メカニックの紹介:2011年アメリカ映画。アーサーはメカニックと呼ばれる殺し屋でその凄腕だった。ある日彼は、友人の暗殺を依頼され、仕方が無く遂行する。その友人には息子が居て、償いをするようにアーサーは彼を弟子にする。しかしその友人の暗殺には不義がある、それを知ったアーサーは制裁を決意する。だがその時、自分が友人を殺した事を息子にも知られてしまう。名作クライムサスペンス映画をジェイソン・ステイタム主演でリメイクした一作。
監督:サイモン・ウェスト 出演者: ジェイソン・ステイサム(アーサー・ビショップ)、ベン・フォスター(スティーブ・マッケンナ)、ドナルド・サザーランド(ハリー・マッケンナ)、トニー・ゴールドウィン(ディーン・サンダーソン)、ジェームズ・ローガン(ホルヘ)、ミニ・アンデン(サラ)、ほか
映画「メカニック」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「メカニック」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
メカニックの予告編 動画
映画「メカニック」解説
この解説記事には映画「メカニック」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
メカニックのネタバレあらすじ:起
コロンビア、バランキーアで傍若無人なVIPの車列が豪邸に入ります。その豪邸の主は、着いて直ぐプールで一泳ぎ始めますが、底に何かがある事に気付き、潜ります。しかしその底には何者かが潜んでいて彼にしがみ付き、遂には溺死させました。その何者かは護衛に気付かれないよう密かに脱出を図り、無事豪邸を後にしました。メカニックと呼ばれる殺し屋アーサーはニューオリンズに帰り着きます。帰るなり彼は、凝ったオーディオデッキでクラシックを聴きながら、壁に張った今回の仕事、麻薬王の資料を破棄し始めます。アーサーは仲介者ハリーと会い、報酬の受け取りをします。ハリーとは古い付き合いで、世間話の話題はアーサーの後継者の話、そして粗暴な息子の行く末でした。要点を察したアーサーは、相棒兼弟子として面倒を見る事を考えると返事します。アーサーは孤高で誰とも心を通わせず、常に慎重で警戒を怠らない男でした。そんな彼に新しい依頼が入ってきます。しかしその標的はハリーでした。流石のアーサーも依頼人のディーンに仔細を問い質します。するとディーンは、ハリーの密告で暗殺作戦が失敗したと言い出します。アーサーは殺された暗殺要員の写真、調べ上げれられたハリーの財政状況を示され、渋々依頼を引き受けます。アーサーは独自に暗殺作戦の事を調べますが、作戦失敗は間違いないようで依頼に葛藤します。アーサーはオフィスに居るハリーに電話し、ディーンに狙われている事を告げます。そして彼を駐車場の車の所まで誘導します。しかし、そこでハリーは運転席側に残された弾痕を見て、自分が一人にされた事に気付きます。そこにアーサーが姿を現した事で、彼は全てを察しました。今回のアーサーの仕事は、ハリーは強盗に殺されたという体裁でした。ハリーは愛用の銃を手に取ります。その銃には周到な準備が勝利を呼ぶと掘り込まれ、高名な提督からの贈られたものでした。彼は徐に車を撃ち、アーサーの作った体裁に抵抗の一文を刻みます。自分を撃つ事も出来たと言うアーサーに、ハリーはまた次があるさと返します。アーサーはハリーを撃ち、仕事を完了させました。
メカニックのネタバレあらすじ:承
ハリーの葬儀が終わり、息子のスティーブンが墓の前で佇みます。彼はアーサーに挨拶をし、父の家まで送ってくれと頼んできました。勲章が数多く飾れた家に入り、スティーブンはハリーの写真をアーサーに形見分けにします。アーサーは彼の今後の見の振り方を聞きながら、テーブルの上にある拳銃を注視します。スティーブンは、車強盗を手当たり次第、仇に当たるまで殺して回るつもりだと言います。スティーブンは街に出て、自分を囮にして強盗をおびき寄せます。やって来た強盗は半殺しされ、父を殺したどうかを問われますが答えられるわけも無く、殺されそうになった所にアーサーが割って入ってきました。アーサーは動機のある殺人はすぐに露見すると説教をしスティーブンを連れ帰ります。