クーリエ:最高機密の運び屋の紹介:2020年イギリス,アメリカ映画。1960年代初頭、アメリカとソ連の核武装競争が激化するなか、一人の英国人セールスマンがCIAとMI6からGRUのオレグ・ペンコフスキーとの接触を依頼される。1962年、カリブ海のキューバにソ連が核ミサイル基地を建設していることが発覚。両国は一触即発、世界は危機に陥った。全人類を震撼させたこの「キューバ危機」に際し、戦争回避に大きな役割を果たしたのが、名もなきセールスマンだった。キューバ危機の裏で実際に繰り広げられた諜報戦を描いたスパイ・サスペンス。
監督:ドミニク・クック 出演:ベネディクト・カンバーバッチ(グレヴィル・ウィン)、メラーブ・ニニッゼ(オレグ・ペンコフスキー/アレックス)、レイチェル・ブロズナハン(CIA:エミリー・ドノヴァン/ヘレン)、ジェシー・バックリー(ウィンの妻)、アンガス・ライト(MI6:ディッキー/エームズ)、ジェリコ・イヴァネク(CIA長官マコーン)、キリル・ピロゴフ(KGB:グリバノフ)、アントン・レッサー(MI6:ベルトラン)、マリア・ミロノワ(ペンコフスキーの妻)、ウラジミール・チュプリコフ(フルシチョフ第一書記)ほか
映画「クーリエ:最高機密の運び屋」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「クーリエ:最高機密の運び屋」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
クーリエ:最高機密の運び屋の予告編 動画
映画「クーリエ:最高機密の運び屋」解説
この解説記事には映画「クーリエ:最高機密の運び屋」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
クーリエ:最高機密の運び屋のネタバレあらすじ:起
1960年8月12日、モスクワ。
ホールに集まった人々の前で熱弁をふるうフルシチョフ第一書記。
「核兵器でアメリカを必ず叩きのめす!」そう力強く叫ぶと、聴衆は一斉に立ち上がり、大きな拍手を送りました。フルシチョフの背後に居並ぶ高官のひとり、オレグ・ペンコフスキーは複雑な表情を浮かべ拍手を送りました。
それから4カ月後のロンドン。
CIAのエミリー・ドノヴァンは、MI6のオフィスに出向きディッキーとその上司ベルトランを訪ねました。
エミリーが持参したファイルには、オレグ・ペンコフスキー、コードネーム:アイアンバークというソ連長官の情報が収められていました。
ベンコフスキーは、第二次世界大戦中、砲兵将校として13回表彰され、今は化学技術委員長を務めていますが、本当の顔はGRU(ソ連軍参謀本部情総局)の大佐とのこと。そのベンコフスキーから「核戦争勃発の危機を封じる手助けをしたい」という米国政府への申し出が綴られていたのです。
クーリエ:最高機密の運び屋のネタバレあらすじ:承
エミリーはただちにペンコフスキーからの情報の“運び屋(クーリエ)をスカウトするために、MI6に協力を仰ぎ、エミリーは“ヘレン”、ディッキーは“商務庁のジェームズ”と身分を偽り、KGBが気に留めない出張の多いビジネスマンとして工業製品を売っているセールスマン、グレヴィル・ウィンをランチに招きました
安全を保障され申し出を受けたウィンは、ソ連へ飛び科学技術委員会でプレゼンを終えると、代表のペンコフスキーとランチを共にし、夜はボリショイ・バレエに招かれました。その帰り道、ペンコフスキーは静かにウィンに近寄り、次は貿易使節団と自分をロンドンに招いてほしいと伝えその場を立ち去りました。
後日、使節団一行をロンドンのウェストエンドで盛大に接待したウィンは、ペンコフスキーをヘレンとジェームズに引き合わせました。
