THE WAVE/ザ・ウェイブの紹介:2015年ノルウェー映画。ノルウェーのガイランゲル・フィヨルドは、素晴らしい景観で観光客が賑わうスポットでありながら、山の岩盤の大崩落による巨大津波の脅威にさらされている場所でもありました。津波警戒センターで働くクリスチャンは、巨大津波が起きる前触れと思われる山の異常を見て危険を訴えますが・・・。ノルウェーで大ヒットとなったディザスター・ムービー。
監督:ローアル・ユートハウグ 出演者:クリストッフェル・ヨーネル(クリスチャン)、アーネ・ダール・トルプ(イドゥン)、ヨナス・ホッフ・オフテブロ(ソンドレ)、フリチョフ・ソーハイム(アルヴィド)ほか
映画「THE WAVE/ザ・ウェイブ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「THE WAVE/ザ・ウェイブ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
THE WAVE/ザ・ウェイブの予告編 動画
映画「THE WAVE/ザ・ウェイブ」解説
この解説記事には映画「THE WAVE/ザ・ウェイブ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
THE WAVE/ザ・ウェイブのネタバレあらすじ:起
1905年にノルウェーのフィヨルドで、岩盤崩落による巨大津波が発生した時の映像がテレビで流れます。この辺一帯の岩盤は世界的にも珍しいほどに不安定であり、またフィヨルドで巨大津波が起きるのは時間の問題でした。津波警戒センターで働いている地質学者のクリスチャンは、観光ホテルの「ホテル・ガイランゲル」で働く妻イドゥンと息子ソンドレ、幼い娘ユリアの4人暮らしです。一家は複雑に入り組んだ入り江を壮大な山が取り囲むガイランゲル・フィヨルドに住んでいますが、山に詳しくて有能なクリスチャンは石油会社に引き抜かれて転職することになり、家族で都会に引っ越すことが決まっています。クリスチャンは新しい新居はスマホで玄関の鍵をかけられると嬉しそうに話す一方で、どこかまだ迷いを捨てきれずにいました。クリスチャンが津波警戒センターに出社すると、仕事仲間のアルヴィド、ヤコブ、マーゴット達みんながクリスチャンが去るのを惜しみ、ケーキでお別れ会を開いてくれます。その後、クリスチャンがデスクの片付けをしていると、観測ルームから異常を知らせる警告アラームが聞こえてくるので行ってみます。山の地下水の水位が下がって通信が途絶えていることが分かりますが、山のライブ映像だと特に異常は見えず、きっと接続不良だろうという事になります。しかし、うるさいからアラームを切れと言うアルヴィドの横で、クリスチャンは地下水の観測データ画面に見入って無言になります。アルヴィドに「こっちはいいから荷造りしろ」と言われて帰宅しますが、帰宅後も地下水のデータが気になってパソコンを見ているクリスチャン。イドゥンは「センターを辞めたんだから、もう山の心配をしないで」と言い、クリスチャンは荷造りを手伝うことにします。外のゴミ捨て場にセンターの仕事のデータ書類を全部捨てていると、ソンドレが海岸でぼんやりとしている姿が見えたため話をしに行きます。「ここが好きだ。ガイランゲルは世界の中心じゃないけど安心できる。故郷だ」と言うソンドレに「つらいのは分かる。だが、これが家族にとって最善の選択だと思う。難しい決断をするのも人生の試練だ」と語るクリスチャン。「先が見えなくて不安なんだ、また数年後に引っ越すかもしれない。この国は山だらけだからね」と言って家に戻るソンドレ。友人のトーマス一家が別れの挨拶に来て和やかに話をし、イドゥンだけ最後のホテルの仕事があるために残り、クリスチャン達はフェリー乗り場に出発します。車の中でフェリーが来るのを待つ間、助手席でソンドレがスマホのジェンガゲームをやっているのを何となく見るクリスチャン。