シンプル・シモンの紹介:2010年スウェーデン映画。兄のために恋人探しを始めたシモンは人の感情を読むのが大の苦手。恋愛映画のような完璧なデートは果たしてうまく行くのか?
監督:アンドレアス・エーマン 出演:ビル・スカルスガルド、マッティン・バルストレム、セシリア・フォッシュ、ソフィー・ハミルトン、ロッタ・テイレほか
映画「シンプル・シモン」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「シンプル・シモン」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「シンプル・シモン」解説
この解説記事には映画「シンプル・シモン」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
シンプル・シモンのネタバレあらすじ:応答せよ、シモン。
物理の得意なシモンは人の感情が苦手。今日も手作りのドラム式宇宙船に引きこもり中。母親は恋人と新居の準備をしている兄に電話をかけ、父親は穴からお札を差し込んでみるが反応なし。そんなシモンと話が出来るのは兄のサム。彼は宇宙船と交信する様に呼びかけた。シモンと両親を説得し、サムは彼を恋人との家に彼を招き一緒に住むことをシモンが理解しやすいように、「シモンにはサムが必要」「サムには恋人のフリーダが必要」と公式の形式で提案。アスペルガーのシモンは三人のうまく組み込み生活しようと、時間を決め、分担を決め、表情と感情の対応表をキッチンに作った。
毎朝同じ時間に兄のオートバイの荷台に乗って通勤するシモンは、いつも通る曲がり角で女の子とぶつかって頬をひっぱたいてしまう。シモンは服に「僕はアスペルガーです、触らないでください」とバッチをつけていた。
兄の恋人フリーダは元々シモンを受け入れる自信はあまり無かった。そのうちシモンの融通のきかなさに苛立ち出て行ってしまう。
シンプル・シモンのネタバレあらすじ:完璧な恋人、完璧な調査と分析。
初めはフリーダは戻ってくると言う言葉を信じるが、帰ってこない彼女を、シモンが呼び戻しに彼女の実家を訪れると、もう戻らないと言われた挙句、こうと決めたら変えられないシモン自身を否定されてしまう。
戻らないフリーダに塞ぎこんだ兄のため、シモンはサムに会う完璧な女性を探す事にする。彼は兄を分析し、兄の好きなものや家事のことなどいくつかの項目で構成した表と、ポラロイドでバスの中や街中で会った女性にインタビューしていった。その中には以前シモンがぶつかってひっぱたいてしまった女の子もいた。彼女の名前はイェニファー。項目には一つも当てはまらない、シモンの完璧とは正反対の女性だった。
シモンは自分が探してインタビューした女の子のファイルを渡し、兄の好みにぴったりのかわいい女の子を勧めた。けれど、サムは自分の思い通りの女の子とデートがしたいわけではなかった。
シンプル・シモンのネタバレあらすじ:正反対の方がうまく行く?
サムは自分の好みと同じでは惹かれないと言う事を、シモンに説明しようと、シモンに磁石を例に出し、正反対の方が惹かれるという意味を教える。ピンときたシモンは、イェニファーに兄とデートしてくれるように頼もうと、朝いつもの街角で彼女を待ち、兄とデートしてくれないかと頼む。通勤途中のシモンは答えを迫り、イェニファーは保護者と名乗り彼の仕事場を訪れた。イェニファーはベンチでシモンとお昼を食べたり音楽を聴いたりするものの、うっかり触ってしまって突き飛ばされてしまう事もしばしば、川に落ちてしまう事も。彼女はシモンに興味を持ち、仕事中の彼を家に招く。シモンは相変わらず兄とのデートを迫った。そこへ彼女の女友達が二人やってくる。
兄のサムはシモンが仕事場からいなくなったことを知り、家に戻るがシモンは帰っておらず、シモンを探すために街に出る。
一方、イェニファーとその友達に、シモンは彼なりに話をしようとするがかみ合わない。そこへ電話がかかってくる。ベランダに抜け出し話しているとシモンがやってくる。彼は彼女の表情が嬉しいから悲しいに変わった事を知った。シモンはなぜ嬉しいから悲しいに感情は変わるのか、彼女に聞いてみる。するとイェニファーは円を描いて、シモンに説明した。兄のようにシモンに分かりやすく説明する彼女に感動した彼は、やっぱりサムとデートしてくれるように頼み、友人の女の子にも頼んだ。
シモンを心配して、フリーダの家まで訪れたサムは、知らないと言われてしまう。フリーダは、サムが自分よりシモンを取ったことが気に入らなかった。そして帰宅すると、シモンも帰ってきてサムにイェニファーとのデートを迫った。サムは、自分は心配して探したのに、女の子の所にいたシモンを責め、一人でいたいと喧嘩をしてしまう。出て行ってしまうサムにパニックを起こしたシモンは、ドラム缶の中へ引きこもり、空想の宇宙へ。サムは実家に帰った。
シンプル・シモンの結末:恋愛映画のような夜を。
サムはチェック項目の、デートしたいか否かで反対が引き合うということは、「イェニファーはデートをしたい⇔サムはデートしたくない」ではないかと思い当たる。思い立った彼はドラムセットを売り払い、ヒュー・グラントの出演の恋愛映画を片っ端から観て、ケータリングを頼み、最高のデートをセッティングする事にする。協力者は職場の同僚。自動車工場で働く兄を拉致し、イェニファーの通る道に麻袋に入れて放置する。袋を開けた彼女はサムの写真を見ていたので、これがシモンの仕業だと分かり、夜まで二人でベンチで待つことにした。そんな二人は、ロッジのテラスに用意されたディナー席に案内される。シャンパンを注がれ、音楽は生演奏、バラの花束も渡され、イェニファーはこんなに映画みたいに素敵な夜をシモンがくれたのは、サムが大切だからだと言う。遠くのベンチでロッジの方を見るシモンは宇宙にも感情があるのかも知れないと思いを馳せる。そして花火が上がる頃、恋人になっているだろうと二人の所へ行くと、イェニファーは帰った後で、サムは友達にはなれそうだと言う。シモンは恋人にならなきゃ駄目だと言って、またドラム缶の宇宙船にこもってしまう。彼を慰めるサムに、シモンはイェニファーが消えてしまったと悲しむ。また会えるよと慰めていると、シモンの部屋にイェニファーが会いに来る。彼女が声を掛けるとシモンはそっと蓋を開けた。抱きしめてもいいかと問う彼女に、触ったらだめと返すシモンに、彼女はもう遅いとドラム缶の縁で触れ合っている二人の手を示した。
シンプル・シモンのレビュー・感想:シモンに映る世界
シモンがアスペルガー症候群であることは彼が外出時には必ずそれを喚起するバッチをつけたり、こうと決めた事は変えられない(変えるとうまく行かなくなる)と言うことで現れている。また彼が世界をどのよう把握しているかが、風景に数値が上書きされ、たり、人の顔の横に覚えている感情の顔のマークを出したりなどしてあり、観る側にもわかりやすくなっている。同じように私達もそれぞれ把握している世界は人によって違うのかもしれないと思わされる場面でもある。イェニファーは何度もシモンに突き飛ばされながらも、触れ合う以外の挨拶の仕方を彼女なりに考えたり、シモンは感情が無いから好きだと言った宇宙にも感情があるかも知れないと、自分の恋心の芽生えに気づかないまでも、イェニファーの喪失を悲しむようになった。サムの恋人を探していたシモンとしては誤算だったかも知れないが、変化を嫌っていたシモンが自ら変化していったのはサムも嬉しかったのではと思う。
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