怪談新耳袋 幽霊マンション の紹介:2005年日本映画。呪われたマンションのホラーという単純な話でなく、2人の少女の共鳴と哀しみの復讐を描く。
監督:吉田秋生 出演者:黒川芽以(大和愛実)、大和充(吹越満)、愛(前田綾花)、布袋雅美(英由佳)、出雲高志(細田よしひこ)、出雲夕一(清水審大)、出雲典子(伊佐山ひろ子)、恵比寿布施(谷津勲)、安田洋子(恵比寿の妻)、根岸季衣(寿アケミ)、曽根英樹(ショウ)、滝沢涼子(大黒真理子)、佐々木すみ江(マンションの向かいに住む老女)
映画「怪談新耳袋 幽霊マンション」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「怪談新耳袋 幽霊マンション」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「怪談新耳袋 幽霊マンション」解説
この解説記事には映画「怪談新耳袋 幽霊マンション」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
怪談新耳袋 幽霊マンションのネタバレあらすじ:起
冒頭で男が娘と電話をしながら何かから逃げています。娘は父親に「もう大丈夫、みんな殺したりしない」と父に状況を伝えました。父親は何とか家に戻りますが、複数の手に襲われました。フリーライターですがなかなか芽が出ない父と敷金礼金ゼロの古いマンションに引っ越してきた愛実。彼女は母親を交通事故で亡くしていて父親の充と父子家庭で暮らしています。父親は妻の死から立ち直れず、仕事もうまくいかないためお酒を昼間から家にいて飲む生活ですが、愛実を高校に通わせてはいるのでパソコンに向かって仕事はしていました。親子二人が引っ越してきた当日。住民は温かく彼らを迎え入れますが、引っ越しの荷物の段ボールに書かれた愛実の「愛」の字が見えた途端に不吉なものを見たように一斉に怯えだします。彼女の名前が愛実であることを知るとほっとします。住人達は荷物運びを手伝ってくれましたが、明らかに何かを隠している様子です。それから愛実は管理人の寿からこのマンションのルールとして深夜0時までに帰宅し、マンションの中にある岩と縄で作った結界をくぐらなければならない、「愛」という名を呼んではいけないという奇妙な規則がある事を聞かされました。
怪談新耳袋 幽霊マンションのネタバレあらすじ:承
写真の母に向かってこんなところに住みたくなかった、と涙を流して不満を口にした後、父にお酒を買ってくるように頼まれて渋々買い物へ出掛けました。ふと、マンションに自分と同じ年くらいの若い女の子がいる姿を目にしますが、その子は消えてしまいます。その様子を見ていた幼い男の子と女の子の子ども二人に遭遇した愛実は子ども達が落としていったアンティークのビスクドールを届けようと彼らの後を追いかけますが、彼ら一家は丁度荷造りが終って引っ越すところでした。後日、引っ越し先を調べてその家族に会いに行きます。公園にいた元住人で愛実が住んでいる部屋を使っていた滝沢涼子とその子ども達を見かけてマンションについて聞き出します。彼女は「前の住人が引っ越し、新しい住人が来ることで前の住人は呪いから解放される」と言い、自分達家族が体験した恐怖を愛実に話しました。滝沢一家もマンションの前の管理人の老女から例の規則と、彼らの子供の長女の名前が「愛」であることを指摘され、普段から愛ちゃんの名前だけは口にするなと奇妙な忠告を受けて不審に思います。長男が夜中に寝ていて何かに引きずられているのを見た滝沢夫妻は、引っ越す事を話し合いました。その翌日、娘の愛と長男が遊んで騒いでいる最中に、長男が愛の首を唐突に絞めているところを見て二人を引き離そうとしますが、長男が「手が離れない!」と喚きます。一向に2人を離す事が出来ない為、涼子は「ごめんね・・・」と言って包丁で長男の手を切断しようとしますが、危機一髪で二人の子供は解放されたのでした。それから愛は「二度と私の名前を呼ぶな」と言って口から泡をふいて倒れてしまいました。それ以来、引っ越しを決意した滝沢夫妻。涼子は公園のブランコに座る二人の子供に呼び掛けますが、彼らは手を繋いだまま俯いていて反応しません。涼子は愛実に言います。「やっと普通に子ども達の名前が呼べるわ。この子達もう中学生なのよ」と。しかし、ブランコにいる涼子の子ども二人は小学校低学年生くらいにしか見えない引っ越した時のままの幼い姿でした。
