ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書の紹介:2017年アメリカ映画。1971年に起こったアメリカ国防総省によるベトナム戦争の戦況について真実が記された機密文書『ペンタゴン・ペーパーズ』流出という実際に起こった事件を題材にした社会派ドラマ。『プラダを着た悪魔』のメリル・ストリープと『ダ・ヴィンチ・コード』のトム・ハンクスの二大名優が共演し、巨匠スティーブン・スピルバーグが監督を務めるアカデミー作品賞ノミネート作品。
監督:スティーブン・スピルバーグ 出演:メリル・ストリープ(キャサリン・ケイ・グラハム)、トム・ハンクス(ベン・ブラッドリー)、トニー・ブラッドリー(サラ・ポールソン)、ボブ・オデンカーク(ベン・バグディキアン)、ロバート・マクナマラ(ブルース・グリーンウッド)、ダニエル・エルズバーグ(マシュー・リス)ほか
映画「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ペンタゴンペーパーズ 最高機密文書の予告編 動画
映画「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」解説
この解説記事には映画「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ペンタゴンペーパーズ 最高機密文書のネタバレあらすじ:起
1966年、ベトナムの戦場に立つアメリカの兵士たち。アメリカは苦しい戦いを強いられていました。戦況を視察にきたダニエルは帰路の飛行機の中で国防総省長官であるマクナマラに戦況を報告しますが、その報告はアメリカにとって望ましいものではなく、世論に指示される内容ではありませんでした。祖国に降り立ったマクナマラは殺到するメディアを集め「戦況は極めて順調」と偽りの発表を行います。しかし、ダンはその真実を記録し、機密文書として秘密裏に保管していました。
ペンタゴンペーパーズ 最高機密文書のネタバレあらすじ:承
1971年キャサリンは先立たれた夫の意志を受け継ぎ、忘れ形見のワシントン・ポスト紙の代表として奮闘します。しかし、代表としての経験の浅いキャサリンは編集長のベンに業務を指示しますが、「指図するな」と取り合ってもらえないなど、代表としての道は容易なものではありませんでした。そんなある日、自社は一面に平凡な婚姻の記事を掲載している中で、ライバルのニューヨーク・タイムズ社の記者であるニールのスクープにより、ベトナム戦争の調査記録である機密文書『ペンタゴン・ペーパーズ』の内容の一部が掲載されることが明らかになりました。ベンは負けじと『ペンダゴン・ペーパーズ』の全貌をスクープするべく奔走しますが、その内容を容易に手にすることはできず、焦りのあまり代表であるキャサリンに対し、古くから家族ぐるみで親交の深かったマクナマラから文書を入手するように指示します。
ペンタゴンペーパーズ 最高機密文書のネタバレあらすじ:転
そんなベンの焦りをよそにニューヨーク・タイムズのスクープに対し、アメリカ政府は該当の記事が機密保護法に違反しているという内容で記事の発行を差し止める要求が出されていました。しかし、ベンは調査の手を緩めることなく、記者のバグディキアンの地道な調査で、ついに文書を記録したダニエルに直接会のことが出来、4,000ページに及ぶ『ペンタゴン・ペーパーズ』の入手に成功します。ベンの自宅に運び込まれた文書は集められた記者たちの目前で広げられたが、ページの記載がなく、並びも崩されており、容易に読み解けるものではありませんでした。しかし、その記事を掲載する為に残された時間は10時間程度しかなく、不揃いな4,000ページの文書を整理し、その上で記事として精査しなければならないという膨大な作業を強いられました。しかし、ベンはあきらめることなく、文書の整理にかかります。しかし、政府から掲載の差し止め要求が出ている記事を更に詳細に掲載するに当たり、弁護士に相談を持ち掛けたベンであったが、弁護士たちは口をそろえて「違法の為、会社の存続をゆるがす行為」と掲載を断念するよう意見します。世紀の大スクープをあきらめきれないベンはその旨を伝え、最後の判断をキャサリンに委ねます。今までの人生で経験したことのないような選択を迫られたキャサリンでしたが、「新聞は国民に事実を知らしめるものでなければならない」との信念のもと、掲載を決意します。そして、記事は掲載され、予想通り政府と法廷で争うことになります。法廷ではライバルであるニューヨークタイムズとワシントンタイムズが共に裁かれましたが、それ以外の他社も同様に、記事を掲載し、世論は新聞を後押しする風潮となりました。
ペンタゴンペーパーズ 最高機密文書の結末
一審で勝利を収めた新聞社でしたが、審理は最高裁まで持ち越されましたが、世論を味方につけた新聞社は結果、大勝利を収めます。裁判所の前で勝利を収めた新聞社にマスコミが殺到しますが、記者が群がるのはニューヨークタイムズのみで、ワシントンポスト社に注目する記者は一人もいませんでした。しかし、女性でありながら、強い信念のものと、政府と真っ向から対立しても、真実を報道したキャサリンは、審理の結果を確かめに訪れた多くの女性たちに静かに、そして暖かくも力強い眼差しで見守られながら最高裁を後にするのでした。
以上、ペンタゴン・ペーパーズのあらすじと結末でした。
「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」感想・レビュー
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冒頭から社主と編集責任者の間に緊張関係があります。「経営と編集の分離」ということばを思い出してしまいました。とはいえ、キャサリン・ケイ・グラハムはニューヨーク・タイムズの経営者とのディナーで知った情報を直ちにベン・ブラッドリーに流しますし、ブラッドリーも最後にグラハムのOKを取るまで印刷機を動かしません。経営と編集の協力が揺るがなかったと言えましょう。原題はThe Postです。ワシントン・ポストという組織のクリティカルな時期を描いた映画と感じました。
マクナマラのあつかいが好意的と感じられました。彼が嘘をつき通していたことにいたたまれず、真昼間メリル・ストリープ演じる社主が家に押しかけます。そこでマクナマラが心配しているのは自分の名誉ではなく、ペンタゴン・ペーパーズの内容を報道することによってニクソンに執拗に攻撃されるであろうワシントン・ポストなのです。ニクソンつながりで、ブラッドリーをジェイソン・ロバーズが演じる『大統領の陰謀』はまるで先に作られた続編です。 -
情熱的で純粋に大スクープを狙う熱い男、新聞記者ベンをトム・ハンクスがを渋く演じていて素敵だった。メリルストリープが大きな決断をしていく過程を経て、威風堂々、威厳と気品ある女社長になった姿はうっとりするほど美しかった。ただ、残念なのは和訳。スピード感が伝わりにくく、全体的に淡々とした印象にまとまってしまったように感じた。
社会派映画好きは必見の作品です!ジャーナリズムとは、ただ起こった事件を報道するだけでなく、自ら入手した情報を調査し暴いていくという姿勢が大事なのだということを、ひしひしと感じました。図らずも新聞社のトップになってしまったメリルストリープが、繊細さと芯の強さを兼ね備えた女性を見事に演じており、ラストの壮大なカタルシスへと繋がっていきます。現代のアメリカや日本が直面している「政治における隠蔽体質」にメスを入れようという監督の信念が詰まった、見ごたえある作品でした。