シェイプ・オブ・ウォーターの紹介:2017年アメリカ映画。ギレルモ・デル・トロ監督が映画『大アマゾンの半魚人』(1954年)に着想を得て制作したファンタスティックなラブストーリーです。幼少期に発声障害を負った女性と、政府の研究所に囚われた半魚人の男の許されざる愛の行方を描いている。シェイプ・オブ・ウォーターはヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞、ゴールデングローブ賞で監督賞と作曲賞を受賞したほか、2018年の第90回アカデミー賞で最優秀作品賞、最優秀監督賞など4部門を制した。
監督:ギレルモ・デル・トロ 出演者:サリー・ホーキンス(イライザ・エスポジート)、マイケル・シャノン(リチャード・ストリックランド)、リチャード・ジェンキンス(ジャイルズ)、ダグ・ジョーンズ(アセット)、マイケル・スタールバーグ(ロバート・ホフステトラー)、オクタヴィア・スペンサー(ゼルダ・デリラ・フラー)ほか
映画「シェイプ・オブ・ウォーター」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「シェイプ・オブ・ウォーター」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
シェイプオブウォーターの予告編 動画
映画「シェイプ・オブ・ウォーター」解説
この解説記事には映画「シェイプ・オブ・ウォーター」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
シェイプ・オブ・ウォーターのネタバレあらすじ:起
1962年、イライザ・エスポジート(サリー・ホーキンス)は、アメリカ・ボルチモアにある政府機関「オッカム航空宇宙研究センター」で清掃員として働いていました。イライザは幼少期に首に負った怪我が元で声を発することができず、手話をコミュニケーションの手段としていました。イライザは映画館の上階にあるアパートに住み、ミュージカル映画を観るのが何よりの楽しみでした。そんな彼女の数少ない理解者は、隣人の画家ジャイルズ(リチャード・ジェンキンス)と同僚のゼルダ(オクタヴィア・スペンサー)でした。
シェイプ・オブ・ウォーターのネタバレあらすじ:承
ある日、研究センターに南米アマゾンで発見・捕獲された半魚人(ダグ・ジョーンズ)が運ばれてきました。“アセット”と呼ばれるその半魚人は水中でも呼吸ができ、水陸両方で生きられるのです。イライザはプールの中に閉じ込められていたアセットに強い好奇心を抱き始めていました。それからというもの、イライザは夜中にこっそりプールに忍び込んではレコードを聴かせたり、ゆで卵を与えたり、手話を教えたりするなどコミュニケーションを図っているうちに次第に愛着が湧き、やがて二人の間には人種の壁を超えた不思議な絆が芽生えていきました。しかしその一方で、研究所を仕切るリチャード・ストリックランド大佐(マイケル・シャノン)とその上司フランク・ホイト将軍(ニック・サーシー)は将来的な宇宙開発の技術進歩や軍事目的のためにアセットを研究材料にすることを計画していました。
シェイプ・オブ・ウォーターのネタバレあらすじ:転
偶然にもその計画を盗み聞きしてしまったイライザは、ゼルダやソ連出身の研究員ロバート・ホフステレル(マイケル・スタールバーグ)の手助けを借りてアセットを脱出させ、自宅アパートのバスタブで匿うことにしました。イライザが不在の間、ジャイルズがアセットの見張り役を買ってでたのですが、アセットはジャイルズの愛猫を食べてしまい、注意してきたジャイルズの腕を爪で引っ掻いてしまいます。しかし翌朝、ジャイルズの腕の傷はすっかり癒えているとともに、薄くなっていたジャイルズの頭髪がふさふさに生えていました。やがてイライザはアセットと本格的に愛し合うようになっていきましたが、その一方でいつの日かアセットを元の世界に戻してあげなくてはならないとも考えるようになり、近くの運河からアセットを海に逃がす計画を立てました。しかし、ストリックランド大佐の執拗な追跡はすぐそばまで迫っていました。
シェイプ・オブ・ウォーターの結末
ホイト将軍からは36時間以内にアセットを見つけ出すよう命じられたストリックランド大佐は、実はソ連のスパイであるロバートを拷問したり、ゼルダの家に侵入して脅すなどしてアセットの居場所を吐かせようとしていました。一方、日に日に身体が弱っていくアセットを案じるイライザらはジャイルズと共にアセットを海まで連れて行き、別れを告げようとしたその時、そこにストリックランド大佐が乗り込んできました。ストリックランド大佐はジャイルズを殴ると、アセットとイライザに向けて発砲しました。しかし、アセットはすぐさま回復するとストリックランド大佐の喉を爪で切り裂いて殺害、瀕死のイライザを連れて海に飛び込みました。アセットがイライザにキスをすると彼女は復活し、首の傷をエラに変えて水中でも呼吸できるようにしてあげました。アセットとイライザは海の向こうへと消えていきました。
以上、映画シェイプ・オブ・ウォーターのあらすじと結末でした。
「シェイプ・オブ・ウォーター」感想・レビュー
