ファイナル・カウントダウンの紹介:1980年アメリカ映画。1980年空母ニミッツは、訓練航海の為真珠湾を出航した。ニミッツは出航して間もなく奇妙な嵐に遭遇する。無事嵐を抜けると、ニミッツは遭遇前と若干違う状況に居る事に気付く。偵察等を行い知った事は、ニミッツは1941年、真珠湾攻撃直前にタイムスリップしていた事だった。その事実を知った空母ニミッツは、歴史へ介入するかどうかで揺れ動く。現役の原子力空母と艦載機を使ったSF映画。F‐14戦闘機とスカルマークを一般にも強く印象付けた作品。
監督:ドン・テイラー 出演者:ウォーレン・ラスキー(マーティン・シーン)、リチャード・T・オーエンス中佐(ジェームズ・ファレンティノ)、ローレル・スコット(キャサリン・ロス)、マシュー・イーランド艦長(カーク・ダグラス)、サミュエル・チャップマン上院議員(チャールズ・ダーニング)
映画「ファイナル・カウントダウン」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ファイナル・カウントダウン」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ファイナル・カウントダウン」解説
この解説記事には映画「ファイナル・カウントダウン」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ファイナル・カウントダウンのネタバレあらすじ:第1幕
1980年ハワイ、ラスキーは真珠湾を離れ、訓練航海に出る空母ニミッツに情報アナリストとして乗艦します。それは、ニミッツを建造した造船会社社長の要請でした。時代の先を読み続けて財を成したその社長は、乗り込むラスキーを見送りには来ましたが車からは降りず、その顔を見せませんでした。ラスキーの乗ったヘリは、撃沈されて記念碑となってる戦艦アリゾナの上空を通り、空母に着艦します。ブリッジに案内された彼は、艦長イーランドに乗艦を許可されます。艦長はラスキーに、社長の一言で空母の出航が遅れた事を冗談めかして言います。その頃、艦には奇妙な嵐が近付きつつありました。ラスキーに用意された船室は、飛行長オーエンスの船室と繋がっていました。隣室を使う事を挨拶する為に、ラスキーはノックして彼の船室に入ります。しかしオーエンスは不在で、その代わり彼の机には、書き掛けの太平洋戦争に関する論文が置かれていました。ラスキーは、その論文を読み始め、外が嵐になっている事も、オーエンスが戻ってきた事も気付かない程夢中になります。オーエンスが勝手に持ち物を弄った事を嗜めると、ラスキーはよく出来た論文だと誤魔化すように誉めます。空母は嵐に吸い込まれるように突入していきました。通常とは違う嵐に艦長は、随伴艦に港に戻るよう命令を出します。訓練中の艦載機が着陸準備をしていた筈ですが、レーダーに機影が映らず、甲板では非常事態に備えてバリアーを使っての緊急停止準備も整えます。空母は光のトンネルを抜けます。乗務員達を酷い頭痛が襲い、電子機器がスパークします。そして嵐を抜けると、着陸準備をしていた艦載機が消えていました。艦長は戦闘配置を命令します。その後、すぐに艦載機が姿を現し、バリアーに受け止められ無事着艦します。しかし、パイロットは気絶していました。艦内を点検し、機材に異常が無い事は確認されましたが、何処とも交信が出来ません。しかし、謎の暗号信号が飛び交っているのは確認できました。位置は変わっていないようでしたが、レーダーに映っていた漁船や随伴艦が消えていました。通信仕官は、昔の通信が飛び交っているのを面白がって聞いています。艦長は電子哨戒機を発進させ、交信途絶の理由を探ります。艦長が士官を集め対策を話し合っている頃、別に出撃させていた偵察機は真珠湾を上空を飛行していました。しかしそのパイロットは、見慣れぬ艦が集結している事を疑問に思います。待機要員のラジオからは、古い放送が流れてきます。艦長は、部下の進言で戦闘配置を第三警戒態勢に緩め様子を見ます。
ファイナル・カウントダウンのネタバレあらすじ:第2幕
