きつねと私の12か月の紹介:2007年フランス映画。学校へ行く途中の森できつねを間近で見た少女は、すっかり虜になってしまう。少女と野生のきつねの交流を美しい景色と共に描く。
監督:リュック・ジャケ 出演者:ベルティーユ・ノエル=ブリュノー(リラ / 少女)、イザベル・カレ(リラ / 現代)、トマ・ラリベルテ、ほか
映画「きつねと私の12か月」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「きつねと私の12か月」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
きつねと私の12か月の予告編 動画
映画「きつねと私の12か月」解説
この解説記事には映画「きつねと私の12か月」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
きつねと私の12か月のネタバレあらすじ:起・きつねとの出会い
リラは10歳になったばかりの頃、学校に行く途中に初めてきつねを近くで見て心を奪われた。近づいてみると、もう少しで触れそうなところで逃げて行ったきつね。その事で頭がいっぱいになった彼女は、帰り道でも探し、自分に懐かせようと決めた。それが大冒険の始まりで、リラは森に一人で入って行くようになった。しかし秋になっても見つからず、夕暮れの山で、彼女は自分がちっぽけな存在に感じた。
冬になり、雪の上の足跡を見つけて追って行くと、狼の声が聞こえ、リラは逃げようとしたが途中で転んで足を怪我してしまった。そのせいで冬の間は家から出られず、両親にきつねの本を借り、想像にふけった。
きつねと私の12か月のネタバレあらすじ:承・きつねとの再会
冬は綺麗だけれど、本によればきつねにとっては食うか食われるかの危険な季節。リラはベッドの上で頑張ってと願った。
春になると、人間によるきつね狩りが始まり、猟銃・罠・毒などが仕掛けられ、きつねは邪魔者扱い。リラはたまらず外に出た。
春の盛りになり、二ヶ月ぶりに森へ行った少女は再びきつねを探し始めた。父親が巣穴のありかや、きつねは警戒心が強いから近づき過ぎないようにと教えていた。そして、探していたきつねの巣穴を見つけると、中で子供を産んでいた。
母親になったきつねは、子ぎつねたちを守るために引っ越しを始めた。子連れなら遠くへは行かないはずだとリラは木の上に登って待つことにした。試しにパンをちぎって置いてみると、初めはハリネズミが食べようとしてきたものの、探していたきつねがやって来て、リラが声をかけるとまた去ってしまった。
きつねと私の12か月のネタバレあらすじ:転・きつねを待ちながら
きつねを見られない日が続き、リラは学校帰りに木の上で二週間待った。近くまで寄らせてくれるものの、触れることはできなかったが、きつねの後を追って子供は立入禁止と言われている滝の所までやって来て、さらに岩の裂け目を飛び越え、森の奥の湿地までやって来た。キツネが去ると日が暮れ、リラは夜の森を怖いと思った。
そしてきつねを待って木の根元で笛を吹くリラは、やっときつねに触ることができ、テトゥと名付けた。リラとテトゥは狼や鷲から逃げたり、懐いた子ぎつねたちと遊んでいるうちに、夏はすぐに過ぎて行った。
そして、リラは自分の家が見える所までテトゥを連れてくると、車で帰って来た父親と、自分を呼ぶ母親の声をテトゥに教え、彼女の家を覚えたテトゥとすっかり友達のようになった。
きつねと私の12か月の結末:少女の決めた事
山の奥で残り火を見つけたリラはそれに火をくべ大きな焚火にし、ままごとでもするように、テトゥに首輪と縄をつけた。するとテトゥは縄を食いちぎって逃げてしまった。
翌日、やってはならない事をしてしまったと、リラが部屋で後悔していると、テトゥが家までやって来た。嬉しくなった彼女はテトゥを部屋の中に入れるが、部屋に慣れないテトゥは、暴れたあと窓から飛び降りてしまった。窓の下でぐったりしているテトゥに、もう嫌なことはしない、好きなことをしていいと声をかけて森へ戻し、首輪を外して家に帰ろうとすると、傷だらけながらも生きていたテトゥは、子ぎつねたちと一緒に、前のように懐くことはなく森へ帰って行った。
リラは野生動物と友達になれないと知り、「好き」と「所有すること」は違うということを知った。それ以来、森できつねを呼ぶと答えることはあっても、会うことはなかったと、大きくなったリラは自分の息子に語った。
以上、映画「きつねと私の12か月」のあらすじと結末でした。
きつねと私の12か月のレビュー・考察:飼いならす
リラは寒村と言ってもいい地域、学校へは自転車はで通い、友人らしき人物の存在への言及はない。そんな少女にとって、間近で見たきつねと過ごす日々は寂しさを紛らわせるには十分すぎるほどだったに違いない。しかし、野生動物はあくまで野生を捨てることはない。日を怖がり、スカーフや綱による束縛は嫌う。リラからすれば自宅で飼っている犬と同じような感覚だったのかもしれないが、飼い犬と野生のきつねではその差は火を見るより明らか。もちろん、きつねと過ごした思い出は残るだろうが、それと同時に、人の介入できない野生の領域という物を、子供ながらに身をもって理解したリラの話は、この先も語り継がれるに違いない。
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