フルシチョフのような衝動的な男の手に核の発動ボタンがあるのは危険だと訴えたペンコフスキーは、クレムリンの情報を武器ではなく平和の礎にしてほしいと話しました。
これまでは明かされていなかった任務の内容が核戦争にかかわる重大な役割だと知ったウィンは、妻子を理由に任務続行を拒絶しましたが、その晩、自宅を訪ねてきたペンコフスキーから説得されウィンは覚悟を決めました。
クーリエ:最高機密の運び屋のネタバレあらすじ:転
「スパイの掟」に従い、モスクワ出張を続けるウィン。妻シーラは、夫の挙動に疑惑の目を向けましたが、真実を話すことは許されておらず、夫婦の関係は冷めていくばかり。しかし、その間にもソ連は東西ベルリンの境界線を封鎖し、核実験を成功させていきます。
それに対するケネディ米大統領は武装強化を表明。米ソの緊張は日々増していきました。
そんな中、ソ連の最高幹部会議において、アメリカの裏庭と呼ばれたキューバに核兵器の配備が決まりました。
この決定に危機感を募らせたペンコフスキーは機密資料からマイクロカメラに証拠を収め、ウィンを通じて次々と西側に送られていきました。
平和への願いと命がけの任務は2人を固い友情でつないでいきました。
ところが、2人に恐怖が襲い掛かります。
KGBが怪しみ、毒を使ってペンコフスキーを病院送りにしてしまったのです。
幸い命に別条はありませんでしたが、ヘレンとジェームズは急遽ウィンのモスクワ出張を取りやめにし、任務を解任。ベンコフスキーについては諦めようと言うのです。それは見捨てることを意味します。
ウィンは、ペンコフスキー一家を亡命させる約束を果たすべきだと食い下がり、友人を必死で助けようとします。
こうして、ウィンは最後の任務として、ペンコフスキー一家を国外へ逃げさせる作戦を担うことに。
ところが作戦は入念な調査を続けてきたKGBによって見破られてしまいました。
1962年10月22日。ペンコフスキー逮捕。
続いてウィンも捕まってしまいました。
クーリエ:最高機密の運び屋の結末
極寒のモスクワ。薄い囚人服1枚の姿で冷たい部屋にひとり収監されたウィン。
食事として与えられた粗末なスープには食べ物以外のものも混ざっていてとても口にできるものではありませんでした。
時に豪華な食事を前に、自白を迫られるウィンでしたが、頑としてペンコフスキーを売ろうとはしませんでした。
そんな中、カリブ海の海中ではもうひとつのドラマが生じていました。
ソ連の潜水艦隊が米海軍の警告攻撃を受け、攻撃を回避。フルシチョフがキューバからのミサイル撤去をラジオ声明で明らかにしたのです。
このニュースはのちに、面会に来た妻シーラによってウィンも知ることになります。
一方、供述の取れないウィンにしびれを切らせたKGBは、ペンコフスキーとウィンを引き合わせ、話させることにしました。しかしこれは大失敗に終わります。
証拠があげられないばかりか、ウィンはペンコフスキーが裏切っていなかったこと確信します。
「世界を平和にしたかった」
ペンコフスキーの言葉に、当局はウィンを連れ出します。
そしてウィンは去り際に、ソ連がキューバから撤退した事実を伝え
「君は成し遂げた!」と声高に叫びました。ペンコフスキーは笑みを浮かべました。
1964年。イギリスが拘留していたソ連のスパイ、コロン・モロディと引き換えにウィンは解放されました。
マスコミに囲まれ自宅に入るウィン。
入った瞬間に一瞬顔がこわばりました。それは帰ってきた今でも完全に元通りに戻れていないことを物語っているかのようでした。
一方、ペンコフスキーはそれより前の1963年に秘密軍事裁判で死刑判決を受け銃殺。
ウィンはその後、セールスマンに戻りキャリアを続け1990年死去しました。
以上、映画「クーリエ:最高機密の運び屋」のあらすじと結末でした。
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