不安定になって崩れるジェンガ。その直後に車窓から見える山肌から水が滴っているのを見て、ふとある考えが浮かび道を引き返して津波警戒センターに向かいます。訳が分からない様子の子供達を車に残し、「すぐに戻る」と急いでセンターに入っていくクリスチャン。その頃、イドゥンは勤務先であるホテル・ガイランゲルに向かっていました。到着すると、ホテルのロビーは大型バスで来た観光客で混雑していたため、すぐに接客の仕事を開始します。クリスチャンはセンターのスタッフを集めて、地下水の水位が下がった理由を説明します。ファイルを数冊積み上げて地層に見立て、「山っていうのは地層が積み重なってできてる。我々の試掘孔はそこを貫通してる。地下水が減ることはない。違う層に流れたんだ。それが摩擦を生み地層を揺らすこともある」とファイルの層をズラします。「ズレが大きくてケーブルが切れたのかも。山の重みが加わってそのズレが大きくなったら・・・岩盤が崩落する」と言いながら、ファイルの山を大きく崩します。早速、クリスチャンとヤコブはヘリコプターでフィヨルド観測ステーションへ向かいます。その頃、なかなか戻ってこないクリスチャンに困ったソンドレ達はイドゥンに連絡をしていました。クリスチャン達は山の亀裂からロープを使って内部に降りていき、観測地点のケーブルを確認します。2か所確認してみますが両方ともケーブルが切断されていました。本当に山の地層が大きくズレてしまっているのではと愕然とするクリスチャン。クリスチャンはセンターに戻ってケーブルを見せ、「不自然なちぎれ方だ。動きが起きているはずだ」と言いますが、アルヴィドは「それは俺たちがこれから新しく穴を掘って確認する」と言います。クリスチャンは「穴を掘る?正気か?岩盤が崩落したらどうなると?海抜80メートルまで津波にのまれる。たった10分でガイランゲルは消える!」と必死に訴えますが、アルヴィドは苛立ちながら「どうしろって言うんだ?警報を鳴らすか?パニックが起きて観光客が来なくなるぞ」「毎度のように警報を鳴らせば、本当に危険な時に逃げてもらえなくなる」と言います。「ならどうする?」とクリスチャンが尋ねると、「警戒態勢を取り、24時間山を監視する」と言うアルヴィド。クリスチャンは呆気に取られながらも他のスタッフ達にも意見を求めますが、みんなアルヴィドに同調し、マーゴットに「少し落ち着いて」と言われてしまいます。アルヴィドに「ケーブルが切れてた以外は山に変化はない。静かなもんだ」と言われてクリスチャンも納得し「そうだな・・すまない。考えすぎだろう」と謝って、センターを出ます。車に戻ると子供達の姿はなく「ママに電話して」というメモが残してありました。「やっちまった」と呟いて急いでホテル・ガイランゲルに向かうクリスチャン。
THE WAVE/ザ・ウェイブのネタバレあらすじ:承
ホテルに着くと、子供達はロビーにいました。イドゥンは「正気なの?子供達をおいて仕事に行くなんて。仕事は辞めたでしょ」と怒っています。ひたすら謝りながら「だが悪い予感が・・」と言うクリスチャン。イドゥンは「今日は発てない」と言い、今夜はみんなでホテルに泊まって明日発つことにします。ユリアが「おうちで寝たい」と言い、もう家は空っぽですがクリスチャンはユリアと家に行って眠ることにします。クリスチャンはソンドレも誘いますが、ホテル従業員のビベーケに気があるソンドレはホテルに泊まることにします。イドゥンはソンドレを客室に案内し、仕事に戻ります。クリスチャンとユリアは家に着き、引っ越しで処分したゴミからマットレスとイスをまた引っ張り出して眠ることにします。ユリアが眠った後、イドゥンに今日は悪かったとメールをするクリスチャン。ホテルのロビーにいたイドゥンはそのメールを目にした後、ふとデスクに置いてあった災害時のマニュアルを取り出して開いてみます。