ランナウェイ/逃亡者の紹介:2012年アメリカ映画。「偽りの名前。手に入れた別の人生。30年間、守り抜いた“嘘”。」というキャッチコピーで、FBIの捜査網を掻い潜り30年近く行方をくらませていた過激派組織のメンバーの姿を通し、社会の矛盾を描いた社会派サスペンス映画です。実在した過激派組織「ウェザーマン」を題材にした作品です。
監督:ロバート・レッドフォード 出演:ロバート・レッドフォード(ジム・グラント/ニック・スローン)、シャイア・ラブーフ(ベン・シェパード)、ジュリー・クリスティ(ミミ・ルーリー)、サム・エリオット(マック・マクロード)、ジャッキー・エヴァンコ(イザベル・グラント)、ブレンダン・グリーソン(ヘンリー・オズボーン)、テレンス・ハワード(コーネリアス捜査官)、クリス・クーパー(ダニエル・スローン)、スーザン・サランドン(シャロン・ソラーズ)、ほか
映画「ランナウェイ/逃亡者」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ランナウェイ/逃亡者」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ランナウェイ/逃亡者の予告編 動画
映画「ランナウェイ/逃亡者」解説
この解説記事には映画「ランナウェイ/逃亡者」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ランナウェイ/逃亡者のネタバレあらすじ:1.過激派組織「ウェザーマン」
資本主義と共産主義が対立する冷戦の代理戦争とも言うべきベトナム戦争のとき、1969年、アメリカ国内では史上稀にみる反戦運動が巻き起こっていました。その中でも学生たちで組織された過激派グループ「ウェザーマン」は連続爆破テロを開始しました。FBIは彼らを指名手配として捜査しましたが、そのメンバーの1名だけしか捕らえられず、組織は忽然と姿を消しました。その中でもミシガン銀行襲撃事件を起こした主要メンバーのニック・スローン、ミミ・ルーリー、シャロン・ソラーズは、FBIの最重要指名手配リストの網の目を掻い潜り、密かに身を隠していました。
ランナウェイ/逃亡者のネタバレあらすじ:2.再燃
ベトナム戦争から30年後、「ウェザーマン」の主要メンバーであったシャロン・ソラーズは、普通の一家の主婦としてニューヨーク州で生活をしていましたが、ある日、遂にFBIのコーネリアス達によってミシガン銀行警備員殺害容疑で逮捕されてしまいました。地方新聞社『アールバニ・サン・タイム』の編集長レイ・フラーは、若き新聞記者ベン・シェパードに「ウェザーマン」に関連する記事を書くように命じました。まだ、シャロンの他の主要メンバーのニック・スローン、ミミ・ルーリーが逮捕されていませんでした。
ベンはFBIにいる元恋人ダイアナを頼りましたが、地方紙の番記者と侮られました。新聞記者魂に火がついたベンは、執念の取材でジム・グラントという弁護士に辿りつきました。ジムは11歳になる小学生の愛娘イザベルと二人で暮らすシングルファーザーで、優秀で立派な経歴の弁護士でした。ベンは記事を書くにあたり、「ウェザーマン」という組織を再度調べました。そして、ジムは取材で得た情報をもとに「シャロン・ソラーズ 自首直前 FBIが逮捕」という、シャロンを庇うような記事を書き、翌朝、ジムの事務所に押しかけました。
ジムは仕方なくベンの取材にオフレコで応じました。ジムはベンの書いた記事の内容に憤っていました。ベンはジムが主に人権訴訟や労働訴訟を扱ってきた実績があるにも関わらず、この件の訴訟を他の弁護士に紹介したことに疑念を抱いていました。ベンは率直にジムにその事を問い質しました。ジムはその質問をはぐらかし、「私はこの件には一切関係ない」と言い放ち、ベンを追い返し、仕事があると言い、車で立ち去っていきました。ベンはジムの車のナンバーを密かに写真で撮り、社会保障番号から彼の素性を調べました。すると驚くべきことに、ジム・グラントという人物は、1979年以前には存在していなかったことが分かりました。実は彼こそが「ウェザーマン」の元主要メンバーのニック・スローンでした。ベンも素性調査からその真実を突きとめました。