レーダーに船影が映り、偵察機が発進していきます。入れ替わりに、真珠湾で写真を撮ってきた偵察機が着艦します。レーダーに映ったクルーザーでは、チャップマン上院議員がルーズベルトの演説を聞き、秘書のローレルが書いたそれに対するようなスピーチ原稿を賞賛します。その時彼女の飼い犬チャーリーが吠え始め、轟音が近付いてきます。彼等のクルーザー上空を、空母から発進した偵察機が2機通過していきました。見た事のない可変翼ジェット戦闘機、しかもアメリカの国籍マークを付けた機体に彼等は驚愕します。空母では艦長が、偵察機から古いクルーザーを確認した報告を聞き、更に、受信されたラジオ電波から、第二次世界大戦前のボクシング中継に眉を潜めます。艦長達は、民間人のラスキーがこの事態に乗り合わせている事で、何かの極秘試験が行われているのではないかと疑念を抱きます。ラジオが伝えるナチスの侵攻状況を報道を聞き、艦長達は偵察機の撮ってきた写真を見て軽く混乱します。そこには無傷のアリゾナが写っていました。艦長はラスキーに試験を行っているか問い質しますが、彼も何が起きているか判っていません。彼は写真を見せられ、オーエンスに意見を求める事を勧めます。オーエンスは、博物館から貰ってきた、真珠湾攻撃直前の艦隊を写した写真を持ってきましたが、偵察機の写真と同じ編成でした。レーダーが低空飛行している機体を感知し、偵察機もそれを確認します。それは、日本の国籍マークを付けた零戦でした。これも訓練かと悩む艦長に、ラスキーは空母がタイムスリップしたという突拍子もない事を言い出します。チャップマンのクルーザーに零戦が接近します。零戦はクルーザーを確認し撃沈にかかります。艦長は、1941年ならば現在連合艦隊がいるであろう位置に電子哨戒機を飛ばすと、偵察機から零戦が攻撃を開始した報告を受けます。しかし、偵察機が攻撃をされている訳ではないので零戦に対しての攻撃命令は出せません。手をこまねいていると、クルーザーは撃沈され、死者も出ます。業を煮やした偵察機は、零戦に接近して引っ掻き回し始めます。零戦は、背後に着かれた戦闘機を振り切ろうとしますが、F‐14戦闘機とは性能差がありすぎてどうにも出来ません。その内、零戦の進路が空母に向いたを憂慮した艦長は、偵察機に撃墜命令を出します。F‐14は、我慢した鬱憤を晴らすかのように零戦を一蹴し、撃墜しました。そして先ほど発進した電子哨戒機は、真珠湾に向かう艦隊を確認したという報告をしてきます。
ファイナル・カウントダウンのネタバレあらすじ:第3幕
オーエンスの乗る救助ヘリは、クルーザーの生存者と犬一匹を救出します。オーエンスは救助したのがチャップマンだと知り驚きます。また、別なヘリが零戦から脱出したパイロットを捕虜にします。ヘリは空母に帰還し、捕虜の持ち物から日本軍パイロットだと確認され、艦長達は1941年に居る事を認識しました。部下から連合艦隊への攻撃を進言されますが、艦長はまだアメリカが攻撃されていない事を理由に却下します。ラスキーは、ニミッツがこの時代に来た可能性を示唆しますが、オーエンスは歴史の改竄に反対します。艦長は成り行きに任せる事に決定しました。船室に戻ったラスキーはオーエンスの論文を盗み読んで、チャップマンが大統領候補になる可能性を持っている事に驚きます。未知の技術で出来た知らないアメリカの兵器にチャップマンが落ち着かないで居ると、チャーリーが逃げ出します。隣の医務室で尋問を受けていた捕虜は、犬が逃げ出した事に気をとられた憲兵からライフルを奪い、脱走を試みます。チャップマンとローレルにライフルを向け、捕虜は艦内通信で通信機の使用を要求を出します。通訳を介し要求を聞いた艦長は、既に負傷者を出している事もあり捕虜の要求を飲む事にしました。丁度医務室を訪ねていたラスキーは一計を案じ、一緒に居たオーエンスに真珠湾攻撃の事を詳細に話させます。極秘になっている筈の作戦を聞かされた捕虜は、大きく動揺します。その隙を突いて無事だった憲兵が銃を抜き、再度銃撃戦が置き、捕虜は射殺されラスキーが流れ弾で腕を負傷しました。ショックを受けるローレルをオーエンスが落ち着かせます。チャップマンは艦長と面会し、先程の情報を真珠湾司令部に報告したか問います。艦長が艦の事情などもあり伝えられないと答えると、チャップマンは自分で伝えると言い出します。艦長は、自分の船室に通信機を持ち込ませて真珠湾と通信を繋ぎます。チャップマンはニミッツに乗艦していると言い司令部に繋ぐよう要求しますが、通信兵は存在しない艦から来た違法な通信をいたずらと取り、取り次ぎませんでした。チャップマンは艦から下ろすよう要求し、艦長はそれを了承します。ラスキーは、チャップマンが真珠湾攻撃前に行方不明なっている事を言います。艦長は、二人を真珠湾に程近い無人島に下ろしてくるようオーエンスに命令を出します。オーエンスと二人を乗せたヘリは、ラスキーに見送られて発艦していきます。