「津波危険地域」という注意書きと津波到達による被害予想地図、ホテル内にある地下シェルターの案内図を眺めるイドゥン。アルヴィドとヤコブは山の観察をするためにフィヨルド観測ステーションにいました。クリスチャンとケンカ別れのようになってしまったことを悔やむヤコブ。「1年以内に戻るさ。山に魅了された者は離れられない」と言うアルヴィド。ソンドレは部屋でテレビを見る事にも飽き、スケボーを片手に部屋を出ます。廊下で気になっている従業員ビベーケとすれ違い、ドキドキしながら挨拶を交わします。その後、地下シェルターへ向かうドアを発見して階段を降りていき、地下通路でヘッドホンで音楽を聴きながら、思う存分スケボーを走らせるソンドレ。その頃、津波警戒センターの観測ルームでは新たな異常を感知していました。山が見える窓際で眠っていたクリスチャンは、ふと目を覚まします。津波警戒センターにいたマーゴット達はアルヴィドに連絡をして「おかしな話だけど、山の岩の隙間が収縮してるみたい」と言うと、アルヴィドは「まさか。もう一度データを精査してくれ」と言い、念のためヤコブと山に確認しに行くことにします。なにか胸騒ぎを感じてベランダに出て山を見つめるクリスチャン。アルヴィドとヤコブは山の亀裂から入ってロープで岩の隙間に降りていき、マーゴット達がその様子をモニターで確認します。クリスチャンはセンターに電話をかけて「問題ないか?」と聞くと、マーゴットが「妙なデータを確認中よ。岩の隙間の収縮が確認できたの」「何かのエラーだと思うけど、アルヴィドたちが確認に行ってるから大丈夫よ」と言うと、「そうか」と答えて一旦電話を切るクリスチャン。しかし、クリスチャンは何か引っかかるものを感じ、ゴミ捨て場に捨てたデータ書類を探しに行きます。アルヴィドとヤコブが調査を続けていると、一瞬、地震が起きます。クリスチャンは鳥の大群が飛び立っていくのを見て、急いで書類を持って家の中に入ります。測定器C6の部分がこの1時間で2.6cmも収縮していることが分かり、「クソッ」と呟くアルヴィド。C7も念のために調査することになりヤコブが進みますが、ロープが邪魔になってカラビナを外してしまいます。クリスチャンは過去のデータを見ていくうちに「岩盤崩落」という文字に行き着き、急いでマーゴットに電話をかけてアルヴィドの無線に繋いでもらいます。クリスチャンが「今すぐに作業をやめてそこから逃げるんだ。過去の崩落事故を調べたんだ。崩落前に岩盤の隙間が収縮してる。現在と同じ現象だ」と告げます。その時、大きな揺れが起こって岩が崩れ落ち、ヤコブの足が挟まれてしまいます。アルヴィドが助けに向かいますが、山の揺れが大きくなって岩の隙間がどんどん狭くなっていき、アルヴィド達は叫び声をあげます。センターのデータは地下水の水位があちこちで下がり始めたことを示して警告アラームが鳴り続けています。電話でそのただならぬ様子を聞いていたクリスチャンは巨大津波が来ることを察知し、「マーゴット、警報を」と指示します。アルヴィドも「緊急警報を鳴らすんだ。今すぐ鳴らせ、急げ!」と叫び、マーゴットは緊急警報ボタンを押します。
THE WAVE/ザ・ウェイブのネタバレあらすじ:転
ガイランゲルの村に津波の緊急警報のサイレンが鳴り響き、クリスチャンの家にもホテル・ガイランゲルにいるイドゥンのところにも警報音が聞こえてきます。アルヴィドは「お前は生きろ」と自分のカラビナをヤコブに繋ぎます。その直後、山が大崩落を起こし、アルヴィドは崩れてくる大量の岩石と共に落ちていってしまいます。岩石に耐えながら「アルヴィド!」と叫ぶヤコブ。崩落した大量の岩石が雪崩のように海に流れ落ち、どす黒い波が大きく盛り上がっていきます。センターの観測データの通信は全て途絶え、巨大津波の到達まで残り10分という表示が出ます。クリスチャンは地震に怯えるユリアを抱き締めながら、腕時計のタイマーを10分にセットします。