スワンズソングの紹介:2002年日本映画。不気味な連続殺人事件を主軸に、現代日本が抱える「得体の知れなさ」を描くホラー&サスペンス。東京に住む松田美奈は妹の美月と同じバレエ教室に通っていた。ある日、バレエ教室で美月と喧嘩した美奈は1人で先に帰ってしまう。その夜美月は何者かに誘拐され、後日黄色いレインコートを着せられた惨殺体で発見された。美奈は自分を激しく責め、姉妹の母輝子も動転して様子がおかしくなっていく。しばらくして2人は好奇の目から逃れるため、小さな田舎町に引っ越した。ところが美奈の周囲で次々と陰惨な殺人事件が起こる。そしてその現場には、必ず黄色いレインコートを着た謎の人物が現れていた。別題は「少女惨殺 -スワンズソング-」。
監督:笠木望 出演者:石川佳奈(松田美奈)、藤原ひとみ(若生すず)、麻乃佳世(大槻恵子)、中田あすみ(志村香苗)、玉手みずき(加納みゆき)ほか
映画「スワンズソング」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「スワンズソング」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「スワンズソング」解説
この解説記事には映画「スワンズソング」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
スワンズソングのネタバレあらすじ:誘拐殺人事件
とある田舎町。学校の屋上から、生徒の志村香苗と加納みゆきが飛び下り自殺を図りました。血まみれで倒れている彼女達を見つけても誰も騒ぎ立てません。みゆきは死亡しましたが、香苗は一命を取り留めました。
一方、東京に暮らす松田美奈は、妹の美月と同じバレエ教室に通っていました。しかし指導する先生は美月ばかりを褒め、美奈を理不尽に叱りつけます。遅くまでレッスンを続ける美月に苛立った美奈は、1人で先に帰ってしまいました。
ところがその夜、美月は何者かに誘拐され後日惨殺体で発見されます。美月は黄色いレインコートを着せられ、その上から縛り上げられた状態で川のそばに放置されていました。知らせを受けた美月は自分を激しく責め、母輝子はあまりのショックに錯乱状態に陥ります。
しばらくして、2人はマスコミから逃げるように小さな田舎町に引っ越しました。美奈は輝子に、事件当夜美月と喧嘩して別々に帰ったことを明かします。自分を責める美奈に、輝子は悪いのは犯人であって美奈ではないと慰めました。
輝子は町の診療所で医師として勤めることになります。町を散策した美奈は、かつて有名なバレリーナだった大槻恵子のバレエ教室を見つけました。
スワンズソングのネタバレあらすじ:黄色いレインコートの少女
翌日から美奈は学校、輝子は診療所へ通い、新生活をスタートさせます。美奈は大槻恵子バレエ教室の生徒若生すずに声をかけられ、恵子からも招かれてレッスン場へ足を踏み入れました。恵子は杖をつき、片足を引きずるように歩いています。トゥシューズを貸して貰った美奈は、久しぶりのバレエを心から楽しみました。
帰り道、すずから美月のことを聞かれ美奈は驚きます。美奈は慎重に隠してきたつもりでしたが、ワイドショー好きのすずには気付かれてしまいました。すずが絶対に口外しないと約束してくれた翌日、早くも秘密を知る別の人物が現れます。美奈のクラスメイトの香取英子と下総夕子でした。
2人は美月のことを秘密にする代わりに金を要求して来ます。美奈は仕方なく2人に金を渡しました。その直後、夕子は突然謎の人物に襲われ惨殺されます。犯人は黄色のレインコートを着た少女だったと証言する英子。輝子を動揺させたくない美奈は、夕子を殺害したのは英子だと嘘を吐きました。それを聞いた刑事の山下と今村は、美奈に不信感を抱きます。
その頃、輝子に不気味な嫌がらせをする人物が現れました。町に住む後藤田一枝という女性で、いつも人形を持ち歩いています。彼女は自分の娘を亡くして以来、娘を持つ母親達に嫌がらせを繰り返していました。「娘を返せ」という張り紙に、輝子はストレスを募らせます。