翌日、スティーブンはアーサーを訪ね、ハリーから伝授された技術を自分に仕込んでくれと頼みます。アーサーはその場では断りました。しかし彼は悩み、スティーブンを呼び出します。呼び出されたスティーブンは保健所から引き取った犬を預けられ、仕事の手伝いをさせられます。標的の調査、技術の訓練、死因に関する研究等、メカニックとしての技術を教え込まれていきます。スティーブンはアーサーの家で寝泊りを始め、彼のオーディオ趣味、そしてヴィンテージカーのレストアを続けている一面を知ります。アーサーは訓練の次段階へ言ってスティーブンを連れてある密売屋の所へ連れて行きます。アーサーはそこで武器の商談を始めますが、相手が隙を見せた所で絞殺し、自殺を偽装してその場を去ります。仕事を終えたアーサーは帰宅します。そこでレコードを掛けようとしたスティーブンを叱り、二度とオーディオに触るなと忠告します。彼はいつもどおり資料を処分します。相手は武器商人であったようですが、彼には興味の外でした。アーサーは、次の仕事をスティーブンに任せます。既に種はまかれ居ました。スティーブンはアーサーに言われて犬と仲良くなり、あるカフェで常連になるよう指示を受けていました。次の標的はそのカフェの常連で、見知らぬメカニックだと説明を受けます。標的は巨漢で隙が無いので、彼を誘惑して薬を盛り、心臓発作を装えと指示を受けますが、スティーブンはやり方に不満がありました。スティーブンは標的を誘惑する所までうまく行きますが薬を使わず、腕尽くで殺そうとします。しかし相手との体格差等で窮地に陥ります。スティーブンは家にあった凶器を使い、何とか目的を達します。アーサーは、傷だらけになって戻ってきた彼に手際が悪いと叱責の言葉を掛けます。
メカニックのネタバレあらすじ:転
一仕事終わり、二人は別々に息抜きをします。アーサーはディーンと会い、次の仕事の依頼を受けます。急ぎの仕事で彼は嫌がりますが、報酬は上乗せでした。今度の相手は宗教家で、スティーブンンは率先して資料の検証を手伝います。二人は病死を選び、薬を使い心臓発作を引き起こし、その救護中死亡するという手段をとる事にします。二人は宗教家の宿泊している豪華ホテルに部屋を取り、配線口を使い宗教家の部屋に忍び込みます。彼を観察しながら薬の投与する隙をうかがっていましたが、宗教家が麻薬常用者だと知り、用意した手段が使えない事に気付きます。スティーブンは中止を口にしますがアーサーは諦めず、側近が離れた隙に宗教家の傍に忍び寄り、部屋の監視に使用していたペリスコープを喉に押し込んで、窒息死させました。事は側近が戻ってくる前に終わり、二人は元居た配線口に戻ります。側近は薬物使用中の窒息死だと信じ込み、その対応に苦慮します。しかしその時、スティーブンが誤って物音を立ててしまい、隠れていたのが露見してしてしまいました。宗教家の護衛に追われる二人ですが、ホテル中逃げ回り、何とか護衛を撒く事に成功しました。アーサーは念を入れてスティーブンに分かれて家に戻る事を指示します。テレビニュースが宗教家の死を伝え、仕事の成功を知ります。飛行機で地元に戻り、いざ隠れ家に帰ろうとすると、空港で死んだ筈の男を見つけました。ディーンの話では、その男はハリーの裏切りで死亡した筈だったのにと思い、アーサーはその男を尾行し、バスに乗り込み二人きりになった所で事情を聞きます。男はディーンの命令で仲間を殺し、死を偽装した事を語ります。それを話し終わると、男はアーサーを殺そうと隠し武器で挑んできました。しかしアーサーはそれを返り討ちにして隠れ家に戻ります。アーサーは家に帰る道中にもディーンの配下に襲われます。彼はそれも凌ぎ、ディーンに電話して逆襲する事を告げました。
メカニックの結末
アーサーは隠れ家に電話し、先に戻っているであろうスティーブンの様子を伺います。彼との会話で既にディーンの手が回っている事を察したアーサーは、スティーブンに武器の隠してある場所を教え撃退させました。
