スティーブ・ジョブズの紹介:2015年アメリカ映画。「最低な男が、最高の未来を創った。」というキャッチコピーで、1971年から2011年までのスティーブ・ジョブズを描いたヒューマン・ドラマ映画です。2013年サンダンス映画祭でクロージング作品として上映された。主人公のスティーブ・ジョブズ役をアシュトン・カッチャーが、Apple社の共同設立者のスティーブ・ウォズニアック役をジョシュ・ギャッドが演じました。
監督:ダニー・ボイル 原作:ウォルター・アイザックソン 出演:マイケル・ファスベンダー(スティーブ・ジョブズ)、ケイト・ウィンスレット(ジョアンナ・ホフマン)、セス・ローゲン(スティーブ・ウォズニアック)、ジェフ・ダニエルズ(ジョン・スカリー)、ほか
映画「スティーブ・ジョブズ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「スティーブ・ジョブズ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
スティーブ・ジョブズの予告編 動画
映画「スティーブ・ジョブズ」解説
この解説記事には映画「スティーブ・ジョブズ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
スティーブ・ジョブズのネタバレあらすじ:1.プロローグ:2001年、歴史に残るiPod誕生
2001年、Apple社のスタッフ・タウンホール・ミーティング、独特の歩き方でステージにあがる1人の男がいました。彼こそが世界のコンピュータ業界の風雲児“スティーブ・ジョブズ”です。ジョブズは社員たちからスタンディング・オベーションを受けながらステージに立つと、プレゼンテーションを行いました。ジョブズは「これから君たちにすばらしい物を見せよう。それは世界でまだ誰一人として目にしてない物。…それはハートのためのツールだ。そして、誰かのハートに触れることができれば、可能性は無限になる。…1台の音楽プレーヤー。それで1000曲もの音楽がポケットに入る。それでは紹介しよう」と言うと、小さなチームで極秘裡に開発、完成したiPodを、履いていたジーンズのポケットからおもむろに出しました。社員たちは、総立ちで大きな拍手を送り、祝福しました。
スティーブ・ジョブズのネタバレあらすじ:2.大学時代のジョブズ
1974年、オレゴン州のリード大学、ジョブズはキリスト教・ユダヤ教・イスラム教・アニミズム・坐禅・ヒッピー文化などに魅入り、無精ひげをはやし、校内を裸足で歩いていました。既に大学を退学していたジョブズは、声をかけてきた友人に「高等教育の価値は否定しないけど、その分、経験から学ぶ機会を失っている。大学はシステムを産み出すシステムだ」と言い、その友人にも退学を勧めました。優秀だったジョブズは、ある教授に声をかけられ、成長分野の電子工学の授業に受けるよう勧められますが、彼は「親の金を使って、学位を取って、平凡な技術者なんてなりたくはありません」と言いのけました。その時、ジョブズはふと、木の下でカリグラフィー(西洋書道)授業の課題で絵を描いている女性に目を留めました。その授業は修道士“ロバート・パラディーノ”という人物が講師をしていました。ジョブズは、彼女の魅力的な絵を見て、そのカリグラフィーの授業だけ受けました。パラディーノの授業は独特で、ある日は座禅をして、まるでそれはジョブズが高校時代にLSDを試し、バッハの曲を奏でる麦畑の上にいるような素晴らしい幻覚体験をしているようでした。パラディーノは「問題は何者として生まれたかではなく。与えられた時間をどう生きるかだ。死を迎える時は決まっている。人生は心の平安。命の完成を目指す旅」と語りました。この言葉は、ジョブズの心を大きく動かしました。ジョブズは、その言葉を胸にインドに旅に出ました。ジョブズはそこでダニエル・コトキーと出会い、一緒に放浪の旅をしました。そこで「できる限りシンプルに生きよ。人生なんて、どんなに単純で幸せかに驚くだろう」と言う言葉に、また、ジョブズは大きな影響を受けたのでした。
スティーブ・ジョブズのネタバレあらすじ:3.友人“スティーブ・ウォズニアック”の発明
