五日物語 3つの王国と3人の女の紹介:2015年イタリア,フランス映画。グリム童話以前に語り継がれた、おとぎ話の原点に渦巻く人間の欲と業を、中世の古城と絶景を舞台に巧みな映像美で描き出す。17世紀初頭に誕生したおとぎ話「ペンタメローネ 五日物語」を基にしたダークファンタジー映画。
監督:マッテオ・ガローネ 出演:サルマ・ハエック(ロングトレリス国の女王)、ヴァンサン・カッセル(ストロングクリフ国の王)、トビー・ジョーンズ(ハイヒルズ国の王)、シャーリー・ヘンダーソン(インマ)、ヘイレー・カーマイケル(ドーラ)、ほか
映画「五日物語 3つの王国と3人の女」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「五日物語 3つの王国と3人の女」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
五日物語 3つの王国と3人の女の予告編 動画
映画「五日物語 3つの王国と3人の女」解説
この解説記事には映画「五日物語 3つの王国と3人の女」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
五日物語 3つの王国と3人の女のネタバレあらすじ:世継ぎを得る代償に
とある国女王は自分が世継ぎを産めない事を悩んでは、苦しむ日々を送っていた。そこに怪しげな魔法使いがやってくる。彼は生の隣には死があると言って、海の怪獣をとらえその心臓を生娘に料理させ食べれば子供が生まれると言った。王は早速、その怪獣をとらえるべく自ら海へ赴いた。澄んだ水底に眠る怪物に銛を突き立てると、途端にそれは暴れだし、尾が王の鎧を打ち破り、目指す怪獣の心臓を手に入れることはできたが、王妃の下に帰ることなく王は日分部で息を引き取った。城では下働きの中から若い娘が選び出され、たった一人で心臓をゆでていると、その煙が彼女を襲いみるみるうちに彼女の腹は膨らんでいった。そして、その心臓を食べた女王も身籠り、10日で出産した。王の葬列には、まるで王の命をそのまま授かったような王子をあやす女王の姿があった。それから16年後、王子は順調に育った。女王が唯一悩めるのは、王子が自分とそっくりのジョナと仲が良いこと。ジョナは王子を産むために心臓を料理した娘の息子で、そんな召使いの息子と仲の良いことを女王はよく思っておらず、金輪際二人で会う事禁止した。しかし王子とジョナは、いつか戴冠した時、二人で交互に王をやろうと思い描き、ジョナは自分が王子の服を着て女王の元へ行った時バレなかったことを話した。しかしそれをこっそり聞いていた女王は激昂、その夜、家に帰ろうとするジョナを殺そうとした。これ以上この国にはいられないと思ったジョナは、翌日旅に出ようとした。それを止める王子に一本の木の根元を突き刺し水を湧き出でさせると、この水がきれいな間は自分は元気に過ごしていると言って旅立った。
五日物語 3つの王国と3人の女のネタバレあらすじ:歌を見初められた老女
ある好色な王の住む王国で、いつまでも伴侶を見つけることなく放蕩を尽くす王はある日、美しい歌声に聞きほれる。窓から城下を見下ろして声をかけると、粗末な小屋に入っていく人影が見えた。王は高価な宝石を選びそこの家へ送った。しかし、中にいたのは二人の老女。美しい声の持ち主、ドーラは王が勘違いしている事を言い出せず、贈り物をもらってしまい、王が訪ねてくると、妹のインマの指先だけ差し出し、1週間後に伺うので明かりは一切つけないと約束を取り付けた。けれども好奇心に勝てなかった王は、朝窓を開け、自分のベッドにいるのが老婆だと知ると、毛布ごと窓の下の崖にドーラを投げ落とした。森の木にひっかかり、一命をとりとめたドーラは、通りかかった魔女に情けを掛けられ、眠りから覚めると若く美しい姿になっていた。そこへ、狩りへやってきた王は、彼女が自分が投げ落とした女とは知らず、一目で気に入ると、自分の城へ招いた。
五日物語 3つの王国と3人の女のネタバレあらすじ:知りたがりの姫君の婚約者選び
