三つの恋の物語の紹介:1953年アメリカ映画。三話からなるオムニバス恋愛映画。ニューヨークへ向かう客船のデッキで思い思いに時間を過ごす乗客たち。その中の三人のそれぞれの恋の物語。『赤い靴』のモイラ・シアラー、『スタア誕生』のジェームズ・メイソン、『パリのアメリカ人』のレスリー・キャロン等が出演する、1950年代のMGM映画の秘宝。
監督:ゴットフリード・ラインハルト[第1、3章]、ヴィンセント・ミネリ[第2章] 出演者:ジェームズ・メイソン(チャールズ・カウトレイ)、モイラ・シアラー(ポーラ),アグネス・ムーアヘッド(ポーラのおば)、レスリー・キャロン(マドモワゼル)、ファーリー・グレンジャー(青年になったトミー)、エセル・バリモア(ペニコット夫人)、カーク・ダグラス(ピエール・ナーヴァル)、ピア・アンジェリ(ニーナ・ブルクハルト)、ほか
映画「三つの恋の物語」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「三つの恋の物語」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
三つの恋の物語の予告編 動画
映画「三つの恋の物語」解説
この解説記事には映画「三つの恋の物語」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
三つの恋の物語のネタバレあらすじ:第1章「嫉妬深い恋人」
豪華客船のデッキ。デッキチェアに座る著名な舞台監督チャールズ・カウトレイには悲しい思い出があった。
バレエのオーディションでカウトレイは一人のバレリーナのダンスに惹きつけられるが、彼女は突然倒れて運び出される。そのバレリーナ、ポーラは人生のすべてをバレエにささげてきたが、心臓の疾患が見つかった。彼女はバレエ以外の人生を見つけることにする。
しかし、カウトレイの新作「アスタート」の初日を鑑賞したポーラは、終演後最後まで劇場に残り、誰もいない舞台につい上がって舞い始める。それを上からカウトレイが見ていた。「アスタート」のできに不満のあったカウトレイはポーラのダンスに感銘を受け、直ちに彼のスタジオに来て仕事を手伝うように言うが、ポーラは断る。どうせ「嫉妬深い恋人」がうるさいせいだ、とカウトレイは考える。
だが、タクシーでポーラを家に送る途中で、カウトレイは彼女がオーディションで見たすばらしいバレリーナだと思い出す。彼女の病気を知らないカウトレイは、その才能を惜しむ。そしてポーラはスタジオに同行することを承知する。
カウトレイのスタジオでポーラは「アスタート」の衣装に着換え、レコードから流れるラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」に合わせて踊る。カウトレイはそのダンスに魅了され、踊り続けることを要求する。疲れ果てて踊り終えたポーラに、カウトレイは口づけをする。カウトレイはもうポーラと離れていたくなかった。ポーラも「あなたといっしょにいる」と約束する。だが、隣の部屋で衣装を換えているはずのポーラに彼女の名を尋ねようとしたとき、カウトレイはポーラが既に彼のスタジオを出て行ったことを知る。
帰宅したポーラの憔悴した様を見て、一緒に暮らすおばは驚く。ポーラはダンスをした喜びを語る。だが、階段で倒れ息絶えるのだった。
三つの恋の物語のネタバレあらすじ:第2章「マドモワゼル」
フランス人の彼女はローマで11歳のアメリカ人、トミー・キャンベルのために家庭教師をしていた。皆彼女を「マドモワゼル」と呼ぶ。トミーはマドモワゼルの読む詩もフランス語の動詞の活用の練習も大嫌い。
明朝、マドモワゼルをともなってキャンベル一家がローマを去るという晩、トミーは不満を爆発させて逃げ出す。25歳だったら家庭教師がつかないのに。彼は別の男の子に誘われて、滞在するホテルの別館に住むペニコット夫人の所に行く。夫人は魔女だという噂だった。もう一人の男の子は犬に追い払われるが、トニーは魔法で大人にしてほしいと願う。夫人は魔法のリボンをくれた。今晩8時にリボンをまいた指をこめかみに当てて、ぺニコット夫人の名を唱えると12時までの間だけ願いが叶うのだ。
