プラットフォームの紹介:2019年スペイン映画。主人公が目を覚ますと、そこは遥か下まで伸びる塔のような建物で、上下の階層は中央にある穴で繋がっていました。食事はその穴からプラットフォームと呼ばれる巨大な台座に乗せられて運ばれてくる。極限状態における人々を通じ、様々な社会問題を炙り出したスリラーです。
監督:ガルデル・ガステル=ウルティア 出演:イバン・マサゲ(ゴレン)、アントニア・サン・フアン(イモギリ)、ソリオン・エギレオル(トリマガシ)、エミリオ・ブアレ(バハラット)、アレクサンドラ・マサンカイ(ミハル)、ほか
映画「プラットフォーム」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「プラットフォーム」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
プラットフォームの予告編 動画
映画「プラットフォーム」解説
この解説記事には映画「プラットフォーム」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
プラットフォームのネタバレあらすじ:起
目を覚ましたゴレン(イバン・マサゲ)は、部屋の真ん中に穴のあいた場所にいました。上下ともに同じような部屋がいくつにも連なっていて、塔のようになっています。同じ部屋にいたトリマガシ(ソリオン・エギレオル)から、ここが48階層だということを知りました。
トリマガシによると、各階層には2名が存在し、毎月どこかの階層に振り分けられるそうです。上下の階層との会話は厳禁、ここでは食事が一番重要なのだと話します。
そんな中、階層の中央に大量の食事を乗せたプラットフォームと呼ばれる巨大な台座が到着しました。豪華な食事ではあるものの、すでに47階層を過ぎてきたので明らかに食べ残しのようになっています。むさぼりつくトリマガシを呆気にとられた顔で見ているゴレン。ゴレンは何にも手をつけず、プラットフォームが動き出す前にリンゴを一つ手に取りました。
するとゴレンたちの階層が加熱し始めます。トリマガシによると、食事を溜め込んだりすることはご法度で、溜め込めば罰が与えられると言います。急いでゴレンはリンゴを投げ捨てると加熱は収まりました。
トリマガシやゴレンにはこのピットに来た理由がありました。トリマガシは殺人を犯した末の選択肢、ゴレンは卒業証書の受け取りとの引き換えでした。共に一つだけ持ち込みが可能で、ゴレンはドンキホーテの本、トリマガシはナイフを持ち込んでいました。
プラットフォームのネタバレあらすじ:承
初めは空腹に耐えていたゴレン。しかし堪えきれなくなり、やがてトリマガシと同じようにむさぼり食うようになりました。
その後、プラットフォームに乗り込み子供を探すミハル(アレクサンドラ・マサンカイ)という女性が現れたり、疲れ果てて穴から身を投げる者も出始めます。そして日は流れ、階層移動の日がやってきます。
ゴレンが目を覚ますと、ベッドにくくりつけられた状態でした。目の前にはナイフを持つトリマガシがいます。どうやらここは171階層で、ほとんど食事の残らない飢えた者ばかりの場所のようです。
トリマガシはゴレンを食べようとしていました。トリマガシがナイフでゴレンを切りつけようとしたところで、プラットフォームに乗ってやってきたミハルがトリマガシを止めてくれました。自由になったゴレンはトリマガシを始末します。
しかしそこは、何の食事もない階層だったので極限の餓えが二人を襲います。二人は空腹に耐えかねて殺害したトリマガシを食べることで餓えをしのぎ、171階層を乗り切ります。
プラットフォームのネタバレあらすじ:転
次にゴレンが目を覚ますと、33階層にいました。トリマガシが死んでしまったので新しくペアとなるイモギリ(アントニア・サン・フアン)と対面します。
イモギリが言うには、イモギリは運営側の人間ということで、ここの仕組みにも詳しそうです。イモギリは「200階層まであるのだが、食事に関しては適切に食べれば全ての階層まで行き渡るはずだ」と話します。イモギリは他の階層の人間に「均等に食べるべき」と訴えますが、上手くはいきませんでした。
33階層が終わり、また目を覚ましたゴレンは202階層にいました。イモギリが言っていたより先に来てしまったのです。ゴレンが気づいたときには、自分が騙されていたことに絶望したイモギリが首を吊り自殺をしていました。
再び飢えに苦しむことになったゴレンは、持ってきた本を食べようとしますが食べられず、結局死んでしまったイモギリを食べることにします。
次の月が来て階層が変わりました。今度は6階層です。死んでしまったイモギリの代わりに、今度はバハラット(エミリオ・ブアレ)がゴレンとペアになりました。バハラットはロープを持ち込んでいて、そのロープを使って一番上に行くつもりでいたのです。
