恍惚(別題:恍惚/ヴァレンティノより美しい)の紹介:1992年アメリカ映画。1924年に実際に起きた「レオポルドとローブ事件」を基に、聡明な美青年2人の罪について描く犯罪ドラマ。裕福な家庭に生まれ育ったユダヤ系青年のネイサンとリチャードは恋人同士。日頃から小さな犯罪を重ねていた2人は、ついに誘拐殺人事件を起こしてしまう。逮捕された彼らは互いに罪を擦り付け、何とか絞首刑を逃れようとするのだった。ベルリン国際映画祭でテディ賞とカリガリ映画賞を受賞するなど、数々の映画賞に輝いた傑作。
監督:トム・ケイリン 出演者:クレイグ・チェスター(ネイサン・レオポルドJr.)、ダニエル・シュラケット(リチャード・ローブ)、ロン・ヴォーター(弁護士)、マイケル・カービー(刑事)、マイケル・スタン(医師)ほか
映画「恍惚(1992年)」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「恍惚(1992年)」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
恍惚の予告編 動画
映画「恍惚(1992年)」解説
この解説記事には映画「恍惚(1992年)」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
恍惚のネタバレあらすじ:起・誘拐殺人事件
舞台は1920年代のアメリカ、シカゴ。18歳のユダヤ系青年ネイサン・レオポルドJr.(クレイグ・チェスター)とリチャード・ローブ(ダニエル・シュラケット)は、同性愛のカップルです。
美しい彼らは頭脳も優秀で、小さな犯罪を繰り返してはそれを楽しんでいました。ネイサンが尻込みするような犯罪でもリチャードは面白がって行います。やがて2人はもっと大きな、それでいて完璧な犯罪を求め誘拐殺人を企てました。
脅迫状用のタイプライターを学生寮から盗み出し、ロープとノミまで準備したリチャード。あと必要なものは度胸と、被害者だけです。「殺す相手を捜そう」と2人は笑い合いました。
はじめ、リチャードは自分の弟をさらい、父親に身代金を要求するつもりでいました。しかしネイサンは乗り気ではありません。そこでネイサンが偽名で借りた車に乗り、偶然見かけた顔見知りの少年ボビーを殺害することにしました。
リチャードはボビーを言葉巧みに誘ってネイサンが運転する車に乗せ、背後から襲い掛かります。暴れるボビーにノミを何度も振り下ろし、口に布を詰めて窒息死させてしまいました。あまりのことに恐ろしくなったネイサンとは対照的に、リチャードは余裕綽々で笑っています。
夜になり、2人はボビーを裸にして塩酸で顔と性器を焼きました。身元を分からなくするためです。そして遺体を沼地に頭から沈めてしまいました。
恍惚のネタバレあらすじ:承・誤算に次ぐ誤算
自宅に戻ったネイサンは、ジョンソンと名乗りボビーの家に誘拐を告げる電話をかけます。身代金目的の誘拐事件にした方が完全犯罪に近付くと考えたからです。しかしここからネイサン達にとっての誤算が続くことになりました。
まずボビーの家に送った脅迫状を見た刑事が、すぐに素人が打ったタイプだと断定したのです。次にボビーの遺体が早々に発見されてしまいました。そして最大の誤算は、遺体遺棄現場近くにネイサンが自分の眼鏡を落としていたことです。
新聞はすぐに事件を大々的に報道し、警察は躍起になって眼鏡の持ち主を探し始めました。タイプライターの機種も判明し、捜査の手はどんどんネイサン達に迫ってきます。
リチャードはタイプライターを叩き壊し、事件の証拠となるような物を徹底的に処分しました。この事件が生涯2人を結びつけることになるとも知らず。
恍惚のネタバレあらすじ:転・裏切りと判決
警察は案外早く眼鏡をネイサンの物だと割り出しました。留め金が珍しい物で、シカゴでは3つしか売れていなかったのです。ネイサンとリチャードは警察から厳しい尋問を受けることになりました。
2人は準備していた通りに嘘のアリバイを繰り返します。しかしそのアリバイも崩れてしまい、焦ったリチャードは全てネイサンの犯行だと供述しました。リチャードの裏切りを知らされたネイサンはショックを受け、事件の真実を洗いざらい喋ってしまいます。リチャードは、ボビーを殺害したのはネイサンだと言い張りました。
一方、真実を語るネイサンは、理路整然とリチャードの供述を否定します。2人は裁判にかけられることになりました。弁護士はネイサンとリチャードが同性愛の関係にあったことから、精神異常を主張します。
その甲斐あって絞首刑は免れ、2人は終身刑に加えて99年の懲役刑を科せられることになりました。その判決に、絞首台送り間違いなしと思っていた世間は激怒します。
恍惚の結末:・リチャードの死
ネイサンとリチャードは刑務所で虐待を受けながら服役しました。
10年以上の時が経過したある日、思いがけない出来事が起こります。リチャードがシャワー室で服役囚ジェームズ・デーに殺害されてしまったのです。ネイサンは刑務官に連れられ、息を引き取ったばかりのリチャードを見下ろしました。
無言で彼の指からペアリングを抜き、閉じたその唇に滑り込ませます。ネイサンは激しく嘆き悲しみ、刑務所中に響き渡るような絶叫を上げ続けました。
ジェームズはリチャードからレイプされかけたので抵抗しただけだと訴えます。刑務官は、襲ったのはジェームズの方だと見抜いていました。しかし結局正当防衛が認められ、ジェームズはリチャード殺しの件では無罪になります。
ネイサンは33年間服役し、仮釈放が認められ出所しました。プエルトリコに移った彼はX線技師として働き、結婚もします。そして1971年に死亡しました。2人の数奇な運命を伝え、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「恍惚」のあらすじと結末でした。
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