願いかなって青年になったトミーは、公園に落ちている詩集を拾って声を出して読む。あなたの本ではないですか?と彼が背中に呼びかけた女性は、何と、おしゃれをしたマドモワゼルだった。その晩、マドモワゼルに意地悪なことを言って泣かせたことを後悔する。トミーは、僕には時間があまり残されていないと言う。2人は遺跡を散歩してキスを交わす。だが、貴重な時間は過ぎ、馬車に乗っている時に12時の鐘が鳴りだす。明朝10時に駅で会う約束をしてトミーは逃げ出す。走っているうちに彼は元の男の子に戻る。
翌朝、駅でマドマアゼルは、トミーのいっしょに来てほしいという訴えもむなしく、突然家庭教師を辞職してローマにとどまる。だが駅に彼女の待つ青年は現れない。その時、マドモワゼルはある婦人とぶつかり、婦人の落としたバッグを拾う。婦人は人を待ちすぎるのは良くないとアドバイスをおくる。そして「私の名はヘイゼル・ペニコット」と名乗って立ち去った。マドモワゼルは夫人の残したリボンを拾う。
客船のデッキで編み物をしていたマドモワゼルの手から落ちたリボンを拾った青年が、彼女がローマの駅のホームにいたのを列車から見たと言い、カクテルに誘うのだった。
三つの恋の物語のネタバレあらすじ:第3章「均衡」
その客船のデッキから海を眺めているピエール・ナーヴァルは、かつてパリでセーヌ川へ身投げした女を助けた。その女のことが気になり、彼は何度か病院に彼女を見舞う。ニーナという名の彼女は、私の人生は終わったと言う。だが彼女にスキー・ジャンプの経験があることがピエールに新たな希望をもたらす。
彼は空中ブランコの名手であったが、数年前曲芸のパートナーの女性を事故で失ったせいで、今は自転車修理業に携わっている。運動神経があり、でも心が死んでしまって死を恐れないニーナは、新しいパートナーにぴったりである。ピエールに恋をしたせいで失敗を犯した前のパートナーとは違う。彼は自分の住所を書いたメモを渡す。
ピエールの友人たちはピエールが高度な技を求めるあまり、パートナーを追いつめ、とうとう死においやったことを覚えているために、ピエールが新しいパートナーを得てサーカスに復帰することに反対するが、他に頼る人のいないニーナは、ピエールの所にくる。
数か月のトレーニングでニーナは高度な技術を身に着けていく。そんなある日、ニーナはピエールに辛い過去を話す。彼女と夫は強制収容所にいたが、女たちだけが解放される。脱走を計画している夫にニーナは「アメリカ軍が解放してくれるから脱走はしないで」という手紙を書くが、その手紙を託した人がドイツ軍に手紙を見せたために、夫は処刑されたのだった。
アメリカの興行師のオーディションを受けることが決まる。会場はピエールが前のパートナーを失った劇場だった。だが、ニーナの手紙を夫に取り次いだ男が、夫の遺品をもって謝罪に訪れたのをきっかけにニーナはベッドから動けなくなる。ピエールはベッドに寄りそう。前のパートナーの死が自分のせいであることをとうとう認め、でもニーナが手紙を書いたことで夫を死なせてしまったのだとしても、それは愛のせいだと慰め、抱きしめる。
ニーナがトレーニングに復帰し、やがてオーディションの日が来る。だが、ニーナが最後の大技でバーを放すタイミングが遅れ気味になってきているのが不安の種だった。ニーナとピエールの間に恋が芽生えたせいで、彼女に恐怖心が生まれているようなのだ。妙技を披露し続けた後、最後の大技を前に興行師が本番同様に安全ネットなしで演じてくれと要求。ピエールは反対するが、ニーナの承諾により安全ネットがはずされる。
上方の板からダイブしたニーナをピエールが見事に受け止める。だが二人は興行師と契約することなく、見つめ合いながら劇場を後にし、今は客船の船上にいるのだった。
以上、映画「三つの恋の物語」のあらすじと結末でした。
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