戦う幌馬車の紹介:1967年アメリカ映画。クレア・ハフェイカーの西部小説「悪党」を彼自身の脚本で映画化した西部劇です。町の有力者に無実の罪を着せられた牧場主が復讐のため仲間を見つけて集め、有力者の所有する鋼鉄製の重装甲馬車に積まれた砂金を奪う計画を立てます…。
監督:バート・ケネディ 出演者:ジョン・ウェイン(トウ・ジャクソン)、カーク・ダグラス(ローマックス)、ハワード・キール(リーヴァイ・ウォーキング・ベア)、ロバート・ウォーカーJr.(ビリー・ハイアット)、ブルース・キャボット(フランク・ピアース)ほか
映画「戦う幌馬車」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「戦う幌馬車」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「戦う幌馬車」解説
この解説記事には映画「戦う幌馬車」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
戦う幌馬車のネタバレあらすじ:起
仮出所を許され、ニューメキシコの故郷エメットの町に帰って来た牧場主のトウ・ジャクソン(ジョン・ウェイン)。トウは町の実力者ピアース(ブルース・キャボット)の策略によって無実の罪を着せられて刑務所送りとなり、所有する牧場と金鉱を奪われており、復讐のために舞い戻ったのです。トウの仮出所を知ったピアースは流れ者ガンマンのローマックス(カーク・ダグラス)を1万ドルで雇い、トウの殺害を依頼しようとしますが、トウは既に先手を打っており、ローマックスと組んでピアースが所有する鋼鉄製の重装甲馬車で運ぶ50万ドル分の砂金を奪う計画を立てていました。
戦う幌馬車のネタバレあらすじ:承
トウとローマックスは手始めにメキシコ人の無法者リーヴァイ(ハワード・キール)と飲んだくれの爆薬使いビリー(ロバート・ウォーカー・ジュニア)、運び屋のウェス(キーナン・ウィン)とその妻ケイト(ヴァローラ・ノーランド)を仲間に入れ、ピアースの動向を探りながら装甲馬車襲撃の計画を練っていきます。更にトウはリーヴァイを連れてインディアン 居住地に行き酋長と交渉、武器弾薬を与えることで装甲馬車襲撃に協力する手筈を整え、ローマックスはピアースの牧場からニトログリセリンを盗み出します。
戦う幌馬車のネタバレあらすじ:転
そして襲撃当日、トウとビリーは馬車が通るルートの橋に爆弾を仕掛け、リーヴァイは大木を切り倒して道を塞ぎ、準備は万端です。そしてピアースの馬車は50万ドルの砂金を乗せ、30人の部下とガトリング銃と供に町を出発しました。そして襲撃ポイントに差し掛かったところでインディアンの大群が馬車の護衛隊を襲い、狙い通りに橋を爆破して馬車を襲撃、ピアースらはガトリング銃で応戦しますが敢えなく敗れて命を落とし、トウらはまんまと馬車強奪に成功します。ところが、砂金を荷馬車の小麦粉の樽に移し変えて偽装している最中、突如インディアンの一派が襲いかかり、ウェスは殺されてしまいます。
戦う幌馬車の結末
ビリーが機転を利かしてニトログリセリンを爆発させ、インディアンたちを何とか撃退するものの、その弾みで砂金を積んだ馬車は暴走してしまい、転がり落ちた砂金は小麦粉と見分けがつかなくなってしまいました。そこへ土地を追われたインディアンの難民一派が通りかかり、我先にと砂金の混じった小麦粉を奪って去っていきました。それを見たリーヴァイは故郷へと帰って行き、砂金を取り損ねたローマックスも怒ってトウの馬を奪い去っていきました。しかし、トウはウェスが密かに隠していた砂金の袋を見つけ、ビリーとケイト、そしてローマックスとで山分けすることにしました。
「戦う幌馬車」という西部劇の主演は、御大ジョン・ウェインとカーク・ダグラスという重量級俳優の魅力的な顔合わせです。
監督がバート・ケネディなので、内容的にはシリアス寄りではなく、コメディ寄りの痛快アクション西部劇になっています。
結論から言うと、この映画はとても面白かったのですが、ラストは主人公にとって残念な成り行きになっています。
思わず「オーシャンと11人の仲間」を思い出しました。
冒頭、主人公のトウ・ジャクソン(ジョン・ウェイン)が刑務所帰りという設定で登場するので、一瞬ビックリしました。
ジョン・ウェインが西部劇の悪役をやるわけがないからです。実は、無実の罪で刑務所送りになっていたのです。
そして、その無実の罪に追いやった敵をやっつけに来た、というストーリーでした。一種の復讐劇と言ってもいいかもしれません。
トウの標的は、自分を騙して牧場を奪ったうえに、牧場から出た金を独り占めしているピアースという男です。
トウは、ピアースが鉄製の装甲車のような馬車で運ぶ金を奪う計画をたて、仲間を集めます。
金庫破りの特異なローマックス(カーク・ダグラス)、古い馴染みのリーバイ、運び屋のフレッチャー、爆破が得意なビーリーの4人。
それぞれ特技を持った仲間が協力して、数十人の護衛のついた戦車のような馬車の襲撃作戦を決行するのです。
現金輸送車ならぬ砂金輸送馬車、この馬車の外観がかなり凄いです。
真っ黒で、上部には丸い砲台のようなものが付いていて、機関銃が据え付けてあるのです。
この不気味な馬車が、護衛を引き連れて荒野を疾走するシーンは迫力満点です。
トウとその仲間5人が、いかにして鉄の馬車を襲撃して金を奪うのかが、この映画の最大の醍醐味であり、見せ場であり面白いところです。
爆破が専門のビリーは、若いくせにアル中で、運び屋の老人は、まるで孫のような若い奥さんがいる乱暴者、とまあこんな風に仲間もそれぞれ個性的で観ていて飽きません。
バート・ケネディ監督の映画は、以前に「夕陽に立つ保安官」を観ました。あれほどコメディ色は強くないですが、ジョン・ウェインとカーク・ダグラスが見せる絶妙の間合いの可笑しいセリフは得難いもので、観ていて微笑ましく癒されました。
内容を全く知らずに観て、面白くて大正解でした。西部劇はやっぱりアクション映画の原点だなと、あらためて思わせられた1本でした。