パラダイン夫人の恋の紹介:1947年アメリカ映画。セルズニック時代のヒッチコックが作った異色の法廷劇。殺人事件の裁判と共に、依頼人に恋愛感情を抱いた弁護士とその妻の心理的葛藤が描かれる。脚本はヒッチコック夫人であるアルマ・レヴィルとプロデューサーのデイヴィッド・O・セルズニック自身。
監督:アルフレッド・ヒッチコック 出演:グレゴリー・ペック(アンソニー・キーン)、アリダ・ヴァリ(マッダレナ・パラダイン)、ルイ・ジュールダン(アンドレ・ラトゥール)、アン・トッド(ゲイ・キーン)、チャールズ・ロートン(ホーフィールド判事)
映画「パラダイン夫人の恋」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「パラダイン夫人の恋」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
パラダイン夫人の恋の予告編 動画
映画「パラダイン夫人の恋」解説
この解説記事には映画「パラダイン夫人の恋」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
パラダイン夫人の恋のネタバレあらすじ:起
1946年のロンドン。刑事2人がその中心街にある豪華なフラットを訪れます。そこはマッダレナ・パラダインという未亡人の住居でした。
盲目だった夫のパラダイン大佐は、最近自殺と思われる死を遂げたばかりでしたが、警察ではその妻が毒殺したと疑い、彼女を逮捕しに来たのです。
パラダイン夫人は抗いもせずに警察署に同行し、すぐに顧問弁護士であるフラカーに連絡します。フラカーは早速公判に向けて行動を開始。彼自身は事務弁護士なので法廷には立てません。そこで、腕利きとして知られる法廷弁護士アンソニー・キーンに弁護を依頼します。
パラダイン夫人の恋のネタバレあらすじ:承
依頼を引き受けたキーンは、留置場に出かけて夫人と接見しますが、その顔を見た途端、類まれな美貌にうたれて彼女に一目惚れしてしまいます。彼にはゲイという長年連れ添った妻がいたのですが、恋の炎は理性では抑えられないものでした。
フラカーと裁判の準備に入ったキーンは、パラダイン夫人が無実だと信じ、大佐は自殺したか他の誰かに殺されたに違いない、と力説します。その冷静を欠いた態度は、ゲイに夫の恋愛感情を悟らせずにはいません。
キーンはさすがに罪悪感を覚え、弁護を降りるつもりになりますが、ゲイはかえって夫が裁判で勝つことを望みます。もし負けてパラダイン夫人が絞首刑にでもなったら、キーンは夫人のことをずっと忘れられなくなる、と考えたからです。それはゲイには耐えられないことでした。
パラダイン夫人の恋のネタバレあらすじ:転
やがてキーンは大佐の世話を焼いていた使用人アンドレ・ラトゥールが自殺を幇助したのではないかと疑い、わざわざ彼がいるパラダイン家の別荘・ヒンドレイ荘まで出かけていきます。
そこでラトゥールへの疑惑を深めたキーンは、裁判が始まると証言台に立ったラトゥールを激しく責め立てます。すると驚いたことにパラダイン夫人はキーンの法廷での態度を非難し、ラトゥールを庇います。
キーンは2人は男女の関係にあったのでは、と疑いを抱きますが、それは思わぬ時点で明らかとなります。パラダイン夫人が自ら証言台に立って検察側の反対尋問を受けていた時、ラトゥールが自殺したという知らせが法廷に届いたのです。
これを聞いた証言台のパラダイン夫人は自暴自棄となり、自分が夫を殺したと告白します。
パラダイン夫人の恋の結末
ラトゥールとパラダイン夫人は確かに不倫関係にあったのですが、大佐を尊敬していたラトゥールは、自分のせいでパラダイン夫人が夫を殺したことに深い罪悪感を覚えていました。そして裁判での証言のせいでその感情が高まり、ついに自ら死を選んだのです。
パラダイン夫人が心から愛したのはラトゥールだけで、彼が死んだ今となっては判決がどうなろうと彼女にとっては無意味でした。
キーンは恋愛感情に惑わされて冷静な判断ができなかったことを反省し、法廷を去ります。名声も地に落ち、しばらくは弁護を依頼する人間もいないでしょう。
キーンはフラカーの家で人目を避けますが、そこにゲイがやってきます。彼女は夫の過ちを許し、「これからも弁護士を続けて」と慰めの言葉をかけるのでした。
以上、映画「パラダイン夫人の恋」のあらすじと結末でした。
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