イドゥンはビベーケに「10分よ。10分しかない。お客様を外に誘導して。バスの運転手も捜して!」と指示し、客室のドアを叩いて大声で避難を呼びかけます。クリスチャンはユリアを連れて車で避難を開始し、運転しながらイドゥンと電話で話します。そっちに迎えに行くと言うクリスチャンに対し、「ダメよ。お願いだからユリアを安全な場所に連れて逃げて。約束して」と言うイドゥン。イドゥンは宿泊客達と一緒にバスで逃げると言います。クリスチャンは苦悩しながらも、このままユリアと逃げることを約束します。その頃、巨大津波がガイランゲルに向かい始めていました。ホテルのロビーではバスの運転手が運転を拒否したりと、状況を飲み込めない人々が混乱しています。イドゥンは海抜80メートルに達する巨大津波が来ることを告げて避難を呼びかけ、みんなバスに乗り込み始めます。その時イドゥンはソンドレがいないことに気が付き、急いで捜しに行きます。車で逃げていたクリスチャンですが、渋滞で立ち往生してしまいます。パニックになりそうな気持ちで考え込みながら腕時計のタイマー(残り4分30秒)と海抜計(現在海抜47メートル地点)を確認し、ユリアに「走ろう」と言って車外に出ます。クリスチャンは走りながら他の車の人達にも「走れ!車から出て!」「高い場所を目指せ!みんな急ぐんだ!」と叫び、みんな車から出てクリスチャンの後に続いて走り出します。イドゥンはソンドレを探しますが、どこにもいません。宿泊客をバスに誘導しているビベーケのところに戻って聞いてみると、「夕方に廊下で会ったきりよ」と言われます。ビベーケが「急いで逃げないと」と止めても、「息子を見捨てられない」とまたホテルに入っていくイドゥン。その様子を見ていた宿泊客の女性マリアも「捜すのを手伝うわ」とホテルに入ろうとします。マリアの夫であるフィリップが「バスに戻れ」と言いますが、「一緒に来て!」と怒鳴られ、急いで一緒に捜しに行くことにします。「間に合わないわ」と呆然とするビベーケ。クリスチャンとユリアは大勢の人々と共に、必死に入り江脇の坂道を登り続けていました。クリスチャンが腕時計を見ると海抜57メートル地点です。ユリアを抱き上げて無我夢中で走り続けるクリスチャン。途中で友人のトーマス一家がまだ車内にいるのを見かけ、「トーマス逃げるんだ!」と呼びかけ、トーマス一家もクリスチャン達と一緒に走って逃げることにします。トーマスの車の前に停まっていた車のドライバーも、みんなが走って逃げていることに気付いて慌てて車外に出て逃げますが、ブレーキをきちんとかけずに出たために車がバックしてしまい、トーマスの妻アナが車と車の間に足を挟まれて動けなくなってしまいます。痛みに叫び声を上げるアナ。その時、巨大津波が轟音が響かせながら入り江に入って来るのが見え、人々が悲鳴を上げます。クリスチャンはトーマスにユリアを託して「逃げてくれ」と言い、アナのところに行きます。急いで車を発進させて動かし、足を痛めたアナを支えながら一緒に逃げます。後ろを振り返ると、現実とは思えないような巨大津波がどんどん迫って来るのが見えます。アナを連れてこのまま走り続けても逃げ切れないと感じたクリスチャンは、乗り捨ててあった車の中にアナを押し込み、「私を置いて逃げて!」というアナの言葉を無視して自分も運転席に乗り込みます。アナにベルトをするように言って自分もベルトをし、サイドミラーで近付いて来る巨大津波を凝視するクリスチャン。クリスチャンとアナは決心したように見つめ合って手を繋ぎ、アナはギュッと目を閉じます。その瞬間、多くの車を巻き込んだ巨大津波がクリスチャン達が乗る車を襲い、衝撃で後ろの窓ガラスが割れて水が流れ込みます。車は津波の中で様々な物体に衝突しながら翻弄されていき、クリスチャンとアナは、なす術もなく水と衝撃に耐え続けます。フロントガラス越しに鉄くずが向かってくるのが見え、咄嗟に身を守るクリスチャン。