パワー・オブ・ワンの紹介:1992年アメリカ映画。南アフリカを舞台に人種差別に立ち向かう英国系白人少年の成長を描いた人間ドラマ。ボクシングや音楽、様々な人々との出会いを通して差別や偏見と対峙していく少年の姿が逞しく描かれていきます。「ロッキー」、「ベスト・キッド」のジョン・G・アヴィルドセンによる監督作品です。
監督:ジョン・G・アヴィルドセン 出演者:スティーヴン・ドーフ(PK)、モーガン・フリーマン(ヘール・ピート)、アーミン・ミューラー=スタール(ドク)、ダニエル・クレイグ(ヤッピー・ボータ)、クライヴ・ラッセル(ボルマン軍曹)、ジョン・ギールグッド(セント・ジョン学長)、ほか
映画「パワー・オブ・ワン」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「パワー・オブ・ワン」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
パワー・オブ・ワンの予告編 動画
映画「パワー・オブ・ワン」解説
この解説記事には映画「パワー・オブ・ワン」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
パワーオブワンのネタバレあらすじ:起
舞台は1940年代初頭の南アフリカ。英国系白人少年PKは父の遺した農場で母とともに暮らしています。しかし農場で疫病が流行り、心労が重なった母が寝込んでしまったことから、PKは寄宿学校に預けられることになりました。
しかしオランダ人系移民アフリカーナが多く通う寄宿学校で英国人はPKただ一人、たちまち生徒達から目の敵にされてしまいます。なかでも上級生ヤッピーからのいじめは特にひどいものでした。PKはストレスからおねしょをするようになり、最愛の母をも病で失ってしまいます。
やがてヨーロッパで戦争が始まり、時代は第二次世界大戦に突入していきます。PKはヒトラーに心酔するヤッピーから大切にしてきた鶏を目の前で処刑されたりと陰惨ないじめに遭いますが、唯一の肉親である祖父に引き取られることになりました。
祖父の暮らす町にやってきたPKは祖父の友人でサボテン農場を営む老人ドクと出会います。ドクはドイツから亡命してきた音楽教授で、PKにピアノや読書といった様々な教養を身に付けさせていきます。そしてPKはドクから差別や偏見に左右されない正しい物の見方を教えこまれていきます。
パワーオブワンのネタバレあらすじ:承
ある日ドクは外国人の登録義務を果たしていないという理由で刑務所に入れられてしまいます。そこでは様々な部族の囚人達がボルマン軍曹達からの厳しいいじめに耐えながら暮らしていました。ドクが知識人で軍曹達からも一目を置かれる存在であったことから刑務所にはPKも自由に出入りすることができました。PKはここで黒人の囚人ヘール・ピートからボクシングの手ほどきを受けるようになります。
それから5年の月日が経過しました。聡明かつ逞しい少年へ成長したPKは文字の書けない囚人達のために手紙の代筆までこなすようになっていました。戦争の終焉が見えつつありましたが、それはドクが祖国ドイツに帰ることを意味していました。ある日ドクは刑務所の見学にやってくる監督官のためにコンサートを開いてほしいと頼まれ、PKと二人で曲を作り始めます。PKのアイデアでズールー語を用いた歌詞には黒人達を虐げる軍曹達への痛烈な批判を込めていきます。指揮者となったPKは囚人達を集めてコーラス隊を作り、彼らをまとめていきます。
そしてコンサート当日がやってきました。刑務所長は囚人達を前にして、一つでも問題を起こしたらコンサートは即中止すると威圧しますが、機転を利かせたPKはアフリカの空の下で一つになりましょうと故意に誤訳し、囚人達の士気を高めていきます。こうしてコンサートは始まりますが、曲に違和感を感じたボルマン軍曹は一人遅れて参加しようとしたピートを捕まえ、歌詞が何を意味するのか問い詰めます。看守を非難する歌であることを明かしたピートは激しい拷問を受け、命を落とします。PKは自分の身勝手な行動によりピートを失ったことを深く悔やみます。
パワーオブワンのネタバレあらすじ:転
終戦後、ドクはドイツへ帰国し、PKは高校生となりました。学長からオックスフォード大学への進学を勧められるほど成績優秀、ボクシング選手としても将来を有望視されています。ある日、PKはボクシングの試合を見に来ていた女子高生マリアに一目惚れし、彼女に熱心にアプローチします。しかしマリアの父マレー博士はアフリカーナを支持する権力者であり二人の交際を固く禁じます。そして公安警察にPKの監視を依頼します。依頼を受けたのが警察官となったヤッピーでした。PKは友人に誘われていった白人黒人混合のボクシングジムでコーチを付けてもらうことにします。そしてそこで黒人ボクサー、ドゥマと試合をしてみないかと持ち掛けられます。試合会場となる黒人居住区に白人が出入りすることは禁じられていましたが、PKはこの誘いに乗ります。
そして試合の日、完全アウェイの雰囲気の中でリングに立ったPKは見事にドゥマをノックアウトで倒します。ドゥマの敗戦に会場はしばし静まりかえりますが、ドゥマがPKの勝利を讃えたことで観客達から大きな歓声が沸き起こります。PKは黒人達に受け入れられたのでした。ドゥマは居住区の仲間達に英語の読み書きを教えてあげてほしいとPKに頼みます。PKは高校の自習室を借りて英語の授業を開くことにします。一方アパルトヘイト政策を支持するマレー博士に反発するマリアも家を飛び出し、PKの授業を手伝いはじめます。しかしすぐに公安警察に知られることとなり、授業は閉鎖に追い込まれてしまうのでした。
パワーオブワンの結末
オックスフォード大学に合格したPKは一緒にイギリスへ行こうとマリアを誘います。一方でPKの通うボクシングジムは黒人を受け入れていることを理由に公安警察によって放火されてしまいます。PKとマリアは教会を借りて英語の授業を再開させますが、そこにも警官達が乗り込んできます。混乱の中PKを守ろうとしたマリアは警官から暴行され、命を落とすのでした。
マリアの死に打ちのめされたPKは気力を失い、黒人達の指導を断ろうとドゥマのもとを訪ねます。しかしPKが居住区で見たものは英語を習得しようと希望に目を輝かせる黒人達の姿でした。PKはドゥマから南アフリカの中心都市プレトリアに行って黒人達に英語を教えないかと誘われます。その夜、ヤッピーら警官達が居住区に乗り込んできます。彼らの目的はPKを捕らえることでした。警官達は罪のない黒人達を次々と撃ち殺していきます。
ドゥマはPKを居住区の外に逃がそうとしますが、怒りに震えるPKは苦闘の末、ヤッピー打ち倒すのでした。難を逃れたPKとドゥマはプレトリアに向けて出発します。二人は国の未来を切り開くため旅を続けていくのでした。
以上、映画「パワー・オブ・ワン」のあらすじと結末でした。
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