姉のいた夏、いない夏の紹介:2001年アメリカ映画。ジェニファー・イーガンの小説『インヴィジブル・サーカス』を映画化。亡くなった姉の足跡を辿り、少しずつ成長していく女性の姿を描いたロードムービー。フィービーの姉フェイスは、7年前ヨーロッパに旅立ちそのまま戻らなかった。自殺だったという。未だに姉を恋しく思うフィービーは、自殺の真相を探るため単身ヨーロッパへ。フェイスの元恋人ウルフと再会したフィービーは、思わぬ真実を知らされる。
監督:アダム・ブルックス 出演者:ジョーダナ・ブリュースター(フィービー)、クリストファー・エクルストン(ウルフ)、キャメロン・ディアス(フェイス)、ブライス・ダナー(ゲイル)、パトリック・バーギン(ジーン)ほか
映画「姉のいた夏、いない夏」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「姉のいた夏、いない夏」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「姉のいた夏、いない夏」解説
この解説記事には映画「姉のいた夏、いない夏」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
姉のいた夏、いない夏のネタバレあらすじ:フィービーの家族
舞台は1976年夏、サンフランシスコ。高校を卒業したばかりのフィービーは、姉フェイスが客死したヨーロッパへ旅立つ決意をしました。フィービーが12歳の時フェイスは家を出て、ポルトガルのエスピシェル岬で自殺したのです。理由は未だに分かりません。しかしフィービーの記憶にあるフェイスはいつも快活な笑顔を浮かべ、途方もないエネルギーに満ちていました。フィービーはフェイスや父がまだ生きていた幼い日々を頻りに思い出します。父は画家に憧れつつ大企業に勤めており、そんな自分を嫌っていました。そして白血病を患い死亡してしまいます。父は早過ぎたヒッピーで、世界を変えられると本気で信じていました。フェイスは父を信奉するあまり、その死のショックからなかなか立ち直れません。
そんな彼女を動かしたのは、パリの学生デモのニュースでした。フェイスは市民運動に走り、ベトナム戦争に反対して逮捕されることも。しばらくして、フェイスは恋人ウルフと共にヨーロッパへ行くことにします。生前の父が「世界を旅して目を開け」と言っていたからです。フェイスはフィービーに毎日絵葉書を書くと約束し、家を出て二度と戻りませんでした。
姉のいた夏、いない夏のネタバレあらすじ:パリへ
ある日、一緒に暮らしている母ゲイルが恋人を作ったことに気付いたフィービー。父が死亡したのはもう9年も前ですが、未だ父を慕う彼女は母の行為を裏切りだと感じます。ゲイルは夫を確かに愛していましたが、自分の夢をフェイスに背負わせたことを恨んでもいました。「フェイスを使って自分の虚像を作ってたのよ」と忌々しそうに吐き捨てるゲイル。フィービーは腹を立て、フェイスの自殺の原因を調べようともしなかったゲイルを非難します。そしてゲイルの不在中に置き手紙を残し、単身ヨーロッパへ渡りました。フェイスのことを調べる手がかりとして、フィービーが持ち出したのは昔届いた絵葉書です。まずアムステルダムに到着したフィービーは聞き込みをしてみますが、何の情報も得られませんでした。
そこでパリに住んでいるウルフを訪ねることにします。フェイスといた頃は長髪だった彼も、今や髪を短く切りそろえ堅実な生活をしていました。突然やって来たフィービーを歓迎してくれたウルフ。フィービーは一緒に散歩をしながら、フェイスのことを知るため彼女の足跡を辿っているのだと話します。ウルフはフェイスが自殺する前に彼女と別れたので、詳しいことは分からないと言いました。ヨーロッパに渡ったフェイスとウルフは、政治的な劇団に入って活動していたそうです。フェイスは誰よりも強いエネルギーと高い志を持っていました。しかしそのパワーがアダとなり、世界を変えるつもりがいつの間にか刺激を追うだけの生活に変わったそうです。最後に会ったのは1970年の7月。ある朝喧嘩をして、フェイスはベルリンの過激派の所へ行ってしまい、それきりでした。
