ミズーリ・ブレイクの紹介:1976年アメリカ映画。ジャック・ニコルソン、マーロン・ブランドの共演で話題を呼んだ西部劇。ブランドが脚本を無視してアドリブを連発するため、製作者もストーリーを変えざるを得なくなった。監督は『逃亡地帯』でもブランドと組んだアーサー・ペン。
監督:アーサー・ペン 出演:マーロン・ブランド(リー・クレイトン)、ジャック・ニコルソン(トム・ローガン)、キャスリーン・ロイド(ジェーン・ブラックストン)、ランディ・クエイド(リトル・トッド)、ジョン・P・ライアン(サイ)、フレデリック・フォレスト(ケイリー)、ハリー・ディーン・スタントン(カルヴィン)、ジョン・マクライアム(デヴィッド・ブラクストン)、サム・ギルマン(ハンク・レイト)、ルアナ・アンダース(牧場主の妻)、ジェームズ・グリーン(牧場主)、スティーヴ・フランケン(ロンサム・キッド)、リチャード・ブラッドフォード(ピート・マーカー)、ほか
映画「ミズーリ・ブレイク」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ミズーリ・ブレイク」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ミズーリ・ブレイク」解説
この解説記事には映画「ミズーリ・ブレイク」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ミズーリ・ブレイクのネタバレあらすじ:起
大地主で牧場の経営者であるデイビッド・ブラクストンは、自らの法を押し通す暴君で、牛泥棒に対しても容赦がありません。
今日も自分の牛を盗んだサンディという若者を勝手に縛り首にして殺してしまいます。それを知って激怒したのがトム・ローガンです。
サンディとトム、それにリトル・トッド、ケーリー、カルビン、サイの6人はずっと牛泥棒をやってきた無法者のグループでした。トムは横暴なブラクストンに対する復讐計画を練り始めます。
ミズーリ・ブレイクのネタバレあらすじ:承
まずトムが行なったのは列車強盗でした。危うく命を落としかけたもののなんとか大金を手にしたトムはブラクストンに接近。そして彼の土地に隣接する場所を手に入れます。
そしてブラクストンの牧童頭マーカーを縛り首にして殺害。復讐計画は軌道に乗ったかに見えました。しかしブラクストンがマーカー殺害に驚き、『整理屋』と呼ばれる殺し屋をワイオミングから呼び寄せたことから、その計画も狂ってきます。
その殺し屋の名前はリー・クレイトン。凄腕と評判ながら、異様な雰囲気を漂わせた男でした。
ミズーリ・ブレイクのネタバレあらすじ:転
さらにトムにとって意外だったのが、自分がブラクストンの娘ジェーンと恋に落ちたことです。偽装のために買った土地に種を植えて農作業も始めますが、この穏やかな暮しは荒くれ者のトムにとって気持ちの安らぐものでした。
このまま復讐を忘れてジェーンと結婚しようという思いも芽生えましたが、そこはクレイトンが許してくれません。
トムを怪しんだクレイトンはまず仲間のトッドを殺害。次にサイ、ケーリーを一人ひとり追い詰め、血祭りにあげていきます。
ミズーリ・ブレイクの結末
ブラクストンの方でも雇用主の自分を馬鹿したような態度に業を煮やし、クレイトンを解雇しようとするのですが、暴走したクレイトンはそんなものを無視して殺人を続行。ついには最後の仲間であるカルビンをなぶり殺しにされ、トムの心に火が付きます。
闇夜に乗じてクレイトンに近づき、その喉をかき切った後、ブラクストンの家に侵入して彼を射殺。これで当初の復讐計画もようやく成就できました。
そしてお互いに一緒に暮らすことなど不可能だと悟ったトムとジェーンは土地を離れることにし、別々の方角へ馬車で去ってゆくのです。
以上、映画「ミズーリ・ブレイク」のあらすじと結末でした。
1958年にポール・ニューマン主演の「左ききの拳銃」を手がけ、1970年にダスティン・ホフマン主演の「小さな巨人」を撮ったアーサー・ペン監督の3本目の西部劇で、マーロン・ブランドとジャック・ニコルソンの初共演というので公開当時、話題になった作品だが、出来栄えは、余りかんばしくない。
筋立ては普通の西部劇と大差はないが、アーサー・ペン監督は随所でひねりを効かせた演出を試みている。
結果として、それが成功した箇所もあるが、ローガンの仲間がカナダに潜入して騎馬警官隊の馬を盗むユーモラスなシーンと、ローガンとブラクストンの娘(キャスリーン・ロイド)のラブシーンと、それをクレイトンが双眼鏡で監視する光景をカット・バックで描いたところなどは、ドラマティックな盛り上がりを著しく中断させて、ひねり損ないの印象を与える。
神出鬼没の行動で、ローガン一味を一人ずつ殺したクレイトンが、睡眠中にローガンに首を引き裂かれて殺される場面も、ずいぶん無神経な描き方になっていると思う。
荒野の素朴な生活とか大自然の景観とか、リアリズムに貫かれた描写も見受けられるが、総体的には活気や映画的緊張感の乏しい失敗作というべきだろう。