プラットフォームの結末
そんなバハラットにゴレンは提案します。プラットフォームに乗り、下りながら食事を配って回ろうという提案です。上に行きたがっていたバハラットでしたが難なく同意、二人で下層に向かっていきます。
各階層には食事を分配することに好意的な者もいれば、そうでない者もいました。もちろん好意的でない者は腕ずくで奪いにきます。ゴレンはそれを撃退し、さらに下へと向かいました。道中でここに詳しい者に出会います。その者によると、どれか一品全く手をつけられていない状態で最上階に戻すと、管理側が何か異常が起こったのだと判断するというのです。
ゴレンは手のつけられていないパンナコッタを戻すことにしました。どんどん下に下っていくゴレンたち、重傷を負ったミハルを見つけますが助けられず、ミハルは死んでしまいました。そしてプラットフォームは最下層の333層にたどり着きました。
そこでミハルがずっと探していた子供に出会います。ゴレンはお腹を空かせていた子供に、残していたパンナコッタを食べさせて眠りにつきます。目を覚ますとここまでの道中で怪我をしていたバハラットがその影響で死んでいました。
最下層に着いたプラットフォームは、食事が残っていようがいまいが、そこから再び上に上がっていくようです。そこでゴレンはトリマガシを殺してから幾度も見てきたトリマガシの幻覚を再び見ました。トリマガシは子供を管理者に戻すのが真のメッセージだとただし、それは子供一人だけでなければならないと語ります。
ゴレンは最下層に残る決意をし、一人子供を乗せたプラットフォームを最上階まで行けるよう、祈りながら見送るのでした。
以上、映画「プラットフォーム」のあらすじと結末でした。
「プラットフォーム」感想・レビュー
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これは面白かった。
潔癖症気味なので、不衛生な環境で一番上の人達の食べ残しを下の人達が順に食べていくシステム、鳥肌ゾゾゾ~っとして少しきつかったw
でも面白かったです。 -
ハッピーエンドもバッドエンドもなく何が解決したのだろう。そして誰が得をして何に管理されているのだろう。上に上がる理由や落とされる根拠はどこにあったんだろう?333層が最下層で死体はどこで処理をする?1層の上は調理場?トイレってどこにあったんだろう?食べ物をとっておくと焼かれるか冷やされるけど人や遺体は問題がない?どこでみてるから一片の肉片で罰を与える?と言うか何故その罰が必要なのか。単に禁煙の認定証が欲しい人と殺人者と元管理者が何故そこへ?100回見ても解決しなさそうだから起承転結を見にきたけどダメだった。と言うかあの分厚い石のプラットフォームは何故浮き沈みするんだ?謎は謎を呼ぶばかり。考えれば考えるほど眠れなくなりそうだ。病ませるこれこそが心理的ホラーなのかも知れない。
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人間の真理をついた物語。
人はどんな過酷な状況でも態度を失ってはいけない、利己愛ではなく利他愛で生きれば誰もしなないと。上の階層は食事は十分なので1日おきでも、少しだけでもしなない。全ての人が理性と秩序を持って、食べない我慢をしたり、少しずつ食べれば下の人まで食べられるはず。それを出来るまでこの実験は終わらないのだろう。でも、中々出来ない。世の中それが出来る人ばかりなら世界はこんな風になっていない。監督はもっと深い所を見ている。これは学校で見せて生徒に議論させたい、考えされせられる作品である。
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面白く、考えさせてくれる映画でした。
“人”の本質 愚かさを 表現した作品だと思います。
この映画は 与えられる食事が重要です。
この食事を最初から分けて与えられるなら 刑務所等と同じですが 全員分の食事を一つのテーブルに乗せて 時間内ならどれだけ食べてもいい。そして その順番を上から下への“階”で表します。
人は “自分だけ”良ければ 他の人の事はどうでもいい。
また 面白いのが 階層で上から下を 見下す事で 人の上に立った気分を表現。自分を含めて本当に人が嫌になる映画。
最後に希望があるとしたら 未来へ子供達に託す事。ただ
“人”である以上 永遠に愚かなる人を繰り返すでしょう。 -
普通にバカ真面目に捉え過ぎな人いるな
こういう映画は大枠を捉えるだけで良いんですよ。 -
今の世界の縮図をこうやって表現したのは面白いですね。
しかし、やはりいつの世も子供は未来なのでしょう。 -
んーオタモトさんの評価に近いかな、映画「キューブ」と「スノーピアザ」を掛け合わせてマイナスした感じやったかな。