怪談新耳袋 幽霊マンションのネタバレあらすじ:転
そんな愛実にも優しく接してくれる同い年の男の子、高志と知り合いました。高志も同じマンションの住人で、愛実は彼に淡い恋心と精神的な安心感を感じます。しかし、彼の父が大阪に転勤が決まってしまい、引っ越すことになりました。引っ越す日当日に、高志に母からの御守りを託す愛実。必ずまた会える事を信じて二人は別れました。しかし、引っ越しの途中で高志の母は怯えだし、三人は人の多い喫茶店に入りましたが、高志はセーラー服を着た少女の霊に襲われ、父母を殺され、追い詰められます。電話がかかって愛実からだと思い、携帯で会話しますが、相手は愛実に化けた少女の霊で高志もまた両親と共に喫茶店で手を握り合ったまま不審死を遂げてしまいました。その事をラジオのニュースで知った愛実は号泣します。父親は幽霊マンションの噂をただの作り話と相手にしません。同じアパートの住人が次々と襲われていきます。元々一流企業で務めていた布袋夫妻は夫の布袋が仕事にありつけず、餓死寸前の生活を送っていました。その為、ゴミ箱を漁る妻、由佳を愛実は高志が引っ越す前に見かけたことがありました。布袋夫妻は結果、お互いの腕を切り付けて傷口を食べ合うおぞましい手段に出て亡くなりました。ホステスの仕事をしているアケミとその若き恋人、ショウ。アケミが仕事に出掛ける間際にマンションの異変とアケミがこんな所に住もうと言わなければと怒りをぶつけてから彼女にパチンコ代をせびります。帰りが遅くなったアケミは時計を見ながらタクシーに乗りますが渋滞していてタクシー代も足りず、アケミは逃げ出します。パニックになっている所を自転車で探しに来ていたショウと遭遇し、何とかギリギリに結界をくぐり抜けられました。管理人の寿夫婦も謎の軍隊の霊に襲われ、妻は殺されそうになりますが何とか助かりました。愛実の父、充は幽霊マンションの事を記事にして出版社に売り込もうとします。そこを寿夫妻や他の生き残った住民達に阻止され、襲われます。充と愛実は家じゅうの紙を燃やして部屋の中に侵入する住民達を残して外に逃げ出しました。そして愛実は幽霊の正体を突き止めるから先に逃げる事を父に提案します。
怪談新耳袋 幽霊マンションの結末
愛実は女の子の霊を見た部屋に入り、彼女が壁の中の空間に閉じ込められて白骨化している姿を見て胸を痛めました。愛実も無数の手に襲われ、住民達に取り囲まれますが、「やめて・・・もう自由になりたい」と訴えるとその手は遠のいてゆきました。やがて父を電話で呼び出し、結界の中に入れた愛実です。ところが愛実は充に言いました。「お父さんのせいなんだよ、人が嫌がる事をしちゃだめだよ」充は訳が分からず汗だくになって頷きますが、愛実が父を入れた結界は実は結界外で、充は何者かに襲われて死にました。愛実は「いい気味」と言って向かい側にいる同い年ぐらいの少女と向き合います。その子こそ、マンションの幽霊、愛でした。愛実は充から近親相姦を受けていたのです。充は酒に酔って娘の部屋に近づくと、寝ようとしている愛実の布団を捲り、襲ってきたのでした。そして、愛は霊となり、襲われている愛実を心配して見守っていたのです。愛もまた愛実と同じ傷を抱えていました。亡くなった日、学校から帰ると、父に呼び出され、暴力を受けました。「やめてー!お父さん!もういやあー!」愛も恐らく長期的に虐待を受けてきたのでしょう。愛は抵抗し、父の顔を蹴って逃げ出そうとしますが、父は逆上して「このバカ野郎―!」と叫び、愛を押し倒すと彼女の首に手を掛けて思い切り絞め、人生をを奪ったのです。愛が傷つけられて亡くなった恨みは滝沢夫妻の2人の子ども、愛と長男にその記憶を蘇らせるかのように憑りついたのでした。同じ境遇の愛と愛実。2人は共鳴し、住民達が全員いなくなった後、愛実は白骨化した愛の遺体に寄り添います。「大丈夫、みんないなくなった。これからはずっと一緒にいようね」。愛実は愛に友達のように話し掛けました。彼女達はようやく、悪魔から解放されて自由になれたのでした。
虐待してた父親達は悪いけど、マンションの他の住人達は関係ないんじゃないのだろうか。単なるとばっちり?