闇に住む女の紹介:1918年アメリカ映画。幸福な箱庭で生きてきた少女が、辛い現実を知り苦悩しながら成長していくドラマ作品。幼少から寝たきりの生活を送っていたステラ・マリスは、彼女を愛する叔父達によって大切に大切に育てられ、一切の不幸から隔絶されて生きてきた。しかし手術を受けて歩けるようになった彼女は、行動範囲が広がるにつれ世の中の貧困や悲しみの存在に気付く。更に想いを寄せていた青年が実は既婚者だったと知り、無垢なステラは深く傷つくのだった。
監督:マーシャル・ニーラン 出演者:メアリー・ピックフォード(ステラ・マリス/ユニティ・ブレイク)、コンウェイ・タール(ジョン・リスカ)、アイダ・ウォーターマン(ブラント嬢)、ハーバート・スタンディング(オリバー卿)、マーシャ・マノン(ルイザ・リスカ)ほか
映画「闇に住む女」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「闇に住む女」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
闇に住む女の予告編 動画
映画「闇に住む女」解説
この解説記事には映画「闇に住む女」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
闇に住む女のネタバレあらすじ:幸福な少女と不幸な少女
舞台はイギリス、ロンドン。幼少から麻痺を患い寝たきりの生活を送る少女ステラ・マリスは、叔父のオリバー卿、叔母のブラント嬢の屋敷で暮らしています。裕福な叔父達があらゆる下劣や悲惨からステラを遠ざけたため、彼女は優しい夢の国で、悲しみも貧困も死も知らないまま穏やかに生きてきました。
ステラを毎日訪問するのは、著名なジャーナリストであるジョン・リスカです。彼はブラント嬢のいとこで、無垢で美しいステラを心から愛していました。ステラも親切にしてくれるジョンに惹かれています。
一方、ステラが存在も知らない孤児院では、「みにくいアヒルの子」と蔑まれる少女ユニティ・ブレイクが暮らしていました。要領が悪く孤独な彼女は、生涯で一度も愛されたことがありません。そんなある日、養子にする子どもを見つけるため上流階級の女性ルイザ・リスカが孤児院を訪れました。彼女はユニティに目をとめ、養子にすることを決めます。
自宅に戻ったルイザが酒を呷っていると、ジョンが帰って来ました。ステラには秘密にしていますが、ジョンはルイザと結婚しているのです。ルイザは元々平民の娘で、身分の差を超えてジョンと結婚しました。しかし酒に溺れる彼女に、ジョンの愛はすっかり冷めてしまいました。ジョンはルイザに別居を宣言し、引き止める声も無視して出て行ってしまいます。泣き崩れるルイザ。
そこにやって来たのはユニティでした。ルイザは使用人がいつも辞めたがっているため、家事をさせるために女の子を探していたと告げます。家族が出来ると思って喜んでいたユニティは、金のかからない使用人として引き取られたのだと理解しショックを受けました。
闇に住む女のネタバレあらすじ:ユニティの転機
ルイザの下で懸命に働くユニティ。しかしある日、買い物を近所の子ども達に盗まれてしまいます。恐る恐る屋敷に帰り事情を説明すると、ルイザは火のついたように怒り狂いました。そしてユニティに激しい折檻を加えます。ユニティに大怪我を負わせたルイザは、逮捕され禁錮3年を言い渡されました。
この件は「リスカ折檻事件」として新聞にも大きく取り上げられます。ジョンはユニティを見舞い、せめてもの償いとして彼女を引き取ることにしました。
半年後。怪我の癒えたユニティは、ブラント家に仮の住居を与えられます。しかし哀れまれるものの愛されはしないままその週を過ごしました。彼女が1人繕い物をしていると、ステラの愛犬がやって来て服を持って行ってしまいます。慌てて追いかけたユニティは勢いでステラの部屋に入ってしまい、その美しさと溢れ出る優しさにうっとりしました。