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キリスト教的モチーフをメタファーにして作られた作品は、どうも日本人には理解しにくいですね。333層や666人、髭面の主人公の見た目などかなりキリスト教的で、欧米圏ではグッと来るものがあるんでしょう。
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グロ描写とか、人の愚かさばかりに注目しても、この映画の本質は見えてこない気がした。宗教とか政治とか、多様な学問的面からも鑑賞できる作品だった。
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一見ただのグロい映画のように見えるが、ここまで力強いメッセージ性を持たせて、かつエンターテイメントとして楽しませてくれた、素晴らしい作品。
初めはただ資本主義や人間社会の縮図を表しているのかと思ったが、違う。もっと大きな規模で、地球とこれからの未来について強く訴えている。
1のレベルを1年として考える。
私たちはレベル0(今)にいて、自分たちのやっていることが正しいことだと信じて、一生懸命働いて、生活を続けている。その先に何があるかなんて考えもしない。 何も疑っていない。
1年2年50年先…私たちはただただ自分が生きることだけ考えて、資源を汚し、使い尽くす。上の者は聞く耳を持たないし、下の物のことはどうでもいい。100年後200年後、そこには何も残っていない。終わりなんかない。333年後ももっと先も、続いていく。
あの最後の子供は、希望であり、未来であり、私たちが繋いでいかないといけないものだ。私たちが次の世代に何が出来るか、未来に何を残せるか。考えさせられる映画だった。 -
コメントを見て映画が伝えたいこともそういうことなのかなと何となく理解はしましたけど、
内容的にはいろいろとよくわからないし、意味がわからないことも多い。
つまらない。
そう感じる人もいるんです。 -
色んな捉え方ができるし自由に考えられる。ただメッセージ性に映画としての価値があるからつまらない感じも強い。強いて言うなら、細かい事は気にしない方がいい。
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社会の縮図というのは、まぁそうだなと感じた・・
解釈の正解というよりはこれを見た後どう思うかだと思う、刺激になった。 -
松本人志の映画を見れるレベルにした程度の映画。
大枠だけ見てたらあっちと大差ない超駄作にしか見えないわな。
結局の所語られ尽くしたものを描いてるから普段見てる世界の広さが狭ければ深いと感じるし逆なら浅いと感じる映画 -
まったく意味が分からない映画だった。
世界観は良かったが。
主人公はそこが何か分かったうえで自らきたんだろ?命懸けで最下層まで降りて来て最終的に幻影に説得されて残るってあり得ないだろ?。黒人さんなんて主人公に付き合ったせいで命落としたんだぜ?彼に報いる為に上に行くべきだったろ。
まぁこの手の曖昧に終わらせるよな〜。 -
最後が子供の命と引き換えなら
生命のリレーがテーマなのかな、と。食事も命に繋がり 子供も次の命に繋がる。
どんなに意地汚く生きても 結局何も残さなければ
(他人のために残す食事や 最後に助けた若い命など)生物としての存在意義が認められない、と感じてしまった。
なので生命のリレー、在り方がテーマなのかなぁと。
…ただの深読みで 実際は浅いかもしれないけど笑 -
「格差による貧困問題は資源の適切な分配が行われていないから」というのが問題提起。33階で一緒になった元管理者の女性が言った通りなら均等に配れば全員食べられる。
その問題の答えが映画内では手を付けない料理という「ストライキ」から「生かした子供を最上階に送る」に変化。ストライキは現在進行形で行うものであり結局パワーバランスは変えられない。子供は「未来」、その子供が上階に行くことは「仕組みを変えるには上の立場に行く必要がある」というのが映画内の答え。社会学的に見るとこんな感じ。キリスト教はそこまで詳しくないのでノータッチです。 -
世界観のアイディアだけ出来上がったが、面白い終わらせ方が分からなかったから見てる側に解釈を放り投げる形で終わらせた。そういう印象の映画でしたでした。
解き方のヒントも道筋も示さない、全く解けない難解なパズルを作ることは誰にだってできます。
解法への道筋となるヒントを上手くちりばめて、解く楽しみを与えることができるパズルを作ることこそ、クリエイターに求められる才能なのです。この映画に関しては、初手のインパクトとノリだけで制作された、ただただ難解で無意味なパズルのように感じました。
不思議な世界観で、その目的や、なぜ子供が施設に入り込んでしまったのか、など、謎は残りました。
世にも奇妙な物語、という感じ。。