ランナウェイ/逃亡者のネタバレあらすじ:3.逃亡
このベンがジムの正体が突き止めた特ダネは、マスコミを賑わせ、FBIのコーネリアス達はジムの行方を追い始めました。しかし、勘の鋭いジムは、娘イザベラを連れてニューヨークへ行き、弟のダン(ダニエル・スローン)にイザベラを預け、身を隠そうとしました。FBIは弟・ダンを尾行し、ジムを追い詰めましたが、後一歩のところで逃亡されてしまいました。ジムは再び、地下に潜りました。
焦ったFBIのコーネリアスは逮捕したシャロンから情報を聞き出そうとしますが、彼女は黙秘し続けていました。ただ、シャロンはなぜか新聞記者のベンになら話してもいいと言っていました。FBIの取調室に呼ばれたベンに、シャロンは自分が逮捕直前に自首しようとしていた事、反戦運動をしていた当時の状況や切実な思いを静かに語りました。「暴力以外の選択肢もあったはずだ」と指摘するベンにシャロンは「あの頃は政府が虐殺するのを、何もせず黙って見ている事こそ暴力だった」と言い、今でもその信念に変わりはないと言い切りました。シャロンがベンを指名したのは、真実を知ってほしかったからでした。シャロンはニック(ジム)とミミが愛し合っていた事も告白しました。しかし、ミミの行方は誰も知りませんでした。
聴取を終えたベンに、コーネリアスは批判的でした。それはベンの記事にはFBIの功績などが謳われていなかったからでした。ベンはコーネリアスから厳重注意され、目をつけられるハメになりました。
しかし、心の折れないベンはジムの弟・ダンに取材を申し込みました。ダンはそれを了承しました。全国紙の一流マスコミらが取材できない中、ベンただ一人がダンの取材が許されたようでした。ベンはダンの取材をしようとしますが、その二人の会話をイザベルは聞いてしまいました。イザベラは父親ジムに人殺しの過去があることを知り、心を痛めました。その頃、ジムはミミの行方を探して、旧友のドナル・フィッツジェラルドのもとを訪ねていました。ミミは現在も反体制運動に身を投じ、キューバにいるという噂でした。ドナルはジムに車を調達して、元学生運動家だったジェド・ルイスのもとを訪ねるようにアドバイスしました。奇しくもその次の日、FBIによってドナルはジムの逃亡幇助罪で逮捕されました。FBIの捜査が本格的に再開された事を知ったミミは、これまで6つも名前を変えて逃亡してきましたが、再び名前を変えて逃亡しようとしていました。
一方、ベンはジムがなぜ愛娘を置いて逃亡したのか疑念を抱きました。ベンはフラー編集長に逆らい、事件の真相を調査するためミシガンへ行きました。ベンはミシガン銀行襲撃事件の捜査官だったヘンリー・オズボーン元署長を探し、彼の娘レベッカの伝手で取材に成功しました。オズボーンは当時、唯一逮捕されたメンバーの一人が、犯人としてシャロン、ニック、ミミの名を自白したからだと言いました。しかし、ベンはある推理を立てていました。それはジムたちが無実ではないかというものでした。今回の逃走劇もそれを証明するためではないかというものでした。ベンはさらに情報を得ようとレベッカに近づきました。そのうち、ベンは彼女に心を惹かれ始めました。
ランナウェイ/逃亡者のネタバレあらすじ:4.再会
ジムは大学教授となっていたジェドを訪ねて、シカゴに行きました。ジェドは学生運動時、政治組織「民主的社会を求める学生」(SDS)の党員で、ジムたちの破壊的活動に批判的だったので、彼の突然の来訪を迷惑に思いました。しかし、娘のためにもミミの居所を知りたいと言うジムに、ジェドは協力しました。ジムはジェドから聞いたミミの現在の夫マック・マクロードと連絡を取ることに成功しましたが、既にミミは立ち去った直後でした。ミミは陸伝いにビックサーへ向かっていると聞き、ジムはミミの跡を追いました。