旅から帰ったジョブズは、ビデオゲーム会社のATARI社で働きました。しかし、ジョブズは他の社員の制作したゲームがつまらないと、直ぐにその社員を罵倒しました。ジョブズは他の社員からの苦情で、やむなく裸足をやめて靴を履くようにしていました。ただ、彼はあまり風呂に入らないので体臭などで、他の社員から苦情が出ていました。その上、他の社員の製品が気に入らないと罵倒するという態度のジョブズは、ある日、上司から「協調性を学べ。君は優秀。抜群だ。でも、最低な奴だ」と注意されました。しかし、ジョブズは「ちゃんとした物を作りたいだけだ」と主張し、「変わらなければダメだ」と言う上司に、自分だけでゲームを作らせてくれと進言しました。上司はジョブズに締め切りまでにあるゲームを作り直すことを命じ、それができれば5000ドル払うと言い、許可しました。ジョブズは早速、取りかかりましたが、1人では無理と気付き、友人のスティーブ・ウォズニアック(通称:ウォズ)に協力を求めました。ウォズは電子工学では天才的な才能を持っていました。ジョブズは完璧主義者でした。ジョブズは彼の協力を得て、締め切りまでにゲームを改良しました。その改良されたゲームをした上司は、そのすばらしい出来映えに感心し、社長に見せようと言い出しました。完璧にできたジョブズは報酬を受け取り、協力してくれたウォズの家に行き、彼に報酬として350ドル渡しました。ジョブズは彼の部屋で、彼が製作途中のコンピュータに目が留まりました。そのコンピュータは、天才・ウォズが創っただけあって、見たこともないすばらしい物で、ジョブズの目はそれに釘付けになりました。それは作業しながら、同時に画面上でその内容を見ることができるという、それまでの既成概念を潰す革命的なシステムでした。
スティーブ・ジョブズのネタバレあらすじ:4.ジョブズ、Apple社をつくる
1976年、ジョブズはウォズと、彼が働いていた大手ヒューレットパッカード社に売り込みに行きましたが、相手にされませんでした。ジョブズとウォズは、その製品に自信があったので、全くめげませんでした。ただ、ウォズはそのコンピュータは「俺みたいなマニアのための物だ。誰も欲しがらない」と言いました。しかし、これは売れると思ったジョブズは、ウォズに「見たこともない物を欲しがる奴がいないのは当然だ」と言い、スタンフォード大学でのホームブリュー・コンピュータ・クラブでプレゼンしようと言い出しました。プレゼンが苦手なウォズは嫌がりましたが、ジョブズは強引に彼を連れて行きました。その車中、ジョブズはプレゼンするための社名として、想像の果実「Apple(アップル)」を思いつき、この製品を「Apple-I」と名付け、プレゼンすることにしました。ウォズがプレゼンをしましたが、上手くできずに終わってしまいました。ウォズのプレゼンに不満を抱き会場を出たジョブズに、ポール・テレルというバイドショップというコンピュータ・マニア向けの店の店主が、ビジネスの話がしたいと言い名刺を渡して去って行きました。ジョブズはこのチャンスを逃しませんでした。早速、テレルの店に行き、ハッタリを交えて交渉して、販売契約を勝ち取りました。ジョブズは、養父母のポールとクララのガレージで、ウォズと一緒に会社を興しました。ジョブズは基盤の見た目がきれいになっていないことまで気にしました。販売契約は1台500ドルで納期は60日でした。「そこまで気にする時間がない」と言うウォズの言葉を聞き、ジョブズは友人のビル・ヘルナンデス、ビル・アトキンソン、クリス・エスピノサを連れてきました。彼らもこれから仲間として参加することになりました。ジョブズたちは、契約通りに初期ホームコンピュータ「Apple-I」を開発し、テレルの店に納品しに行きました。テレルは初めて見た物を見て「ボードだけじゃないか。私が注文したのはホームコンピュータだ。…普通の人は箱から出して、コンセントにさして、直ぐ使いたい」と文句を言いました。それを聞いていたジョブズはテレルに「絶対、売れる。…客たちにデモをすればいい。そうすればこの商品も、この店の商品ももっと儲かる」と反論しました。テレルはジョブズのその言葉通りにしようと言い、それでダメだったら、契約は破棄と言ってきました。しかし、ジョブズは「次のモデルにもきっと興味があるんじゃないのかな…」と言って、仲間たちとテレルの店から出ていきました。そして、ある日、ロッド・ホルトがジョブズのもとにやって来ました。ジョブズはロッドに、開発途中の初の一体型パーソナルコンピュータ「Apple-II」を見せ、熱効率の良い静かな電源を作って欲しいと頼みました。それは不可能に近い物でしたが、ジョブズは妥協しませんでした。ロッドは報酬1日200ドルで不可能と判断した場合は降りるという約束で、仲間なりました。