ファイナル・カウントダウンの結末
艦長は、全乗組員に空母が1941年真珠湾攻撃直前に居る事を説明、連合艦隊への攻撃を行い真珠湾奇襲阻止する事を決断、命令を下します。ラスキーは残されたチャーリーと出会い、保護します。その頃、無人島に到着したヘリで真珠湾でない事を知ったチャップマンは激怒し、発光弾を盗み出してパイロットを脅します。ヘリは、先にローレルと共に降りたオーエンスを残し、真珠湾に向かおうとします。しかし、乗員とチャップマンがもみ合いになり、発光弾を暴発させてヘリは爆発してしまいました。途方にくれるローレルは、ヘリから下ろされたサバイバルキットの製造年月日を見て、オーエンスの素性に気付きました。空母ニミッツから発艦した攻撃隊は、連合艦隊へと到達しようとしていました。ですがその時、レーダーに先日遭遇した嵐の反応が確認されました。それはニミッツを追ってきて、逃れる事は出来ませんでした。艦長は攻撃隊に帰投を命令します。ラスキーは攻撃すれば歴史が変えられると反対しますが、艦長は聞き入れませんでした。嵐がニミッツを巻き込みます。連合艦隊は真珠湾の奇襲を成功させ、アメリカは太平洋戦争に突入していきます。嵐を無事通り過ぎたニミッツは、攻撃隊の姿を探します。間もなくして、嵐を通り過ぎてきた攻撃隊の姿が確認され、全機無事帰還を果たしました。ニミッツは真珠湾に入港し、式典の為に提督達が乗り込んで来て、艦がどこで迷子になっていたのか聞いてきます。艦長は説明できず、苦笑いで誤魔化します。入れ替わりにラスキーがチャーリーを連れて下艦します。そのラスキーを社長の車が迎えに来ていました。そしてその車に、何故かチャーリーは駆け込んで行きます。社長秘書は車には社長夫妻が乗っていると言い、ラスキーを車に招き入れます。そこで初めて会った筈の社長夫妻の顔に懐かしい面影を見ます。40歳以上年上になっているオーエンスは、ラスキーに良く帰って来たと声を掛けます。その横にはローレルが座っていました。40年振りの再会を祝し、車は発進していきました。
この映画「ファイナル・カウントダウン」は、アメリカの最新式の原子力航空母艦が太平洋を航行中、突然タイム・スリップを起こして、過去の真珠湾攻撃に向かう日本の海軍航空隊に遭遇するというSF大作だ。
その原子力空母ニミッツ号の艦長イエランド大佐(カーク・ダグラス)としては、戦前の日本軍の航空隊などを撃滅するのは、赤子の手をひねるように簡単なことだが、すでに解決してしまった歴史上の事件を変化させることは、その後の歴史を狂わせることになるから、容易に決断できないのだ。
その間に、もし真珠湾攻撃の前日に謎の失踪をしていなければ、後に大統領になっていたかもしれない上院議員(チャールズ・ダーニング)のヨットが、空母の先に現われ日本軍の零戦に襲われて沈められたり、その零戦をジェット機で撃墜して、日本のパイロットを捕虜にすると、その日本軍人は大和魂を発揮して暴れたりする。
そして、ついにイエランド大佐が日本の機動部隊を叩く決意を固めた時、再びタイム・スリップが起こって現在に戻ってしまう。
タイム・スリップ中に、上院議員とその女性秘書(キャサリン・ロス)をヘリコプターでハワイの孤島に送り届けたまま置き去りになった空母の副長オーエンズ中佐(ジェームズ・ファレンチノ)は、女性秘書と共にそこに残ったため、イエランド大佐が無事、真珠湾に寄港した時には、もう老夫婦になって出迎えるというオチがついている。
この映画の魅力は、そうした着想の奇抜さやサスペンスよりもむしろ、最新式の原子力空母に実際にロケーションしたところにあると思う。
空母の甲板からジェット機が発進し、帰着する。
そのメカの迫力は、なかなかのもので、昔の航空母艦より格段に豪快なものだ。
タイム・スリップの瞬間は、洋上の稲妻と大きな渦巻で表現されているが、ドン・テイラー監督の演出がうまくないので、思ったほどの面白みが出ていなかったと思いますね。