アーサーは次の標的は依頼人だと告げます。そしてスティーブンにも襲撃の準備を手伝わせます。しかしその最中、彼はアーサーが隠していた父ハリーの形見の拳銃を見つけてしまいました。そして、父の仇が本当は誰なのかを察します。二人は移動します。その車中でスティーブンは、間接的にアーサーから父の死に関して聞き出しました。アーサーはディーンの会計士を襲い、家族を使い脅迫してディーンの同行を掴みます。その情報にそって二人はディーンの居るビルを知り、そこに忍び込んだ振りをして彼を外に誘き出します。そして、盗んだバスやゴミ収集車を突っ込ませ護衛を排除、重傷を負ったディーンを処刑しました。全てを終えたアーサーは、隠れ家に戻る車中で姿を消すと言い出します。適当に相槌を打つスティーブンですが、目端の利くアーサーは、彼がハリーの拳銃を携えている事に気付いてしまいました。スティーブンは独立するが復讐を諦めた訳ではないと言い、給油の為にガソリンスタンドに入りました。スティーブンは車を降り、給油を始め、会計ついでに何か買ってくるとアーサーに問います。アーサーは一度断り、最後のチャンスだとスティーブンは念を押します。その時アーサーは、すまなかったと詫びる言葉を口にします。スティーブンは気にしない素振りを見せながらガソリンを撒き散らし、離れて物陰から銃で地面を撃ち、車を爆破しました。スティーブンは一人アーサーの隠れ家に戻ります。彼は、アーサーが仕事を達成した後の習慣にしていたクラシックレコードを、触る事を禁じされられていたオーディオセットで掛けます。そしてレストアされたヴィンテージカーに乗り、エンジンを掛けようとしますが、なかなか掛かりませんでした。何度かのトライでエンジンは掛かり、スティーブンは隠れ家を後にします。その時レコードが終わり、人知れずオーディオに仕掛けられた爆弾が作動します。スティーブンは助手席にアーサーの書置きがある事に気付きます。そこにはお前はもう直ぐ死ぬと書かれていました。スティーブンはそれを読んで笑います。その直後、車は爆発を起こし、家も爆破されました。警察がガソリンスタンドの監視映像を検証します。そこには、爆発の直前、車から抜け出す人影が映っていました。アーサーは一人、誰も知らない何処かへ去って行きました。
「狼よさらば」のマイケル・ウィナー監督とチャールズ・ブロンソン主演のコンビによる1972年の作品を、同作のプロデューサーであるアーウィン・ウィンクラーとロバート・チャートフのそれぞれの息子である、デヴィッド・ウィンクラーとビル・チャートフがプロデュースした作品が、この2011年版の「メカニック」だ。
今回は「コン・エアー」でデビューしたサイモン・ウェスト監督で、主演は、今やアクション映画の顔と言っても過言ではない、ジェイソン・ステイサムだ。
正確無比な仕事ぶりの殺し屋が、恩人であり友人でもある男の殺害依頼を発端にして、私怨で反撃をしていくことになる。
そこに、恩人の忘れ形見を弟子として、育てていくエピソードが絡み、避けられぬ師弟対決へと突入していく。
タイトルの「メカニック」というのは、正確無比な仕事をする主人公ら、殺し屋を指していう言葉だ。
主人公に対する仕事の依頼が、ウェブサイトの「メカニック求む」という求人欄に流れているのが笑いどころかもしれない。
この映画は、なんといっても、複数の殺しのアサインメントを重ねていく構成が小気味良い。
冒頭、主人公のプロフェッショナルぶりを見せつける仕事があり、ドナルド・サザーランド扮する友人を抹殺することとなる仕事があり、弟子の免許皆伝のための同業者殺害があり、2人で組んでカルト宗教の教祖の抹殺がある。
これら一つ一つ、シチュエーションが異なり、殺し方が異なり、バラエティに飛んでいる。
本題となる組織への反撃や師弟対決は、それら一つ一つのステージをクリアした後の話だ。
サイモン・ウェスト監督の過去作には「コン・エアー」「将軍の娘」「トゥームレイダー」等がある。
どれも刺激的な映像を編集で繋いで、ごまかしているだけという印象で感心したことがなかったが、この作品の仕事ぶりはひと味違うのだ。
ビッグバジェットのイベント的映画という重圧から解放されたのか、体脂肪率の低い脚本ゆえか、無駄のない筋肉質の演出で盛り沢山な内容を93分にまとめる職人ぶりが実にいいと思う。
弟子を演じるベン・フォースターのへたれぶりと、組織のトップを演じるトニー・ゴールドウィンの卑怯者っぷりは、過去の作品等のイメージによる先入観を裏切らない。
見た目だけで説明不要というキャスティングは、この手の映画では重要なことだと、改めて感じました。