イドゥン達はソンドレを捜し続けますが見つかりません。このままでは自分達の命も危ないと感じたフィリップが捜し続けるイドゥンとマリアに「今すぐバスに戻るんだ!」と怒鳴り、2人は立ち止まります。その時、マリアが「・・・物音がする」と地下通路のドアを開けます。イドゥンが地下への階段を駆け下りてスケボーをしていたソンドレを見つけ、「逃げるわよ!」と訳が分からない顔をしているソンドレを連れ出します。4人がホテルの外に出ると、ホテルの高さを遥かに超える巨大津波が目の前まで来ていました。イドゥンが「地下シェルターに!」と叫んで一斉に駆け出しますが、マリアが巨大津波を見て足がすくんで動けなくなってしまいます。イドゥンが「マリア!来て」とマリアの手を引いて駆け出し、ホテルの中へ向かいます。ロビーを走り抜けたところで津波が入り口を破壊しながら押し寄せ、4人は叫び声を上げながら必死に地下シェルターへ向かいます。先に着いたフィリップとソンドレが地下シェルターのドアを開けて待ちますが、イドゥンとマリアは津波に追いつかれてしまいます。イドゥンは地下シェルターのドアにしがみ付いて入ることが出来ましたが、マリアはそのまま流されていってしまいます。流されていくマリアの名前を叫び続けるフィリップですが、その間、地下シェルターのドアからすごい勢いで水が入ってきてしまいます。イドゥンは「ドアを閉めて。お願いよ」と言いますが、フィリップは「妻が外にいる!」とドアを開けたままマリアの名前を叫び続けます。津波の水はすでに腰の位置まで上がってきていたため、イドゥンは「閉めないと3人とも死ぬわ。諦めて。もういない」と言い聞かせてドアを閉めます。閉めると電気が消えてしまい、シェルターは闇に包まれます。
THE WAVE/ザ・ウェイブの結末
クリスチャンは横転した車内で意識が戻り、隣を見てみるとアナは鉄くずが胸に刺さって亡くなっていました。クリスチャンはショックを受けながらもシートベルトを外して外に這い出ます。辺りを見回してみると、津波で流された瓦礫の山です。呆然としながら「ユリア・・・」と呟いて歩き出すクリスチャン。津波警戒センターではマーゴット達が記録を取り続けていました。すると、「誰か・・・応答を」と無線連絡が入ります。ヤコブからでした。マーゴットが「ヤコブ?無事なの?」と答えると泣き出すヤコブ。「アルヴィドも一緒?」と聞いても泣き続けるヤコブの様子を察し、涙を流すマーゴット。クリスチャンは人々が避難している高台でユリアと会うことができました。ユリアを抱き締めながらトーマスと顔を合わせ、無言でアナが亡くなったことを知らせます。イドゥンはシェルター内で懐中電灯を見つけて照らしてみると、フィリップが悲しみに暮れていました。イドゥンはフィリップに寄り添い、静かに肩に手を置きます。クリスチャンはイドゥンに電話をかけますが繋がりません。近くで電話をしている男性の会話を聞き、相手はどこに避難しているのかと尋ねると、男性は「ガイランゲルの丘だ。山小屋に大勢いるらしい」と答えます。そこにホテルのバスがないか確認してほしいと頼みますが、バスは見てないと言われてショックを受けます。心細そうに「ママたちは?」と聞くユリアにクリスチャンは動揺を隠しながら「パパが捜してくる。ママが心配しているはずだ。安心させてあげないと」と語りかけ、トーマスにユリアを託して一人で捜しに行きます。イドゥンはソンドレとシェルターのドアを少し開けてみます。しかし、水が勢いよく入ってきてしまい、水は引いていない状況だと分かってまたドアを閉めます。天井に通気口があるのを発見してイドゥンが覗いてみますが、狭い場所の奥には換気のファンがあり、パイプ管が何本か繋がっているだけで逃げることはできません。その時、ドアが軋む音が聞こえてきて見てみると、ドアの隙間から水が入ってきています。