スティーブ・ジョブズのネタバレあらすじ:5.マイク・マークラとの出会い
ジョブズは、さらなる開発のための資金調達のため、ベンチャーキャピタルに片っ端から電話し、増資を依頼しますが、ことごとく相手にされませんでした。そんな、ある日、マイク・マークラが突然、やって来ました。マイクはジョブズが150回電話したベンチャーキャピタルの友人でした。マイクは元インテル社で勤めていました。「リスクを取る覚悟はある。ここにはリスクはたっぷりある。だが将来性を感じさせるリスクだ。君の目に将来性を見た」と言い、マイクはまず9万ドル投資して様子を見ようと言いました。その額に驚くウォズたちだが、それに対して、ジョブズは「9万ドルじゃ不十分。僕たちには十分。だが、あなたには十分とは思えない」と言い、マイクにとってもさらに良い条件を付け加え、交渉を成立させました。マイクはジョブズに会社を法人化し、自分も経営者の仲間に入れて欲しいと言ってきました。マイクもアップル社の仲間となりました。
スティーブ・ジョブズのネタバレあらすじ:6.変わっていくジョブズ
1977年、サンフランシスコ、第1回ウェストコースト・コンピュータ・フェアで、ジョブズは多数の会社のコンピュータを目にしながら、自分たちのブースに行き、代表者として大勢の聴衆を集めて、「Apple -II」のプレゼンをしました。聴衆たちは拍手喝采しました。ジョブズとウォズたちが開発した「Apple-II」は爆発的な人気を集めて、大成功を収め、莫大な利益をもたらしました。そして、3年が過ぎ、Apple社のオフィイスはガレージから自社ビルに変わり、多数の社員を抱える大企業に成長していきました。1978年にジョブズは、「Apple-II」の次世代パーソナルコンピュータとして、Lisa(リサ)・プロジェクトが立ち上げました。その中でも、ジョブズの姿勢は昔と変わりませんでした。少しでも気に入らないと、「一から全部やり直し。直感的じゃなければダメだ。予知しているみたいにユーザーがやりたいことを、やりたいと思う前にわかっているかのようにしたい」と社員に命じました。そしてジョブズは「なぜAppleを買うのか。それはステータスになるからだ。小さな物であっても記憶に残る物にするんだ」と自身の商品へのこだわりと思想を社員たちに語り、それを実現させるように檄を飛ばしました。そして、ジョブズは自身の考え・ビジョンに異議を唱える社員には、容赦なく解雇を言い渡しました。この頃から、ジョブズはダニエルなどの古い友人たちと疎遠になっていました。経営者となっていたジョブズは、マイクが驚くほど、自身が見て仕事ができないと判断した社員には、たとえそれが古くからの友人でも厳しく当たるようになりました。ある日の夜、会議室に1人でいたジョブズに、ウォズはマイクから聞かされた古い友人・ビル、ダニエル、クリスたちの冷遇について理由を聞こうとしました。ジョブズは「会社についてこられなかった」と言いました。それを聞いたウォズは、なぜジョブズとApple社を立ち上げたかを話しました。ウォズは「俺が作った物だったからだ。お前らが気に入ってくれたからだ。そして、仲間になりたかったからだ。…楽しいことができる。ただそれだけ。お前も同じだと思っていた」とジョブズに語りました。「変わったな」と言うウォズに、ジョブズは「成長したんだ」と言い返しましたが、ウォズは「違う。そうじゃない」と言い放ち、部屋を出ていきました。
スティーブ・ジョブズのネタバレあらすじ:7.ジョブズ、Lisa・プロジェクトから外される
