醜聞〈スキャンダル〉の紹介:1950年日本映画。当時新進気鋭の監督だった黒澤が、「報道の自由」を盾にプライバシーを侵害するジャーナリズムを批判した異色作。その後の過剰な報道合戦を予見したような映画となっている。キネマ旬報ベスト・テンでは6位にランクイン。
監督:黒澤明 出演:三船敏郎(青江一郎)、山口淑子(西条美也子)、小沢栄太郎(堀)、志村喬(蛭田乙吉)、桂木洋子(蛭田正子)、三井弘次(アムールの記者)、ほか
映画「醜聞〈スキャンダル〉」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「醜聞〈スキャンダル〉」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
「醜聞〈スキャンダル〉の予告編 動画
映画「醜聞〈スキャンダル〉」解説
この解説記事には映画「醜聞〈スキャンダル〉」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
醜聞〈スキャンダル〉のネタバレあらすじ:起
売出し中の画家・青江一郎は山にスケッチに来ていました。見晴らしの良い場所でキャンバスを広げていると、若い女性がやってきます。彼女はバスが来ないので宿屋まで歩くつもりでした。青江もちょうどそこに宿泊予定だったので、彼女をバイクに乗せてやります。
その様子を偶然見かけたのが、雑誌「アムール」の記者とカメラマンです。彼らはその女性が有名な声楽家の西條美也子だと気づき、バイクの後を追って宿屋へ宿泊します。早速、写真を取らせてもらうように交渉しますが、写真嫌いの美也子はそんな要求を受け付けません。
醜聞〈スキャンダル〉のネタバレあらすじ:承
記者たちは諦めきれずに塀の外から部屋の様子をうかがいますが、ちょうど折よく青江が美也子の部屋に挨拶にきたため、二人が体を近づけたところを撮影します。東京に帰った彼らがその写真を見せると、社長兼編集長の堀は大喜びです。
それらの写真は「恋はオートバイに乗って」とタイトルを付けられて大々的にアムールの紙面を飾り、街角にも二人の写った広告が何枚も貼られます。憤懣やる方ないのは事実と違う報道をされた青江です。彼はアムールの編集室に乗り込み、堀を殴りつけます。しかも堀は報道内容を訂正もしません。
醜聞〈スキャンダル〉のネタバレあらすじ:転
青江は美也子の家を訪ねて一緒に告訴する相談を持ちかけますが、彼女はさらにスキャンダルが広がることを恐れて断ります。その夜、自分一人で戦おうと決心した青江の家に、ある男が姿を見せます。彼は蛭田という貧乏な弁護士。青江の一件を金もうけのチャンスと見て、今回の訴訟を引き受けるためにやってきたのです。
胡散臭い蛭田に青江も用心しますが、翌日その娘・正子が結核で寝たきりなのを知り、思い切って彼に訴訟を任せます。ところがカネがほしい蛭田は青江に黙って堀に接近。法廷で手を抜くことを条件に10万円の小切手を受け取ります。
醜聞〈スキャンダル〉の結末
そんなことを知らない青江のところに、気を変えた美也子が訪れてきます。連名で訴訟を起こすことになり、裁判が始まります。しかし、買収された蛭田はろくに証拠も提出せず、青江側は不利に。このまま敗訴になるのかと思われましたが、蛭田の娘が死んだことで形勢が変わります。
汚い手段を使ったことを恥じた蛭田は、法廷で自分が買収されたことを告白。堀の弁護士が被告側の不正を認めたため、青江と美也子が勝利を得ることになります。蛭田はもう弁護士としては働けませんが、その魂は救われたのでした。
以上、映画「醜聞〈スキャンダル〉」のあらすじと結末でした。
この作品や「野良犬」「酔いどれ天使」そして「七人の侍」もそうなのですが、心の太いブレない人間がいて、周りの人を変えていくというストーリーは爽快感があって面白いです。
他の作品では志村さんがその役でしたが、今回は三船さんがブレない役でした。その違いも面白かったです。
他の監督ならその後の二人のラブストーリーも描きそうなのですが、それを描かない所も良かったです。