92歳のパリジェンヌの紹介:2015年フランス映画。92歳の誕生日を迎えたマドレーヌ。親族が開いた誕生パーティの席で、2ヵ月後に自ら命を絶つと宣言する。マドレーヌの言葉に驚いた娘のディアーヌは、なんとかして思いとどまらせようと必死になるが…。元フランス首相リオネル・ジョスパンの母親、ミレイユ・ジョスパンの実話を小説化した「最期の教え」が原作。尊厳死を切望する母親と、悩み苦しみながらも母親に寄り添おうとする娘をマルト・ヴィラロンガとサンドリーヌ・ボネールが熱演している。
監督:パスカル・プザドゥー 出演者:マルト・ヴィラロンガ(マドレーヌ)、サンドリーヌ・ボネール(ディアーヌ)、ザビーネ・パコラ(ヴィクトリア)、アントワーヌ・デュレリ(ピエール)、グレゴアール・モンタナ(マックス)、ギルス・コーエン(クロヴィス)、ジョナス・ディナール(ディディッド)ほか
映画「92歳のパリジェンヌ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「92歳のパリジェンヌ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
92歳のパリジェンヌの予告編 動画
映画「92歳のパリジェンヌ」解説
この解説記事には映画「92歳のパリジェンヌ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
92歳のパリジェンヌのネタバレあらすじ:起
若かりし頃は、世の中の改革を唱える活動家だったマドレーヌ。しかし年老いた現在、思うように動かない体に苦痛を感じる日々を過ごしていました。92歳の誕生日、親族達が開いてくれた誕生パーティでマドレーヌは爆弾宣言をします。素晴らしい人生だったがもう疲れた。2ヵ月後の10月17日にこの世を去るつもりだ――。娘のディアーヌと息子のピエールをはじめ、孫のマックスもただただ絶句。パーティは気まずいまま終わり、ディアーヌ達がマドレーヌを独り暮らしのアパートへ送ると、部屋の中には昔の写真や懐かしい品々が散らばっています。ピエールは母親のことを老人性のうつだと判断。老人ホームへ入れるべきだと言います。母親を想うディアーヌは大反対しますが、かといって母親の言う通りにするつもりなど毛頭ありません。マドレーヌの気持ちを理解してくれるのは、メイドの天真爛漫なアフリカ系女性、ヴィクトリアだけでした。ディアーヌの息子で祖母想いのマックスは、オーストラリアでサーフショップを開こうと計画中。5月には戻るから、それまでは生きていてよとマドレーヌに頼みます。ディアーヌもまたマドレーヌに同居を提案し、なんとか考え直してと説得します。しかしマドレーヌの決意はびくともせず、ディアーヌにはもっと時間をちょうだいと頼むのが精一杯です。
92歳のパリジェンヌのネタバレあらすじ:承
ある晩、電話に出ない母親を心配したディアーヌは、マックスと共にアパートへ駆けつけます。マドレーヌはバスルームで気を失っていました。救急車で病院へ運び、そのまま入院。ディアーヌは医者に、35日後に死のうと決めている母親を止めてほしいと頼みます。ベッドの上のマドレーヌは、病院で死ぬのはいや、もう死なせてと言うばかり。ピエールは怒って病室を飛び出します。マドレーヌは、隣のベッドの老人シャルリーと親しくなります。シャルリーもまた、今すぐ死にたいと考えていました。ある日、マドレーヌは病院の外で産気づいている女性を見つけます。助産婦の経験があるマドレーヌは無事に赤ちゃんをとりあげますが、無理をしたせいで体調を崩し、病院のベッドで寝込みます。夜中、マドレーヌは寝ている間にシーツを濡らしてしまった自分に気づきます。看護師は笑顔でおむつを渡しますが、マドレーヌにとってはショックなことです。翌日、面会に来たディアーヌは、うちひしがれるマドレーヌを見かねて、病院から連れ出し家まで送り届けます。自宅に戻ったマドレーヌは大喜びし、ディアーヌとワインで乾杯します。昔の写真を眺めていると、ディアーヌに母親との懐かしい思い出が蘇ります。マドレーヌの服を脱がせ、お風呂に入れたディアーヌは、母親の言う通りにしようと決意します。でも日付は知りたくないと言うディアーヌに、マドレーヌも“決行”を先延ばしにすると約束します。
92歳のパリジェンヌのネタバレあらすじ:転
母親が病院を出たことすら知らされなかったピエール。マドレーヌの家を訪ねて怒りをぶつけ、彼女が死ぬために隠していた薬を探し出し、持って帰ってしまいます。ディアーヌがマドレーヌを訪ねると、マドレーヌはピエールの仕打ちに涙しています。2人は家族の昔のビデオを見て、ディアーヌはマドレーヌが若い頃に来ていた赤いワンピースに袖を通します。ディアーヌはマドレーヌを診た医者達から処方箋を受け取り、薬局から大量の薬を調達します。マドレーヌは嬉しそうですが、ディアーヌにとっては苦しみでもあり、夜は悪夢にうなされて目覚めてしまいます。息子との和解を望むマドレーヌは、ピエールをお茶会へと呼びます。しかしピエールは母親を避け、独りで教会に座り込みます。一方、マックスはマドレーヌの家を訪ね、マドレーヌが初恋の男性ジョルジュと今でも手紙を交わしていることを知ります。マックスからジョルジュの話を聞いたディアーヌとピエールは驚きます。母親のことで夫と口論になり、落ち込んだディアーヌに声を掛けてきたのはマドレーヌを病院で世話した看護師でした。彼に誘われ、スタジアムへ来たディアーヌ。赤いドレスのまま、トラックを走っているうちに気分が晴れていくのでした。
92歳のパリジェンヌの結末
その後ディアーヌは、マドレーヌを連れて遠く離れた土地に住むジョルジュの屋敷を訪ねます。再会を喜ぶジョルジュに別れを告げ、心残りが消えたマドレーヌの決心は固まったようです。長年乗っていた愛車も売り、家に戻るとディアーヌに決行の日を告げます。ディアーヌは動揺しますが、母親の願いを受け入れます。ヴィクトリアはマドレーヌに言います。アフリカでは、死者は何にでも宿る。空気にも木にも。それを聞いたマドレーヌは笑い出します。ディアーヌはマドレーヌの家を訪ね、母と娘の最後の時間を過ごします。ワインで乾杯し、笑い合い抱き合い、一緒にお風呂に入ります。別れの時間になり、ディアーヌはマドレーヌを抱きしめ、電話してと言ってそのまま振り向かずに帰って行きます。マドレーヌの決行の日。ディアーヌと夫とマックス、そしてヴィクトリアとマドレーヌの隣人ディディッドが夕食会を開きます。彼らはひたすら、マドレーヌからの最後の電話を待っています。約束の時間が過ぎても電話は鳴らず、ディアーヌの心はかき乱れます。同じ頃、ピエールは独りで車の中に座っていました。彼もまた、母親の死と向き合うことに大きな苦しみを感じています。電話が鳴り、受話器を取ったディアーヌの耳にマドレーヌの声が聞こえます。今までの感謝を告げて、マドレーヌの電話は切れました。ディアーヌは、はつらつと笑う若き日の母親を思い浮かべます。
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