ステラにどんな不幸も近付けたくない叔父達は、ユニティを別の場所に移そうと考えます。そこでジョンは叔母グラディスに家を開放して貰い、自分が住むことにしました。そして管理をグラディスとユニティに任せます。ユニティは叱られることを恐れ、嘘や言い訳ばかりしていました。ジョンは、ユニティを愛している自分達に嘘をつくのはいけないことだと諭します。誰からも愛されなかったユニティは感動して涙を流し、同時にジョンに恋心を抱きました。
闇に住む女のネタバレあらすじ:ステラの新しい世界
ステラは手術を受け、奇跡的に歩けるようになりました。3年もすると自由に動き回れるほど回復します。一方ルイザは刑期を終え、リスカ家に戻って来ました。ルイザはジョンに未練を抱いていますが、関係の修復は最早望めません。ルイザは塀の中でもゴシップによって、ジョンがユニティを養子にしたことや、ステラと親しいという評判を知っていました。
ある日、散策中のステラの前に貧しい母子が現れ、施しを求めます。驚いたステラは大金を渡そうとしますが、叔母から止められてしまいました。ステラにとって、家もなく、飢えで死にかけている人がいるなど信じがたいことです。ステラは屋敷から出て世界が広がったことで、少しずつ世の中の不幸を知っていきました。その度に深く悲しみ、傷つきます。
ステラはジョンがどんな風に暮らしているのか知りたいと思い、彼に内緒でグラディス家を訪ねました。応対したのはユニティです。ステラはユニティのことを覚えていました。ユニティはジョンが頻りにステラのことを話すと明かし、好きなのだろうと言います。するとステラも彼を愛していると告げました。やがてステラとジョンの想いは通じ、2人はキスを交わします。
闇に住む女のネタバレあらすじ:残酷な真実
ジョンはこれ以上嘘をつけないと、ステラにルイザの存在を明かそうとしました。しかしステラが傷つくことを恐れるオリバー卿は思いとどまらせます。ところが、ステラは誰にも内緒でリスカ家を訪ねてしまいました。きっと素敵なお城だと信じ込んでいた彼女の前に現れたのはルイザです。
ルイザは意地悪く笑い、ジョンの妻であることを明かしました。ステラはあまりのショックに覚束無い足取りで帰宅します。残酷な真実に打ちのめされた彼女はジョンを拒絶し、悲しみに泣き崩れてしまいました。ステラの愛を失ったジョンは絶望し、自殺すら考え始めます。
その憔悴ぶりに心を痛めるユニティとグラディス。グラディスは、ルイザが生きている限りジョンは自由になれないと語ります。悲しみはステラの心からも一向に去りませんでした。ステラは慰める叔母に対し、彼らの優しい嘘を非難します。そんなステラに、叔母は赦すことを学ぶよう訴えました。
オリバー卿はジョンを連れ出し、気晴らしに船に乗ることにします。それを電話で聞いたユニティは、ある決意を固めました。
闇に住む女の結末:尊い犠牲
翌日の夕暮れ。ユニティはリスカ家に忍び込み、二度とステラを傷つけるなとルイザに警告します。しかしルイザはステラの心を壊すまでやめないと笑いました。ユニティは静かにポケットを探り、屋敷から持ち出した銃でルイザを射殺します。そして自らも命を絶ちました。
その後、警察から事件を知らされたジョン。ユニティは彼に遺書を残していました。「あなたはこれまでに私に優しくしてくれた唯一の人です あなたとステラ・マリスさんを祝福し、あなたを幸せにします」と綴られていました。ユニティは愛するジョンの幸福のため、自ら犠牲になったのです。
ステラは叔母に「私は 幸せは私たち自身の中にあると理解し始めてます」と語りました。ステラはジョンを赦し、彼の不幸を受け止めます。2人が新たな幸福を歩み始め、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「闇に住む女」のあらすじと結末でした。
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