ストーンウォールの紹介:2015年アメリカ映画。LGBTが迫害されていた時代の1969年に、ニューヨークで起こった同性愛者による暴動「ストーンウォールの反乱」を、一人のゲイの青年の視点から描いたヒューマンドラマです。
監督:ローランド・エメリッヒ 出演者:ジェレミー・アーヴァイン(ダニー・ウィンターズ)、ジョニー・ボーシャン(レイ)、ジョーイ・キング(フィービ・ウィンターズ)、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ(アニー)、マット・クレイヴン(シーモア・パイン)ほか
映画「ストーンウォール」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ストーンウォール」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ストーンウォールの予告編 動画
映画「ストーンウォール」解説
この解説記事には映画「ストーンウォール」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ストーンウォールのネタバレあらすじ:起
LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー)が精神疾患者とみなされ迫害されていた時代の1969年。米国連邦法は政府機関に対し、同性愛者を雇用することを禁じます。彼らが店で飲酒することも集会を行うことも違法でした。同性愛の治療と称して電気ショックが施されることもあったこの時代、ゲイの若者たちが権力に立ち向かう暴動へと発展します。
その3か月ほど前。イリノイ州カンザスに住んでいた青年ダニー・ウィンターズ(ジェレミー・アーヴァイン)は、高校で同性愛者から身を守るための授業を受けていました。それは保安官からの指導によるものでしたが、高校で教師を務める父コーチ(デヴィッド・キュービット)が息子ダニーに同性愛の兆候を感じて行った授業でもありました。
ある夜、ダニーは友人ジョーと会うため出かけます。彼らは同性愛関係にあり、ジョーに誘われてダニーは出かけたのでした。しかしジョーには彼女がおり、ダニーの彼への気持ちとは裏腹に、ジョーは自分の性的志向を受け入れられておらず、ダニーを性的な捌け口としてしか考えていませんでした。その日も車内で行為にふけっていると、高校の友人たちに現場を目撃されてしまいます。
翌朝には高校じゅうに噂が広まっており、ゲイであることを理由にいじめを受けます。職員室にダニーを呼びだした父からは「お前は病気だ。ジョーはダニーに誘われたと言った。」と言われ、ダニーは何も言わずその場を去っていきます。妹のフィービ(ジョーイ・キング)が必死に出て行かないよう訴えるものの、荷物をまとめたダニーは父から勘当されたも同然のまま家を飛び出していきます。
途中ジョーの家に立ち寄り「僕は誘ってない。なんでウソをつく?」と話すダニーに、ジョーは「帰ってくれ、話すことはない」と言って追い返すのでした。しかしジョーの表情には悲しみ、悔しさが浮かんでいました。
ストーンウォールのネタバレあらすじ:承
そしてダニーが向かった先はニューヨーク。ダニーは全米から自由を求める人々が集うグリニッジ・ビレッジのクリストファー・ストリートにある同性愛者のコミュニティに行き、売春で生計を立てるゲイの若者たちと交流を始めます。そこは同性愛者たちがありのままに生活している場所、そして売春が横行する場所でもありました。
ダニーはコロンビア大学には合格していたものの、奨学金の申請がまだ通っていない状況だったため、実家から書類を送ってもらうよう電話をするも、父は怒りから電話を切ってしまいます。このままでは金銭的理由から大学進学をあきらめざるを得ません。
わずかなお金しかなく行くあてもないダニーは、同性愛者たちのひとりレイ(ジョニー・ボーシャン)と出会い、彼を頼って狭いアパートで大勢の同性愛者たちとの共同生活をスタートします。
ある日、ダニーはレイに誘われてゲイバー「ストーンウォール・イン」へ行きます。この時代は同性愛者に酒を提供することが違法だったため、ストーンウォール・インを含め、周囲の多くはギャングが経営するバーでした。売り上げの一部は所轄の警察に賄賂として渡され、薬物売買なども含め違法営業が見逃されていました。
ダニーは「ジョン・ウェイン」という偽名でストーンウォール・インに入店します。ストーンウォール・インの支配人エド(ロン・パールマン)も裏社会との繋がりがあり、ゲイの少年を騙しては高級売春組織に斡旋するなど暗躍していました。レイからも「エドには関わるな」と念を押されます。
ストーンウォールのネタバレあらすじ:転
ストーンウォール・インでダニーは、トレバー(ジョナサン・リース=マイヤーズ)という年上の男と出会います。トレバーは同性愛者の権利向上のための団体「マタシン協会」で活動家をしていました。そんな二人の様子をレイは悔しそうに見つめます。
