助太刀屋助六の紹介:2001年日本映画。原作は、岡本喜八監督が生田大作のペンネームで執筆した「助太刀屋」。岡本監督の遺作となった、コミカルな時代劇映画です。仇討ちの助太刀をすることに味をしめ、これを生業としている助六。故郷である小さな宿場町に帰ってきてみると、ここでもちょうど、ある仇討ちが始まるところでした。戦いに敗れて死んだのが、自分の父親だと知った助六は、「位牌に頼まれた助太刀」と称して父の仇討ちを始めてしまいます。
監督:岡本喜八 出演者: 真田広之(助太刀屋助六)、鈴木京香(お仙)、村田雄浩(太郎)、鶴見辰吾(脇屋新九郎)、風間トオル(妻木涌之助)、山本奈々(タケノ)、岸部一徳(榊原織部)、岸田今日子(オトメ)、小林桂樹(棺桶屋)、仲代達矢(片倉梅太郎)
映画「助太刀屋助六」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「助太刀屋助六」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「助太刀屋助六」解説
この解説記事には映画「助太刀屋助六」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
助太刀屋助六のネタバレあらすじ:起
助六は、ひょんなことから、仇討ちの助太刀をすることに味をしめ、それを生業として気ままに暮らしていました。助太刀屋といっても、刀を使うのは苦手。これまでも、物干し竿や荒縄など、そのへんにある道具で器用に戦ってきました。まとまったお金が手に入ったことから、久しぶりに故郷へ帰った助六。父親の顔は知らず、女手ひとつで育ててくれた母親もすでに小さな墓石の下。その小さな墓石の前に、黄色い花が一輪供えられています。他に親戚もないのに、と首をかしげる助六でした。
助太刀屋助六のネタバレあらすじ:承
助六の故郷は、上州の小さな宿場町。一歩足を踏み入れると、何か異様な雰囲気です。町の中は閑散とし、人々は家に隠れて気配を押し殺しています。そこへ幼なじみの太郎が現れます。太郎は番太(町の見張り役)になっていました。太郎いわく、これからこの町で仇討ちがなされるというのです。脇屋新九郎と妻木涌之助が、兄の仇、片倉梅太郎を討とうとしています。両者ともすでに町の中に入っており、検分役の関八洲取締出役、榊原織部がやってくるのを待っていたのです。脇屋と妻木は、助太刀を頼んである2人の浪人とともに、居酒屋で酒を飲んでいます。その2階には、老婆オトメと、太郎の妹のお仙の姿が。お仙は、生娘であるにもかかわらず、仇討ちの後に、織部と床を共にすることを約束させられているのでした。
一方の片倉梅太郎は、棺桶屋で一時を過ごしています。助六が訪ねていくと、明らかに動揺する棺桶屋の親父と、その娘タケノ。実は、梅太郎は助六の父親なのです。そのことを最後まで隠して、自分の戒名を書き留めたり、震える手に刀を巻き付け固定したりして過ごす梅太郎。父親とは知らず、助太刀をしたいと申し出た助六を一瞬で気絶させて、梅太郎は店を出ていきます。棺桶のひとつに、あの黄色い花一輪を残して。
助太刀屋助六のネタバレあらすじ:転
片岡梅太郎は、潔く戦い、死んでいきました。榊原や脇屋たちは、先ほどの居酒屋に戻って祝杯をあげます。浪人が一人やられましたが、他は無傷。榊原は早く2階の女のもとに行きたくてウズウズしています。妻木は、梅太郎が死に際に残した「兄が死んだ理由を知りたければ、榊原の袖の下を覗いてみろ」という言葉が気になっています。その意味を榊原に問うと、汚職や裏金の話を聞かされます。憤慨して立ち上がったところを、浪人が容赦なく長槍でブスリ。妻木は息絶えます。
一方棺桶屋では、助六が意識を取り戻しました。残された2人分の戒名、梅太郎が購入したという墓石、母の墓前にあったのと同じ黄色い花。梅太郎は自分の父親であることに気がつきます。「仇討ちの仇討ちはダメだ」との棺桶屋のオヤジの言葉に、「位牌に助太刀を頼まれたことにしよう」と勝手に決めてしまう助六。新しい墓石を砥石がわりにして、錆だらけの刀を研ぎ、店を飛び出していきます。
助太刀屋助六の結末
居酒屋にひとり乗り込む助六。笑顔で脇屋に近づき、首を引き切ります。爽やかに仇討ちを宣言、残る標的は長槍の浪人と榊原です。小さな宿場町は大混乱。助六一人を仕留めるのに大勢が探し回るも、いったん姿をくらました男はなかなか見つかりません。番太である太郎は、榊原に命じられて町の捜索に加わります。
そんな中で、助六はお仙と再会します。お仙は幼い頃から、助六を好いていましたので、大喜び。得意の石投げで助六を援護します。死体のふりをして寝転び、油断していた長槍の浪人を葬り去る助六。あとは榊原のみ。棺桶に入って少しずつ榊原に近づきます。そして一気に肉薄し、ブスリ。本懐を遂げて居酒屋から出たところを、屋根の上の鉄砲部隊に狙われ、助六はついに倒れてしまいます。涙を流して駆け寄る、太郎、お仙、棺桶屋の親子。そして隠れていた町の人々も出てきて、死んだ助六に手を合わせます。お仙は「助六の埋葬は自分が」と言って、遺体を馬に乗せ、とぼとぼと町から出ていきます。しばらく行ったところで、むっくり起き上がる助六。笑い合う2人。助六は、事前に鉄砲の弾を抜いていたのでした。2人は夫婦になることを約束して、仲良く去っていきます。助六が生きていることに気づいていない間抜けな太郎は、泣きながら事の「始末書」を書いているのでした。
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