メットガラ ドレスをまとった美術館の紹介:2016年アメリカ映画。メトロポリタン美術館服飾部門の一大イベントメットガラ。アジア美術部門と共同で開催した『鏡の中の中国』展に密着する。
監督:アンドリュー・ロッシ 出演者:アナ・ウィンター、アンドリュー・ボルトン、ウォン・カーウァイ、ジャン=ポール・ゴルチエ、カール・ラガーフェルド、ジョン・ガリアーノ、バズ・ラーマン、リアーナ、ほか
映画「メットガラ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「メットガラ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
メットガラ ドレスをまとった美術館の予告編 動画
映画「メットガラ」解説
この解説記事には映画「メットガラ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
メットガラ ドレスをまとった美術館のネタバレあらすじ:起・服飾の祭典
メトロポリタン美術館で行われる世界最大のファッションイベント、展示会ガラ。半面、ファッションはメトロポリタン美術館に属するべきではないと言う声もあり、服飾部門はまだ肩身が狭かったが、デザイナー・マックイーンの回顧展をきっかけに美術評論家たちの見解が変わり、アートと認識され始めた。以来、展覧会はこの回顧展と比較されるようになった。そこで、ファッションの立ち向かう挑戦的な面に魅力を感じているアンドリューは、アジア美術部門と共同で『鏡の中の中国』という、企画を立ち上げ、中国に西欧が魅せられて行く様を展示する展覧会の企画を立ち上げた。
まず訪ねたのは、ディオールのデザイナー、ジョン・ガリアーノ。中国の神秘性に惹かれている彼は、中国の再現ではなく、ファンタジーとして興味を持ち、ファッションの中に物語として中国を織り込んでいた。
メットガラ ドレスをまとった美術館のネタバレあらすじ:承・アンドリューとアナ
メットガラは、元々ダイアナ・ヴリーランドが資金集めに始めたファッション業界の内輪のパーティーだった。
今回の展示に中国の協力を仰ぐのは政治的に難しいかもしれないとしながらも、ヴォーグ側はパーティーのセッティンングから席順まで余念がない。編集長のアナはこの多文化の祭典でハイカルチャーと大衆文化を交配させようとしていた。
一方アンドリューは西欧に対する中国映画のインパクトを揚げ、ウォン・カーワイ監督を企画展の美術監督に呼んだ。しかしアジア美術のキュレイターはこの企画展示の方向性を心配していた。五ヶ月前になっても大きな展示のはずなのに政治的ハードルが高く、詳細が決定しないのは、展示をすることで誤解を生まないかを心配していて、慎重に、批判されないようにしているからだった。例えばどれくらい古典的な中国にするのか、文革時代の人民服も展示の仕方によって中国政府に誤解を与えかねないの物だった。
メットガラ ドレスをまとった美術館のネタバレあらすじ:転・中国との交渉
アンドリューが北京で展示についての会見を行うと、この展示は間違いなく論争を呼ぶと言われたが、展示は挑戦的であるべきと考える彼にとってそれは怖くなかった。しかしウォン・カーワイは文革の服を仏陀像と一緒に展示する事は、毛沢東の神格化になりかねず、中国人と仏教徒に誤解を招きかねないと苦言を呈した。また、中国側の取材陣は、この展示に現代の中国の展示がない事を挙げ、歴史に重点を置いていると説明しても、ファンタジーは曲解を生む、西欧人による中国だとすべて政治的に解釈していた。しかし、展示の中にはグオ・ペイ等、中国人のデザイナーの物もあり、文化を壊してきた中国の、昔の人々の伝統を再び花開かせたいと説得を試み、過去を向いていると中国側に言われるのに対し、ならば今の中国アートとは何か、今は何もなく、過去を見る事で始まると説明した。
展示まで三ヵ月を切った。ファッションはアートか否か、デザイナーはアーティストではなくその定義があいまいで方向性に悩むアンドリューは挫折しそうだったが、百科事典的な美術館としてこの企画展示を続けたいと決めていた。
メットガラ ドレスをまとった美術館の結末:開催間近まで試行錯誤
展示の30時間前までリハーサルや席順の見直し、照明や他の展示品との置き方に気を配り走り回るアンドリュー。
その頃、アナは招待客のドレスの直しを行っていた。彼女にとってメットガラは商業目的ではなくカルチャーのための催しだった。
当日、中国を意識したドレスを身に纏ったセレブたちが到着し、展示を見て回り、報道陣はレッドカーペットの上を歩く彼らの写真を撮った。客たちが歓談する中、アンドリューは、かつてヴリーランド夫人が手掛けていた服飾部門が地下に追いやられていると言う男性と話をした。
一般公開が始まると長蛇の列ができ、延べ宇80万人以上が訪れ回顧展を抜いて歴代五位の記録になり、このメットガラは美術館の資金として最高額を集めた。その後、アンドリューは2015年に服飾部門の責任になった。
以上、映画「メットガラ ドレスをまとった美術館」のあらすじと結末でした。
メットガラ ドレスをまとった美術館のレビュー・考察:ファッションはアートなのか
歴史資料としての服飾品は存在する。いわゆる美術品と呼ばれるものと異なる点は、製作された時点ではあくまで使用目的であり、美術的価値があったとしても製作者はそれをアート作品とは呼ぶこと滅多なことではない。しかし、このメットガラでは、中国の陶磁器へのオマージュで作られたドレスや、文化革命時代の人民服等、様々な角度から服飾とは何かという命題が改めて提示される。服飾史とはまた別の視点、『ファッション』として今まさに生きている服飾見ると言う点で、メットガラはとても興味深い。
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