その直後、バーは警察のガサ入れを受け、女装のゲイや男装のレズビアンなどを対象に、レイたち客数人が逮捕されてしまいます。所轄警官によるガサ入れはあくまで取り締まりをしているという表向きの側面であり、実際は店から賄賂をもらい店自体の違法行為には目をつむるものでした。
一方警察は、ストーンウォール・インの支配人エドに対する捜査も進めていました。政府公社から債券が消えたことで、エドが、ゲイを買っている証券マンたちを脅して協力させたと見られていました。レイは捜査への協力を求められ、エドの情報を提供するよう言われるものの、「警察はいつもゲイをいじめる」と言って拒否するのでした。
釈放されたレイを待っていたダニー。しかしレイはダニーがトレバーと昨夜踊っていたことに怒っています。「トレバーは活動の話をして若い男の子を魅了しては、ベッドに誘うの」と話すレイ。
高校の卒業資格がまだ取れていないダニーは、夜間授業への出席を始めていました。しかしゲイの生活はニューヨークにおいても過酷なもので、生活費を稼ぐため、ダニーは売春にも手を染めます。
ある日、ダニーはトレバーに誘われたマタシン協会の集会に参加し、その後一緒に夕食をとった二人。ダニーは今に至る経緯を打ち明け、その後一夜を共にします。ダニーはトレバーと恋に落ち、同棲を始めることに。
奨学金の申請がまだ出来ていないダニーは久しぶりに実家に電話をします。電話に出た母は彼を心配している様子でフィービに電話を代わり、ダニーはトレバーのところに身を寄せることや、冗談を言い合うのでした。
その後、同性愛者の仲間たちに同棲することを伝えに行くも、レイからは反発を買い、二人は険悪となってしまいます。ダニーは預けていた身の回りの荷物を受け取るためボブ(パトリック・ギャロウ)の家を訪れます。そこでボブから「レイは憎まれ口を利くが君のことが好きなんだ、悪態をつきながらもいつも君のことを案じている」と聞き、ダニーはレイの気持ちを知ることとなります。
その後ダニーが雑貨店で働いていることを耳にしたレイは、彼の働く店へ行き二人は仲直りをするのでした。
ストーンウォールのネタバレあらすじ:結末
そんなある日、ダニーはトレバーがストーンウォール・インで別の若い男とダンスをしてキスするのを目撃してしまい、傷心のうちにトレバーの家を飛び出していきました。トレバーは、いつかレイが言っていたとおりの人物でした。しかしそんな矢先、ダニーはエドの策略により路上で拉致され、危うく身を売られかけますが、すんでのところでレイに助けられます。
「まずいことになる」と言うダニーに、レイは「エドと交渉する」と言います。ストーンウォール・インにやってきた二人はエドのもとを訪れ、レイはエドに、過去の殺人事件との関係などを警察に話さない代わりにダニーを見逃すよう言います。
しかしその直後、ストーンウォール・インは警察のガサ入れを受けます。エドはその場で逮捕され護送車に入れられます。しかしエドは所轄の警察をも買収しており、他の罪なき同性愛者は理不尽な暴力を受け不当逮捕されるのに、エドはタクシーに乗って逃げ出します。ダニーら同性愛者たちの不満は高まっていきました。
店の前で群衆となる同性愛者やダニーたち、そして彼らの警察への怒りは遂に爆発し、ダニーはその場にあったレンガをゲイバーの窓ガラスに投げつけ「ゲイに力を!」と叫びました。それをきっかけに抑圧されてきた同性愛者たちが一斉に暴徒と化し、後に「ストーンウォールの反乱」と呼ばれることになる大暴動が勃発します。警察はストーンウォール・インの中に籠って応戦、警官隊も駆けつけ、ダニーたちも必死に闘っていました。
暴動がおさまったクリストファー・ストリート。ダニーはレイに感謝と別れを告げ、コミュニティを去っていくのでした。
それから1年後。久しぶりに帰郷したダニーは、ジョーの家を訪れます。困惑の表情で再会したジョーに、伝えたいことがあったと言うダニーは「愛してた」と伝えます。そんなダニーにジョーは「俺は結婚した、子供も生まれる。一体俺たちの関係は何だった?」と問い、「一種の愛だろ」とダニーは答えます。「俺はお前とは違う。そこまで本気と知ってたらあんなこと…。帰ってくれ」と言うジョーに、ダニーは「分かった」と吹っ切れた表情を浮かべ、二人はハグをします。ジョーは「すまない、ダニー」と耳元で囁くのでした。
そして実家にやってきたダニー。家族の中でも一番の理解者である妹フィービとの再会を喜び合います。そして気丈に振舞う母の姿も。ダニーは母の助けもあり無事にコロンビア大学の学生になっていました。しかし、父との和解に至るのはまだ遠い道のりのようです。
程なく、ニューヨークでは反乱から1年を記念した同性愛者によるゲイ解放運動のプライドパレードが行われました。レイたち仲間と久しぶりに再会し、共にパレードに参加したダニーの視線の先には、沿道から笑顔で見送る母と妹の姿がありました。
現在に至るまで続くプライドパレードは、ストーンウォールの反乱がおきた6月末を記念して「プライド月間」として毎年行われ、その広がりは世界各地にも及んでいます。
以上、映画「ストーンウォール」のあらすじと結末でした。
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