おみおくりの作法の紹介:2013年イギリス,イタリア映画。孤独死した人の身寄りの調査から葬儀、埋葬までを執り行う公務員が、故人が送ってきた人生に寄り添うことで自身の人生を見つめなおす様を描く感動ドラマ。
監督:ウベルト・パゾリーニ 出演:エディ・マーサン(ジョン・メイ)、ジョアンヌ・フロガット(ケリー)、カレン・ドルーリー(メアリー)、キアラン・マッキンタイア(ジャンボ)、アンドリュー・バカン(プラチェット氏)、ほか
映画「おみおくりの作法」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「おみおくりの作法」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
おみおくりの作法の予告編 動画
映画「おみおくりの作法」解説
この解説記事には映画「おみおくりの作法」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
おみおくりの作法のネタバレあらすじ:おみおくり担当
ロンドン、ケニントン地区で民生係として働くジョン・メイ。彼の仕事は孤独死した人の縁者を探し、見つからない場合には親族に代わって埋葬までを執り行うこと。真面目で几帳面、自身も孤独な生活を送るジョンは常に死者に敬意を払い、それぞれにあった葬儀、埋葬を執り行い、多くの人を見送ってきた。ある日、孤独死の連絡を受け調査に向かったジョンは、その場所が自分の住むアパートの向かいの部屋だったことに愕然とする。近所でありながらも気づけなかったことにショックを受けたジョンだったが、その日追い討ちをかけるにように、ジョンの丁寧な仕事ぶりを時間とお金の無駄と判断する上司から経費削減による解雇を言い渡され、今日の案件を3日で終わらせるよう命じられる。
おみおくりの作法のネタバレあらすじ:ビリーをたどって
最後の仕事となった故人ビリー・ストークの調査をこれまで以上に熱心に取り組み始めたジョンは、遺品を手がかりにビリーの人生をたどる旅に出る。若い頃に働いていたパン工場の同僚、当時付き合っていた女性メアリーと彼女とビリーとの間にできた娘と孫、ビリーの娘ケリー、戦友のジャンボら。彼らに会って話を聞くうちにジョンは、単なるアル中の孤独な男だと思われたビリーが、実は仲間思いで、戦争で心に深い傷を負いながらも耐えて生き続けてきたことを知る。
おみおくりの作法のネタバレあらすじ:ジョンの人生
そしてそんなビリーの人生をたどるうちに、生真面目だったジョンにも心の変化が生まれるようになる。判で押したような決まりきった生活から一歩踏み出し、違うものを食べ、スーツを脱ぎ、ビリーの愚行を真似てみたりもした。ビリーに親しみを感じるようになっていたジョンは、自分のために購入していた眺めのよい墓地をビリーに譲り、心をこめて彼の葬儀の準備をする。
ビリーの調査を終了とし、最後の仕事を終えた時、ケリーから葬儀に参列したいという連絡が入る。再会したジョンとケリーは、互いに惹かれあうものを感じながら葬儀の後で共に過ごすことを約束して別れる。ジョンは初めて孤独から解放される思いに包まれていたが、ケリーへのプレゼントを買って店を出た直後、バスにはねられて息絶えてしまう。
おみおくりの作法の結末:参列者たち
多くの人を見送ってきたジョンだったが、彼自身の葬儀では誰一人見送るものはいなかった。墓地へ向かう途中かつて自身のために用意した場所では、ビリーがケリーやメアリー、かつての仲間たちに囲まれて埋葬されていた。誰にも知られず、公営墓地に埋葬されたジョン。やがてそんな彼の元にはこれまで彼が見送ってきた多くの人たちが1人、また1人とジョンのもとに集まってきたのだった。
とても静かで、丁寧な物語だと感じました。全体的に彩度が抑えられ、彩りがないような印象からスタートします。主人公のジョン・メイの話し方もおとなしく、本当にストーリーが地味です。しかし、ケリーと出会ってからのびのびと生活を送るようになったジョンを応援せずにはいられなくなっていきます。だからこそ、最後にバスにはねられた瞬間がショッキングです。ジョンにとっては不幸でしかないですが、安易に生還させ、ケリーとハッピーエンド…とさせなかった脚本に好感を覚えます。決して目立つ映画ではありませんが、丁寧な物語を観たい人にお勧めです。