1980年、Apple社がIPO(株式公開)を果たした日の朝、ジョブズは無精ひげを剃り、スーツにネクタイをして、会社に行きました。Apple社内ではお祝いのパーティが開かれていました。ジョブズが入って来ると、社員たちは拍手で迎え入れました。しかし、その拍手の中、冷遇されたジョブズの古くからの友人・ダニエルは、隣にいた友人・ビルに別れを告げ、Apple社を出ていきました。1982年のある日、アーサー・ロックら役員たちがApple社を訪ねてきました。アーサーはジョブズの行き過ぎた独断専行に業を煮やしていました。ジョブズは独断でLisa・プロジェクトに会社の資金を湯水のごとく費やしていました。アーサーは、ジョブズの側近であるマイクに、それをまず指摘しました。そして、アーサーはマイクに「ジョブズは駄菓子屋の中の子供だ。ほっとく訳にはいかない」と言い、ジョブズが独断専行で出したIBMへの当てこすりととれる新聞広告「ようこそ。IBM。本気です」を出し、「戦争をおっぱじめる気だ!天下のIBMにだ!」と言い、憤りを露わにしました。マイクはそんなアーサーに「3年前、IBMはパソコンに微塵も興味を示さなかった。今はどうだ!我々の後を追っている」とジョブズを擁護しようと、言い返しました。しかし、取締役のアーサーたちは、役員会でジョブズをLisa・プロジェクトから外すという決定を既に下していました。そして、彼はそれをマイクに伝えに来たのでした。マイクはアーサーからジョブズは凄いが時限爆弾と言い、しっかり彼の舵を取るのが務めだと言い、去って行きました。ジョブズは、その日、マイクから役員会で自分がLisa・プロジェクトから外されたことを聞きました。ジョブズは「そんな事、知ったことか!Lisaは僕のプロジェクトだ!」と憤りました。ジョブズは役員・株主たちを「彼らは全く大局を見ていない」と言いました。マイクはジョブズにLisa・プロジェクトが、彼の完璧主義のために大変な時間と経費が費やされていることを告げつつも、ジョブズの役員や株主たちは目先しか見てないというジョブズの意見に賛同しました。しかし、怒り心頭のジョブズは、マイクも役員たちの手先と思い込み、勝手に部屋を出ていきました。ジョブズは、Lisa・プロジェクトから外されました。
スティーブ・ジョブズのネタバレあらすじ:8.ジョブズ、画期的なパソコン「Macintosh」を開発する
Lisaから外されたジョブズは、マイクの指示で、Macintosh(マッキントッシュ)・チームに入りました。そこには古参のビル・アトキンソンがいました。その隣には、バレル・スミスという社員がカードで遊んでいました。どうもここはどうしようもない奴の吹き溜まりのような場所でした。しかし、ジョブズが入って来たので、全員、驚き、気持ちが引き締まりました。ジョブズは、これから自分がこのチームを率いると宣言しました。早速、チームメンバーに開発状況を聞いていると、古参のクリス・エスピノサが入ってきました。彼の顔を見たジョブズは「楽しくなりそうだ」と言い、予算は気にせず開発を進めようとメンバーたちに言いました。そして、ジョブズは全員に「これは家電製品のようにしよう」と言うと、ビルを連れて、社内のめぼしい優れた技術者たちであるウォズ、アンディ・ハーツフェルド、そして、古参のロッド・ホルトを勝手にリクルートし、チームに引き入れました。そして、ジョブズは、チームのメンバーたちに「情熱をつぎ込めるものが必要だ。そうじゃなければ、最後までやり抜くことはできない」「これ以上は無理、なんて言葉は聞きたくない」「競争しているときは、相手より上手くやるんじゃない。相手と違ったやり方をする。それが大事なこと」「人生では多くのことに出会うだろう。だが、今、自分でこれをやると選んだら、すごい物にしよう」と自身の哲学を語り、発破をかけ、開発を進めていきました。そして、ついに1984年、画期的なパソコン「Macintosh」を完成させました。ジョブズは自身で使ってみて、自画自賛しました。
スティーブ・ジョブズのネタバレあらすじ:9.ジョブズ、ジョン・スカリーを社長にする