美奈はすずと一緒に恵子からレッスンを受けるようになりました。恵子は美奈とすずを比較し、上達しないすずを厳しく叱責します。すずと恵子がレッスン場から出て行くと、そこに山下が現れ英子が殺害されたと言い出しました。
現場では黄色いレインコートの少女が目撃されたそうです。美奈は嘘を吐いたことを認め、犯人は自分であり美月だと話しました。自分が憎んだ相手を、美月が代わりに殺害したのだと。しかし当然警察は納得しません。
スワンズソングのネタバレあらすじ:続く惨劇
美奈は姿を見せないすずを心配していました。すると恵子から思わぬ告白を受けます。彼女は骨肉腫を患い、片足を切断していました。そして転移が見つかり、あと3ヶ月の命なのだそうです。美奈の目の前で義足を外した恵子は、すずには言わないで欲しいと頼みました。
動揺する美奈が帰宅すると、輝子が突然引っ越そうと言い出します。輝子は住人からよそ者扱いを受け、診察所に誰も来ないばかりか、買い物を拒絶されることすらあったのです。しかし恵子のもとでバレエを続けたい美奈は断りました。それでも引っ越そうと繰り返す輝子に、美奈は黄色いレインコートの少女を見たと明かします。美奈が憎んだ人を美月が殺害しているのだと。
すると輝子は「だったら貴方殺されるわ!」と絶叫しました。輝子の錯乱状態は収まらず、美奈はバレエを諦めることにします。トゥシューズを捨てた帰り道、美奈はバレエ教室で練習するすずを見つけました。美奈は喜びますが、すずはバレエをやめると言い出します。頑張っても美奈より上手くなれないと言うすずに、美奈は怒りが沸いて来ました。
そして「すずちゃんなんか死んじゃえ」と言い捨て走り去ります。しかしすぐに自分の発言が恐ろしくなりました。また美月が殺してしまうかも知れないと考えたからです。バレエ教室に戻った美奈は、そこで血まみれで倒れているすずと恵子を発見しました。
恵子は死亡し、すずは一命を取り留めましたが危険な状態が続いています。美奈は激しく自分を責め、どんどん様子がおかしくなっていく輝子を前についに引越しを受け入れました。
スワンズソングの結末:少女の正体
引越し作業を進める美奈のもとへ、すずが目を覚ましたという知らせが入ります。美奈は輝子が引き止めるのも聞かず病院へ走りました。その頃、診療所のゴミ箱から血まみれの一枝が発見されます。彼女は昨夜、侵入した診療所内で黄色いレインコートの少女に鋏でメッタ刺しにされていました。
病院に駆け込んだ美奈ですが、すずの姿がありません。すると黄色いレインコートの少女がすずを引きずって行くのが見えました。慌てて追いかけた美奈は、放置されていたすずを看護師に託し屋上へ向かいます。
美奈はレインコートの少女の背後からゆっくりと近付きました。すると少女が突然美奈の方へ振り向きます。それは美月ではありませんでした。黄色いレインコートの少女は、美月の格好をした輝子だったのです。
輝子は美奈の頭を斧で割り、常軌を逸した様子で「お姉ちゃん!」と騒ぎました。駆けつけた今村が輝子に発砲し、彼女は屋上から転落して死亡します。すると倒れていた美奈が突然起き上がり、輝子を追って飛び降りました。山下と今村は声もなく母娘の遺体を見下ろします。
事件後、山下は輝子が殺人を始めたきっかけは何だったのだろうと考えました。その後彼は、自分が援助交際している少女と今村が連れ立って歩いているのを目撃します。すずは退院し、車椅子で生活していました。
香苗は松葉杖をつきながら久しぶりに学校へ向かいます。香苗に声をかけた教師が突然痙攣しながら倒れました。しかし登校中の生徒は誰も気にしません。香苗は恐怖に後ずさり、元来た道を引き返します。それをみゆきによく似た後ろ姿の少女が追いかけました。闇と狂気に包まれたまま、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「スワンズソング」のあらすじと結末でした。
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