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ハッピーエンドかバッドエンドか、人によって評価が分かれそうです。初めは端々の小物や印象的なものに緑が使われていますが、アセットとイライザが愛し合うようになってからは赤が使われています。そのような細かいところにも演出が行き届いています。しかし人外好きとしては、アッセトにもう少し人外感が欲しかったところです。造形的にほぼ人だし、ある程度の意思疎通ができるようなので。もう少し腕が多かったり人魚のように足がヒレだったら完璧だったなと思います。
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圧巻の映像美。オープニングからの美しい海中のシーンと、エンディングのアセットとイライザの海中のシーンが非常に美しく、しかもエンディングがオープニングへとつながっていることに気づいたときは感動モノでした。ただ、ストーリー自体はやや凡庸で、登場する敵役(ストリックランド大佐)はよく見るタイプ。異物と人間の交流という意味で「E.T.」のラブストーリーバージョンのようなイメージで観ればよいかと思います。
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聴覚障害を持つ女性と、得体の知れぬ半魚人との恋を描いた作品。現実にはあり得ない設定のラブストーリーですが、「自分が主人公のイライザだったら…」と考えると、なぜか感情移入できてしまい、終始、涙していました。愛する気持ちは、すべての壁を超えて成り立つものであり、これに勝るものはないのだと、改めて学ばされます。自分はどうなってもいいと思えるほど、本気の恋をしたいと思える、バッドエンドでありハッピーエンドな、ここ最近なかったハートフルな作品でした。
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とてもロマンチックで、ファンタジックな映画でした。水の形は変幻自在であり、「シェイプオブウォーター」は非常にたくさんの意味づけがされている題名だと思います。聴覚障害をもつ主人公や言語がわからない奇妙な半漁人が登場しますが、不思議と言っている意味がわかる時があり楽しいです。障害者である主人公、ゲイの隣人、黒人の友達、人間ではない半漁人。この物語にはさまざまなマイノリティが支え合い、助け合いながら、不条理に対抗していきます。ファンタジーでありながら社会的な問題を描いたすばらしい作品です。
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私の人生に残る思い出の映画です。
物語の時代背景、随所に散りばめられた青や緑、赤を基調としたトーン。
音楽全てが魅力満点です。
登場人物は皆、どこかに傷や弱さを抱えていますが、それぞれが自分本来の良さを出していることやユーモアによってむしろ魅力的に見えます。
ストーリー自体は少々グロいシーンや家族で見ると気まずいシーンなどが含まれていて、万人受けするとは言えませんが、一人でじっくり世界観に浸るにはおすすめです。
私の主観ですが、悪役も完全なる悪役ではなく、バックストーリーもしっかりあるので本当の意味で悪い人が出てこない映画でした。
一番好きな映画です。 -
私はこの映画はあまり好きではありませんでした。神と崇められていたアセットをイライザは「話せない私と同じ」と同等に考えてしまっていたのも、いきなり男女の関係に発展するのも「うーん」と言う感想。人間ではないアセットからしたらそれは親愛の気持ちだったかもしれない。それなのに人間の枠組みで考えて、それを押し付けているように見えて、とても「素敵な映画」とは思えなかったです…。
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クリーチャーと人間とのロマンチックムービーのようでしたが、女子基準で、鑑賞すると、なかなか微妙な稀な、批評がきっぱり分かれそうな映画だなぁと思いました。怪物感が慣れていないのがなかなかキツイのと、ダンサーインザダークの映画を思い出すような、何か切なさや、悪者の方のストーリーの流れ方が、クラシックスタイルすぎると思いました。怪物は不死身シーンが、妙にわかりやすかったり、映画ならではの水中の映像美、レコードシーンなどは、楽しめました。
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内容は、CMから想像していたような異種間恋愛やSF映画というよりも、まさかのエロ・グロ。しかし、スチームパンク風の世界観や「古き良きアメリカ」を思わせるセット、様々なマイノリティや政治観が絡み合う展開は、思ったより濃厚で楽しめました。全体的に色味を抑えられた画面やゆったりとしたBGMもあいまって、とても印象的な映画でした。
すごく素敵な映画でした。ブラックな部分もありますが、私の中ではとっても素敵なおとぎ話のようでした。イライザは耳が聞こえず手話で会話をします。そんな彼女が出会ったのは半魚人だったのです。人とは違うものだけど愛したいと思うその気持ちがとっても素敵だなと思いました。そして主人公を支える友人たちも魅力的な登場人物でした。最後2人がどうなったかわかりませんが、幸せになっているはずと思わせるラストはとっても良かったです。