負け犬の美学の紹介:2017年フランス映画。全盛期をとっくに過ぎた中年ボクサー、スティーブ。穴埋め程度の試合とレストランのバイトで家族を養っていたが、娘の夢を叶えるために、誰もが敬遠するチャンピオンのスパーリングパートナーになることを決意した。スティーブのこれまでの戦いは48戦13勝3分32敗。彼は自身の引き際のために最後の大勝負に出ることにした。チャンピオンのタレク役に元WBA世界王者のソレイマヌ・ムバイエを迎え、臨場感いっぱいのリアルなファイトシーンも見どころのひとつ。負け続け惨めな思いをしても、家族のために闘う父親、その父親を心から愛する娘と温かく見守る母親。家族愛と、信念を貫く男の姿が心を熱くさせてくれる。
監督:サミュエル・ジュイ 出演:マチュー・カソヴィッツ(スティーブ・ランドリー)、オリヴィア・メリラティ(マリオン・ランドリー)、ソレイマヌ・ムバイエ(タレク・エンバレク)、ビリー・ブレイン(オロール・ランドリー)ほか
映画「負け犬の美学」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「負け犬の美学」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
負け犬の美学の予告編 動画
映画「負け犬の美学」解説
この解説記事には映画「負け犬の美学」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
負け犬の美学のネタバレあらすじ:起
試合から帰宅したスティーブは寝ていた娘のオロールに優しくキスをしました。起きたオロールに試合の結果を聞かれ答えます。「あとちょっとで勝てた」と。スティーブは負け続けてもボクシングにしがみついているロートルボクサー。妻のマリオンからは50戦で引退することを迫られていました。殴られてばかりで身体はボロボロ、自身が出場した試合の会場スタッフにでさえ顔を覚えられていません。しかし娘のオロールは、愛情いっぱいに育ててくれる父親が大好きでした。試合を観たいとせがむオロールでしたが、いいところを見せることができないスティーブは断るしかできません。生活は苦しく、美容師をしている妻マリオンの稼ぎと自身のレストランのアルバイトでなんとか生活をしている状況。オロールが通っているピアノのレッスン代もろくに払えていません。そんな中、スティーブはパリ国立高等音楽院へ入学したいという愛娘の夢を叶えるために、ピアノを買うことを思い立ちます。
負け犬の美学のネタバレあらすじ:承
スティーブにチャンスが訪れます。チャンピオンのタレクが欧州王座をかけた試合のため、スパーリングパートナーを募集していることを知ったのです。ピアノの購入資金のため、スティーブは志願することにしました。しかし、新しい仕事を知った妻マリオンから、試合より危険が伴うスパーリングパートナーはやらない約束をしたはずだと反対されてしまいます。それでも翌日、スティーブはタレクのもとを訪れました。向かった先はラグジュアリーなホテル。練習場所はカジノを通り抜けた先の劇場にリンクが設置されていました。いつも自分が練習している汚いジムとは大違いなことに興奮を隠せません。紹介されたスパーリングパートナー仲間たちは、みな輝かしい戦績を持ち自信に満ち溢れている若者たちでした。さっそくスパーリングを開始しますが、スティーブはいい仕事ができず仲間からもポンコツ呼ばわりをされ、早々にクビになってしまいます。
負け犬の美学のネタバレあらすじ:転
翌朝、オロールのために引き下がれずにいたスティーブは、まだ薄暗い中起き上がり、ホテル前でタレクを待ち伏せします。冷たくあしらうタレクに「俺にはあんたにないものがある」とKO負けの恐怖を乗り越えた経験や重要性を必死に説きました。そんなスティーブにタレクは折れ、半ば仕方なく首をつなげました。とはいえ、やはりスパーリングでは相変わらずボコボコにされ、仲間たちからも毎回のようにダメ出しを食らうばかりでした。ところが、そんなスティーブがタレクより一目を置かれるようになる出来事が起こります。ある日の作戦会議。タレクに戦法変更を言い渡すトレーナーに、スティーブはおずおずと異議を唱えたのです。トレーナーからは相手にされませんでしたが、その後もめげずにタレクの部屋を訪れ自分の作戦を打ち明けるのです。黙ったままのタレクでしたが、確信を持った面持ちを見せました。仕事にも慣れてきたある日、スティーブはオロールとスーパーに買い物をしていると、タレクのファンから声をかけらました。スーパースターのスパーリング相手として、ファンから一緒に写真を撮ってほしいと言われる父を誇らしい目で見守るオロール。優秀な成績を収め、試合を見たいとねだるオロールにこれまで決して見せなかった練習試合に招待することにしました。
負け犬の美学の結末
タレクの公開練習の日がやってきました。客席には父のボクシング姿を楽しみにしているオロールの姿があります。タレクも観客の声援があることでいつも以上に気合が入ります。いよいよ練習試合がはじまりました。2番目のスパーリング相手にスティーブを指名したタレクは、観客に応えるかのようにスティーブをこき下ろします。タレクにボコボコにされ罵声を浴びせられ、一層喜ぶ観客とじっと耐えるスティーブ。そんな状況にオロールの顔はみるみる曇っていきます。練習試合が終わっても釈然としないオロールでしたが、スティーブは淡々と仕事をこなすことに没頭していきます。まさか娘が練習試合を見に来ているとは知らなかったタレクでしたが、やりすぎた行為に少しばかり悪いことをしたと感じ、ある日スティーブに意外な提案をしました。欧州王座をかけた大切な試合の前座に出ないか?と誘ったのです。それはスティーブの通算50試合目。マリオンと引退を約束した最後の試合が思いも寄らぬ大舞台で開催されることとなったのです。これまでに数々の負けを経験してきましが、なんとしても終幕は勝利で飾りたい。そんな思いを胸にマリオンが見守る中、スティーブの最終試合が始まりました。試合は混戦、しだいにマリオンの声援も熱を帯びてきます。大きな歓声とともに試合は終わり、判定が下されました。スティーブは最後の大仕事を終え、娘のベッドへ直行すると頭をなでながらキスをしました。起きたオロールはいつものごとく試合の結果を聞きます。スティーブはやさしく微笑むと、結果を知ったオロールもつられて微笑み抱きつきました。後日、高等音楽院の試験にて生き生きとピアノを弾いているオロールの姿がありました。それを誇らしく聴いているスティーブ。ピアノを弾き終えたときに2人には自信に満ち溢れた笑顔が輝いていました。
以上、負け犬の美学のあらすじと結末でした。
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