ:起
孝一は三度の飯よりも飛行機が好きと言う田舎の青年です。趣味で飛行機の模型を作っては、空に憧れる毎日を過ごしていました。ある日、彼が外で農作業をしていると一機の飛行機が不時着しました。彼は思わず駆け寄ると、本物の飛行機を前に興奮してパイロットと話し、名刺をもらいます。 その頃、彼の頑固な父親・庄作が、丘の上の邸宅へと向かう車の運転手と言い争いをしていました。孝一は仲裁に駆けつけましたが、すったもんだの末に運転手が鶏を轢いてしまったため、文句を言いに行けと無理やり車に乗せられてしまいます。車には令嬢・敏子が乗っていました。横暴な運転手と違って、彼女はしきりに頭を下げ、困った顔をしています。孝一は申し訳なく思い、途中で車を降りると家路に着きました。
進軍のネタバレあらすじ:承
ある時、孝一が近所の子供たちと模型の飛行機を飛ばして遊んでいると、何かを見つけた子供たちが大声で彼を呼びます。見ると一頭の馬が暴走しており、なんと馬の上には敏子が乗ったままなのでした。急いで馬にまたがる孝一。あっという間に敏子の馬に追いつくと、颯爽と彼女を助けてあげます。おろおろと見ている事しか出来なかった彼女の父親は、孝一に深く感謝し邸宅へ招きました。 彼の飛行機の模型に感動した彼女は、自分も飛行機が大好きで、実は兄が陸軍の飛行大尉なのだと言います。そして、飛行機の模型を二つばかり自分にも作ってほしいとお願いしました。孝一は飛び上がらんばかりに嬉しくなり、その日から寝る間も惜しんで模型作りに励みました。彼は敏子に淡い気持ちを抱いていました。それ以来、二人はよく一緒に出かけて、飛行機を飛ばしては原っぱを駆け回り、笑いあいました。
進軍のネタバレあらすじ:転
ある日、孝一がふらっと敏子の邸宅へよると、軍の関係者が集まった宴の真っ最中でした。敏子は方々に愛想良くお酌をしていましたが、酒で勢いづいた彼らは中尉と敏子の事をはやし立てたり、本物の飛行機に憧れて模型を作る孝一を小馬鹿にしたりと、彼のプライドを傷つけていきました。必死でかばおうと、「東京へ行って飛行家になるためのお金なら出してあげる」という敏子の親切も、貧乏人の彼にとっては悔しい申し出です。彼は悲しくて悔しくて、邸宅を後にします。 家へ帰ると、苦しい胸の内を両親に打ち明けました。どうにかして東京へ行かせてくれと泣いて頼みます。すると父親は息子の心中を察して、東京で勉強して見返してやれ!と送り出すのでした。 一方、敏子は宴での一件を気に病んでいました。そんな所へ孝一から東京へ行くという手紙が届きます。彼はもう故郷を発った後で、敏子は誤解も解けずに別れる事になり、悔やむばかりなのでした。
進軍の結末
さて、いつかの飛行士からもらった名刺を当てに、彼は飛行機の整備士になっていました。自由に大空を飛ぶ事はまだ出来ませんが、本物の飛行機に囲まれて彼は幸せでした。敏子の兄・史郎とも顔合わせをしました。敏子は史郎への手紙に孝一の事を書いていたようですが、二人の仲がこじれている事は知らないようでした。 ついに戦争が始まりました。整備士である孝一も若くて有望であると認められ、召集命令が出されます。孝一は二度ほど故郷へ帰りますが、敏子の事は避け続けていました。そんな孝一の行動に胸を痛めた敏子は、史郎に直接相談しに行きます。史郎は二人の仲を上手く取り持ち、出兵前に誤解を解いたのでした。 いよいよ出兵です。戦火は酷くなる一方で、何人もの犠牲が出ました。そんな中で史郎も被弾し、窮地に立たされます。ペアで飛行機に乗っていた孝一は重要書類を引き継ぎつつ、史郎を司令部まで運びました。幸い史郎の傷は浅く命に別状はありませんでした。 かくて、日本は勝利をおさめ、故郷へ帰る汽車の窓には史郎と一緒に笑いあう孝一と敏子の姿がのぞいているのでした。
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