ジョブズは「Macintosh」を完成させ、誰でも手に入れられる廉価で売ろうと考えていました。しかし、アーサー・ロックら役員たちは、そんな考えのジョブズに反対をしてきました。アーサーはジョブズにLisaで会社の莫大な資金と時間を使い、その上、廉価版の「Macintosh」にまた莫大な資金と時間を使ったと言い、彼を責めました。ジョブズは自分が起業した会社でしたが、社長にはできないとマイクから説得されていました。それは役員たちが、ジョブズを社長にすることを認めていなかったからでした。そんな状況に置かれたジョブズは、役員たちの反論を一通り聞くと、当時のペプシコーラの社長でマーケティングの天才“ジョン・スカリー”をCEOとして迎え入れたいと言い出しました。アーサーたちは、無理だと言いましたが、ジョブズは折れませんでした。ジョブズはジョン・スカリーに「このまま一生砂糖水を売りつづけたいか? それとも世界を変えたいか?(Do you want to sell sugar water for the rest of your life, or do you want to change the world?)」「信頼できる人が欲しい」と直談判して、Apple社のCEOとして迎え入れることに成功しました。スカリー社長は、社員たちに「すばらしい製品を作ることはできる。だが、それがもっとすばらしい物であることを伝えねば。我々はコンピュータを売るんじゃない。我々が売るのは、コンピュータでできること。心のためのツールだ」と宣言しました。1984年1月14日、ジョブズはステージに上がり、社員たちにスピーチして、自身が率いたチームで作った「Macintosh」のCMを見せました。社員たちは総立ちで拍手しました。「Macintosh」は華々しく市場にデビューしました。
スティーブ・ジョブズのネタバレあらすじ:10.親友“スティーブ・ウォズニアック”の退職
その「Macintosh」発売記念パーティで、ジョブズは役員たちの席に行きました。すると、アーサーが「我々は君のことを信頼している。わかってるな」と言い、去っていきました。アーサーの意味深な言葉を聞いたジョブズは、スカリー社長に聞くと、彼は何回も利益が出るように計算したが、ジョブズの希望価格では利益が出ないと言い出しました。ジョブズは値上げすることに反対しました。ジョブズはスカリー社長に誰の考えか問い質すと、最初はマイクが自分の考えだと言いましたが、スカリー社長は「私の考えだ」と言いました。スカリー社長は「それはIBMがやることだ。僕はやらない」と言うジョブズに、「私を悪者にするな。会社のことを一番に考えてる」と言いました。憤ったジョブズは席を立ち去ろうとしましたが、スカリー社長は彼に「耐えなければダメだ。君がこのまま突き進むなら、私は君を守れなくなる」と言いました。そして、数日後、Apple社会議室では、役員たちが集まり、会議をしていました。アーサーは「今はショックでものが言えないようだが、みんなも私と同じように腑が煮えくりかえっているだろう。ジョブズ君は100万台の販売を約束したが、その4分の1にも満たない。何か変えなければダメだ」と言いました。Apple社では、2つのプロジェクトの失敗に、過剰な開発費にマイクロソフトがらみの失態で創業以来、初めて赤字を出してしまいました。アーサーはIBMを勝算し、「Macintoshは“おもちゃ”ですらない、ジョークだ」とこけ降ろしました。パーソナルコンピュータの将来性を見直すべきだと主張するアーサーは、黙って聞いて参加していたジョブズに返答を求めました。苛ついていたジョブズは「値上げをしたのはあなた。僕のせいじゃない」と言い返しました。しかし、アーサーは「君はMacintoshの未来を売ったんだ!」とジョブズに責任追及をし始めました。責任を転嫁されたジョブズは憤り、マイクの制しも聞かず、スカリー社長を見て「間抜けな道化の失敗を押しつけられるのは、ゴメンだ」と言い放ちました。この言葉を聞いたスカリー社長は、憤りを通りこし、呆れ果てました。ジョブズは、責任はスカリー社長にあると指さしました。その日の深夜、オフィスで仕事に熱中していたジョブズのもとに、ウォズが入って来ました。ウォズはジョブズにApple社を辞めたことを告げに来たのでした。驚いたジョブズは理由を聞くと、ウォズは「お前に見えてるのは、もうみんなじゃない。見えてるのは製品だ。…お前自身がお前の世界のすべてだ。とても小さくて、とても恐ろしい、それも孤独にちがいない。…お前の思い通りにはならないんだよ。少なくとも長くは続かない。…いい結末は待ってない。俺はそれを傍で見ていたくはない」と言い、去って行きました。