ベンは調査中にオズボーンとミミとが少年少女時代に、楽しそうに一緒に映っている写真を発見しました。なんと二人の父親は友人でした。ベンは銀行襲撃事件にオズボーンが関与しているのではと疑念を抱きました。そんなベンに、レベッカは怒りました。しかし、ベンはスクープをものにするため、調査を続けました。ベンはある「危険な逃亡者 地元とのつながり」という記事を発見し、ルーリー家の土地を調べました。ベンはリンダー・ルーリー社所有の土地がカナダ近くのミシガン州アッパー半島にある事を知りました。
その頃、ジムはビックサーに着き、リンダー・ルーリー社所有地にある人目に付かない山小屋でミミとの再会を果たしました。ジムはミミに自首して、娘・イザベラのために自分の身の潔白を証明してほしいと頼みました。実は、ニック(ジム)は何の罪もない人の命を奪うのが嫌で、組織「ウェザーマン」から抜け、ミシガン銀行襲撃には参加していなかったのでした。しかし、ミミはニック(ジム)の頼みを断り、逆に弁護士となり、かつての志をなくしてしまっていると見えるニック(ジム)を非難しました。ミミは今でも当時のままの革命家でした。ミミにも捨て去れない記憶がありました。ミミとニック(ジム)の間には赤ん坊がいましたが、大儀のために親としての責任を放棄したのでした。ニック(ジム)はミミに「この重荷は一生背負わなくてはならない」と告げました。
一方その頃、ジムはオズボーンに再び接触して、彼がミミと親交があった事を指摘しました。ジムはニック(ジム)がミミを追って逃亡しているのは、自らの身の潔白を明かすためだと気づきました。しかし、それではミミが監獄行きになります。オズボーンは全ての事を悟っていましたが、ジムがその事を記事にすれば、目的は正しくとも、その結果、罪のない多くの人達を騒動に巻き込み、傷つける事になるだろうと忠告しました。オズボーンには他にも自分なりに片付ける事があるようでした。
ランナウェイ/逃亡者のネタバレあらすじ:5.真相
ベンの携帯にレベッカから電話がかかってきました。レベッカの携帯電話にオズボーンから山のような着信が入っていたからでした。ベンはそれを聞き、レベッカがオズボーンの養女である事から真相を察知しました。なんと30年前、ニック(ジム)とミミの間にできた娘とは、レベッカのことでした。オズボーン夫妻はミミに頼まれ、レベッカを養女として育てていたのでした。オズボーンはその真実を全てレベッカに告白しました。そして、オズボーンはレベッカに「人は過ちを犯す」と告げ、FBIに投降しました。
FBIはヘリコプターを飛ばし、山小屋の直ぐ近くまで接近していました。その前にルーニー家の土地を調べたベンが、一足先に山小屋にやって来ました。小屋にはジムがいましたが、既にミミは逃亡した後でした。ジムの無実を確信していたベンは、二人の娘のレベッカに会ったことを打ち明けました。それを聞いたジムは、ベンの記者魂に感心しながらも、「そんな記事を公表したら、望んだものと異なる反応が起こるだろう。秘密は危険を伴う。…扱いを間違えれば自爆するぞ」と忠告しました。FBIはジムの居場所を探し当てました。ジムはFBIの注意を自分にひきつけて、ミミを遠くへ無事に逃がすために反対側の山奥へと逃げ込みました。その間にミミはヨットで海路を使い、逃亡する手はずでした。必死で逃亡していたジムでしたが、寄る年波には勝てず、ついにFBIに追いつかれて逮捕されてしまいました。一方、ミミはヨットでの逃亡に成功しましたが、葛藤の末、ヨットをUターンさせました。
ランナウェイ/逃亡者の結末:6.幸せへの道
ベンは「ニックとミミの娘は元署長の養女に」という、レベッカの出生暴露の原稿を書きました。しかし、ベンは記事にするか、どうか迷っていました。その時、テレビでミミが自首し、自分が有罪であると供述し、ジムは潔白であることを明かしたという速報を目にしました。遂にジム(ニック)への襲撃事件犯への疑いは晴れたのでした。ベンのもとにフラー編集長から記事を催促する電話がかかってきましたが、ジムは無視して、これを記事として出す事をやめました。
無実が証明され、釈放されたジムは、愛娘イザベルと再会しました。二人は再び、平穏で幸せな生活へと手をつなぎ歩きだしました。
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