ある国に住む姫はまだ見ぬ大人の世界にあこがれを抱いていた。彼女は父である王に結婚相手を探してくれるように何度も頼んだけれど、王は関心を持たなかった。それもそのはず、王は秘密で飼っている巨大なノミの化け物にかかり切りで姫どころではなかった。しかしある日そのノミが死んでしまう。すると王は姫の結婚相手を選ぶ試練として、ノミの皮をなめし、それがノミのものだと当てた者を姫の夫にしようと考えた。てっきりどこかの王子を婿に選んでくれると思っていた姫は、なかなか当てられず去っていく若者の中で、一人見目の良い若者を見初めると、皮を見分しに来たタイミングで王に何の皮なのか耳打ちで聞いた。王はノミだと答えるがこんな大きな皮になるわけないと姫は信じなかった。すると、その若者も外れてしまい、とうとう答える者がいなくなってしまった。そこへやってきたのが山間に住む鬼。彼は皮を一嗅ぎするだけでそれをノミだと当てた。姫は嫌がり城の塔から身投げをしようとしたが、鬼に連れられて行った。
五日物語 3つの王国と3人の女のネタバレあらすじ:私も若さがほしい
ある日ジョナの残した泉が血になっていることに気づいた王子は、女王の制止も聞かずジョナを探しに森へ入っていく。王子を追った女王が見つけられないことを悩んでいると、そこに再び魔法使いが現れる。かつて子を得るために犠牲を払っている女王にはその願いはたやすかった。森の裂け目に落ちたジョナを見つけた王子は何とか彼を助けようとする。しかしそこへ、化け物が這い寄ってきた。それはジョナばかりを狙う様で、王子は彼をまもりとどめを刺した。彼らが穴から脱出すると、砂になっていく化け物が女王であることがわかる。家に帰ったジョナは森に入っていた五日間の記憶がないと言った。放蕩の王に姉を見初められたインマの元へ、未来の王妃からといって豪華なドレスと、王とドーラの結婚式の招待状が届いた。そして結婚式当日、インマは美しく若返ったドーラを見つけ喜ぶ。ドーラもインマを見つけると駆け寄ったが、老女であるインマが自分の妹であることを知られるわけにもいかず秘密にするように言い含めた。しかし、インマはドーラがなぜ若返ったのか知りたがり、皮を剥いだのだと適当にごまかしても、またどんなに帰るように言っても聞かなかった。そして寝室にまで来たインマは王に見つかり、かつてドーラがされたように窓から投げ落とされた。インマの下に魔女は現れず、彼女は床屋に断られたので刃物を研いでいた職人に自分の皮を剥いでくれと頼み、豪華な襟飾りを代金にした。町の外れで皮を剥がれたインマは若返ることなく、不妊の女王のいる王国までふらふらと歩いて行った。
五日物語 3つの王国と3人の女の結末:姫君の帰還
鬼に連れて行かれた姫は、崖に掘られた岩屋に暮らし始めた。しかし今までの暮らしとは全く異なることに姫は耐えられず、鬼のいぬ隙に向かいの崖に薬草を取りに来た夫人に助けを求めた。夫人は明日息子たちを助けに寄越すと言って去った。翌日、鬼の手伝いをして外に皮を干していると、青年が姫を呼んだ。彼は姫を担ぐと、崖の反対側から張った綱の上を渡った。しかし、途中で鬼に気づかれてしまう。急ぎ渡って綱を切ると鬼は谷底へ落ちて行った。彼ら大道芸人の荷馬車に乗って渓谷を抜けようとすると、死んだと思った鬼が追ってきた。鬼は大道芸人の父親や兄弟を絞殺し、逃げた姫たちを追った。そして、青年が口から火を噴いて応戦するも、夫人と青年も殺されてしまった。一人逃げた姫は観念し岩屋に戻るふりをして鬼におぶさると、その首にナイフを突き立てた。しばらくして、鬼に嫁がせてしまった事を思い悩む王の元へ姫が帰ってくる。彼女はこれがお父様の選んだ私の夫だと言って切り取った首を差し出した。王は退位し、姫が女王になった。戴冠式には不妊の女王の国の王子とジョナ、そして放蕩の王とドーラも出席していた。戴冠式の最中、ドーラは自分の肌が以前のようにしわになっていくのを感じその場から逃げ出した。
五日物語 3つの王国と3人の女のレビュー・感想
グリム童話以前に成立していたこの物語では、女性たちが実に能動的。子を得るためには手段を択ばない女王、若さを求める老女、まだ見ぬ大人の世界に憧れたがゆえに鬼に嫁がされるも、血塗れになり帰還した姫君。助けてくれる魔法使いや魔女はいれど、いわゆる勇敢な王子は出てこない。それぞれに悩みを抱え、子供、若さ、大人の世界へのあこがれというのは今の女性の望むものとさして変わらないのではないのかと、その原点を垣間見たような気がする。
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