スティーブ・ジョブズのネタバレあらすじ:11.孤立したジョブズ、Apple社を追われるように辞める
親友ウォズが離れていったことは、ジョブズにとって、大変なショックでした。家に帰ったジョブズは会議でスカリー社長に言った言葉について反省し、謝ろうと電話をしましたが、留守電でした。メッセージだけ吹き込んだジョブズは、次にマイクに電話をかけましたが、彼も留守電でした。ジョブズは孤独に耐え切れませんでした。その翌朝、ジョブズはいつもより早く会社に行きました。すると、スカリー社長、アーサー、マイクが部屋で話し合いをしていました。ジョブズが入ってくると、スカリー社長はジョブズに「職務の遂行が難しくなった。巨大な障害が立ちはだかって、私がやろうとすることを、いつも邪魔する。君にとって最悪の敵は君自身だ。会社にとっても」と諭しました。それを聞いたジョブズは、憤り、スカリー社長に「何様だと思っている!あんたを雇ったのは、これまでの人生で、僕が犯した最大の過ちだ!」と言い放って、部屋を出ていきました。そして、1985年5月末、役員会が開かれました。そこでジョブズの意見は全く指示されませんでした。役員たちはみんな、スカリー社長の意見に賛成をしました。マイクは最後までジョブズの味方でいようと、躊躇しましたが、結局は会社のためと考え、スカリー社長に賛同しました。誰も味方がいなくなったジョブズはApple社を追われるように辞めました。そして、ジョブズはかつて、ウォズたちとApple社を立ち上げたときの実家のガレージに行きました。ジョブズはそこで泣きました。そのとき、優しく父がジョブズを抱きしめ、慰めました。
スティーブ・ジョブズのネタバレあらすじ:12.ジョブズ、11年ぶりにApple社へ
ジョブズが辞めたApple社の市場価値は下落していき、業績は悪化し、1993年6月、スカリー社長はその責任をとり、辞職しました。新CEOとなったギル・アメリオは、Apple社の大改革を宣言しました。その頃、ジョブズは自身でNEXTという会社を起業し、パソコンを作っていました。そのNEXTをApple社は買収しようと、ジョブズに交渉してきました。1996年、カリフォルニア州、ハロラルトにジョブズは邸宅を置き、クリス=アン・ブレナンと結婚して妻子と、自宅の庭で農作業などをしながら、のんびりと暮らしていました。
そんなジョブズにもとに、新CEOのギルが訪ねて来ました。ギルはジョブズにApple社に戻って来て欲しいと説得しました。その頃のApple社の業績はジョブズに言わせれば、最低でした。必死のギルは、ジョブズに復帰するには何が欲しいと聞いてきました。ジョブズは何も語りませんでした。その年のある日、ジョブズは11年ぶりにApple社に訪れました。ギルとマイクが玄関ホールまで迎えに来ました。Apple社は業績が悪化したとはいえ、11年で大きな何頭ものビルで、ジョブズがいた頃より、多くの社員たちを抱えていました。マイクは途中までジョブズを社内案内しました。マイクはジョブズに、11年前の役員会でのことを謝り、君をApple社に戻そうと努力してきたことを伝えました。それを聞いたジョブズは、マイクの案内を断り、1人で社内を見て回ることにしました。そんな昔と変わっていないジョブズを見て、マイクは「なんて奴だ」と呟きました。
スティーブ・ジョブズのネタバレあらすじ:13.Apple社に復帰したジョブズ