姉のいた夏、いない夏のネタバレあらすじ:姉の秘密
予想と違う話に少なからずショックを受けたフィービーは、ウルフと別れパリの街を呆然と歩きます。そして聞き込みの最中押し付けられたLSDを使用しました。フェイスの幻覚に苦しめられ、絵葉書を川にばら撒いたフィービー。何とかホステルに戻りますが、あちこちに傷を作った上に額からは流血しています。心配して様子を見に来たウルフからの提案で、彼の家に世話になることにしました。ウルフはフランス人女性クレールと同棲しており、穏やかで幸せな生活を送っています。フィービーは2人の外出中を狙ってフェイスに関係のある物を探し出そうとしました。やっと見つけた写真の裏には、「1970年8月」と記されています。
翌日。ウルフを問い質すと、彼は気まずそうに真実を話してくれました。フェイスとウルフはベルリンに渡り、そこで過激派組織「赤軍」のメンバーと知り合ったそうです。フェイスは赤軍の活動に魅せられ、ウルフの制止も聞かず組織に入ってしまいました。しかしドジを踏んで仲間に見捨てられ、パリに戻っていたウルフと再び暮らし始めます。ウルフはフェイスにプロポーズしましたが、まだやる事があるからと断られました。翌日、フェイスは姿を消していました。話を聞いたフィービーは、フェイスが命を絶ったポルトガルへ向かうことにします。ウルフもクレールと喧嘩をしてまで一緒に行くことになりました。
姉のいた夏、いない夏のネタバレあらすじ:明かされた真実
ポルトガルに入ったフィービーとウルフは楽しい時間を過ごし、ついに男女の仲になってしまいます。外に出ては我慢出来なくなってホテルに戻り、体を重ねる毎日。何度も求め合いながら、フィービーの心は時折罪悪感を覚えます。そして鞄から絵葉書を見つけたフィービーは、このままではいけないとエスピシェル岬へ向かいました。道中、重い足取りのウルフはどんどん暗い顔になっていきます。フィービーはフェイスが飛び降りたとされる崖から身を乗り出しますが、何も感じないと言いました。フェイスが死んだのはここではないはずだと。しかしウルフは確かにここだったと叫びます。
彼はフェイスが飛び降りた瞬間を見ていたのです。ウルフは震えながら、フェイスの全てをフィービーに語りました。パリから離れたフェイスは別の組織に入り、米軍に兵器を供給しているという会社を爆破したそうです。フェイスは誰もいない時間を狙ったつもりでしたが、会社に残っていた32歳の会計士が死亡しました。彼には2人の娘と息子がいると新聞報道で知ったフェイスは絶望します。誰かを救うつもりの活動で、彼女は人を殺してしまったのです。
姉のいた夏、いない夏の結末:フィービーの成長
フェイスは組織を抜け、ウルフのもとに戻って来ました。後悔と罪悪感に毎日涙を流すフェイスは、ゲイルとフィービーには絶対に真実を言わないで欲しいと懇願したそうです。2人はパリを出て旅行する内にポルトガルに辿り着きました。そしてフェイスは、ウルフの目の前で崖から飛び降りたのです。全てを知ったフィービーは、フェイスは身勝手過ぎると叫んで暴れ出しました。ウルフは自殺を止められなかったこと、そしてずっと黙っていた自分を強く責めます。フィービーは彼と抱き合い、「あなたが 私を救ってくれたの」と優しく語りました。その後フィービーはゲイルの待つ家に帰ります。
旅の感想を聞かれ、辛かったし、怖かったと素直に話しました。フィービーはゲイルに謝り、しっかりと抱き合います。今もフェイスを恋しく思い、もう会えないことに怒りを感じるフィービー。しかしフェイスもフィービーと同じように、手の届かないものを求めていたただの少女だったのです。フェイスの足跡を辿り、思いを馳せ、真実を知った今のフィービーにはそれが分かります。フィービーが姉のいた日々を思い出し、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「姉のいた夏、いない夏」のあらすじと結末でした。
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