ジョブズは1人で社内を見て回っていると、社員たちが驚き、顔を覗かせました。ジョブズはあるチームで開発をしている部屋に入りました。ジョブズはデザイン画を見ると、誰の物か尋ねました。すると、「僕です」と若いデザインデレクターのジョナサン・アイブが名乗りでました。ジョブズはジョナサンたちに「なぜここにいる?僕がつくった会社じゃない。テイストもない。スタイルもない。デザインもない。鎖で繋がれていないのなら、なぜここにいる?」と聞きました。するとジョナサンはジョブズに「まだ僕たちはAppleの理念を信じているから。あなたにです。あなたはきっと、たとえばコンピュータとは体の一部のように自然に使えなければと。そのために使命を持って、全霊を捧げる。目指すのはクオリティであって、理想であって、アートだと。だから、僕たちはいるんです。また、それができるかもしれない」と語りました。その言葉を聞いたジョブズは、いきなり、今やっているものをやめ、何でもいいのでクリエイティブで新しいものをデザインするように命じました。そしてジョブズは彼らに「何か役に立つもの。何か大切なもの」と付け加えて、部屋を出て行こうとしました。帰ってきたジョブズに、ジョナサンは「戻ってきて嬉しいです」と言うと、ジョブズは「僕は戻ってない。また来る」と言い、去っていきました。その日、ジョブズがApple社の庭で休んでいると、マイクが会長のエド・ウーラードを連れてきました。エドはジョブズに「君の味方だ」と言い、ある株主が150万株売りさばいたため、株価が急に下落してピンチだと告げてきました。エドとマイクは、ジョブズにCEOとして復帰するように頼み込みました。ギルCEOは崖っぷちで、「失ったものをとり返すチャンスだ」とエドとマイクはジョブズに言うと、ジョブズは「失ったんじゃない。奪われたんだ」と言い返しました。ジョブズはApple社の顧問として復帰しました。ジョブズの復帰で会社の業績は好転し始めました。そんなある日、ジョブズは取締役会で、自分の経営理念と今後のビジョンを語りました。そして、ジョブズは自分を暫定的なCEOにするように進言しました。ジョブズを顧問から解放しようとしたギルCEOは驚きました。しかし、既に会長エドやマイクの画策で、ギルはCEOから解任され、ジョブズがCEOとなりました。CEOとして復帰したジョブズは「大人になると、こんなことを言われる。世の中は変えられない。人生とはその中で暮らすことで、飛びだそうとして、壁にぶつかってはいけない。でも、それは狭い人生の考え方。人生はもっとずっと広がる。ただ簡単な事実を発見すればいい。…過った考えを振り払い、人生は決まっていて、ただその中で生きるしかないなんてことはない。人生を変えろ。もっといいものに」と考え、長年の友であったマイクを含めて、自分がいない間の役員たちを解雇し、役員を新体制に一新しました。
スティーブ・ジョブズの結末:14.エピローグ:ジョブズのメッセージ「クレージーな者たちへ。“Think different”」
新CEOのジョブズは、あるスタジオで、新たなApple社のTVCMのためのメッセージを録音していました。そのCMは“Think different”という広告でした。ジョブズはこう語りました。「クレージーな者たちへ。はみ出し者、反逆者、厄介者と呼ばれる人たち。四角い穴に丸い杭を打ちこむ者、物事を違った目で見る者。彼らはルールが嫌いだ。彼らは現状を認めない。彼らの言葉に心をうたれる人がいる。反対する人も、賞賛する人も、けなす人もいる。しかし、彼らを無視することは誰にもできない。なぜなら、全てを変えるから。彼らは人類を前進させるからだ。ただクレージーだと言う人がいるが、我々には天才に見える。世界を変えられると信じている。クレージーな彼らこそが、世界を変えられるから」と。2012年9月、Apple社は株式時価総額で世界一となりました。その陰にはジョブズを筆頭に、ジョブズがApple社を起業したときのメンバーたちのクレージーとも見える情熱があったからでした。
ダニーボイル監督が手がけたスティーブ・ジョブズの作品ということで、映画館へ見に行きました。別のスティーブ・ジョブズの作品も観たことがありましたが、また視点が違った内容だったので、新たな映画として楽しめました。ジョブズ役のアシュトンカッチャーが、若き時代のスティーブジョブズにすごく似ていて、適役だなと思いました。アップルのりんごマークのルーツや、現在のコンピューターの基礎となった話なども興味深く観れました。