みんなで急いで服でドアの隙間を埋めようとしますが、フィリップは「どうせ助かりっこない」と投げやりな態度です。イドゥンがフィリップを落ち着かせようと「水位が上がればドアが開きやすくなるはずよ」と言うと「今ドアを開けられなきゃ死を待つだけだ。チクショウ!全員ここで死ぬんだ」と怒鳴るフィリップ。クリスチャンは闇と静寂に包まれた瓦礫の中を進み、バスを捜します。「誰か!」と叫びながら瓦礫の山を登って歩いていると、足元でミシッと音がします。しゃがんで見てみると、クリスチャンが歩いていたのは津波に襲われて横転したバスの窓ガラスのところでした。愕然としながらもバスのドアを開けるクリスチャン。宿泊客達もバスの運転手もビベーケもみんな亡くなっているのを見てショックを受けながら「イドゥン!ソンドレ!」と叫ぶクリスチャン。バス内で2人を見つけられなかったクリスチャンはホテル・ガイランゲルに向かいます。地下シェルターに浸入した水は天井近くまで増してしまい、3人は水面から顔だけ出している状態です。3人で水中に潜ってドアを開けに行きますが、ドアの向こうに岩があってドアが開きません。3人は元の場所に戻りますが、水は更に増えてしまっていたため、天井の通気口へ向かって泳ぎます。イドゥンとソンドレが通気口に顔を出し、パイプに掴まって息をついているとフィリップも来ますが、パニック状態でソンドレにしがみついてきます。イドゥンが驚いて「どうしたの?放してあげて」と言っても、フィリップは「死にたくない!」と凄い力でソンドレやイドゥンにしがみつき頭を水中に沈めてきます。イドゥンが「お願いだから暴れないで。大丈夫よ」とフィリップの体を押さえて落ち着かせようとしますが、フィリップはソンドレを深く沈めたまましがみつきます。イドゥンは「息子を放して!」と必死に止めようとしますが、フィリップは「黙れ!」と言ってソンドレを沈めたまま離そうとしません。ソンドレの命の危険を感じたイドゥンは、フィリップの頭を押さえて水中に沈め、両足で体を押さえつけて動けないようにします。フィリップはもがき苦しんで手を離し、ソンドレは水面に上がってきます。イドゥンは「見ちゃダメよ」と言ってフィリップを足で押さえ続け、やがてフィリップは息絶えます。呆然とするイドゥンとソンドレ。クリスチャンはホテル・ガイランゲルの中に入りますが、ホテル内は津波の痕跡で荒れ果てています。イドゥンとソンドレの名前を大声で呼びながら捜すクリスチャン。地下通路へのドアを見つけますが、地下は完全に水に浸かり、階段の上の方まで水が来て降りられない状態です。この状態の地下には誰もいないだろうと考えたクリスチャンは上の階に行きます。ソンドレのバッグを見つけたクリスチャンはイドゥンとソンドレの生存は絶望的だと感じ、悲しみのあまり泣きながら棒で壁を叩きます。クリスチャンはたまたま壁に取り付けてあるパイプ管の部分を叩いていましたが、その音がイドゥンとソンドレが掴んでいるパイプの方にも伝わってきました。イドゥンとソンドレは音を聞いて誰かがいると気が付き、パイプを手で叩きながら大声で助けを求めますが、クリスチャンの耳には届きません。イドゥンは水中に潜って大きなスパナを見つけてきて、スパナで思いきりパイプを叩きます。クリスチャンは「ガンガンガン!」と誰かが音を鳴らしていることに気が付き、音が響いてくるパイプの方に耳を近づけます。クリスチャンが棒でパイプを叩き、イドゥンとソンドレも後に続いて音を鳴らしてみると、またクリスチャンがパイプを叩いて音が響きます。誰かが自分達に気付いて反応してくれた嬉しさで笑い出すイドゥンとソンドレ。ホッとしたのも束の間、通気口の奥にあるファンから大量の水が流れ込んできて、イドゥンとソンドレを襲います。クリスチャンは急いで地下通路へのドアに行き、大きく息を吸って水の中に飛び込みます。泳いで進んでシェルターのドアを見つけ、ドアの前にある岩を取り除きます。ファンから流れて来る水の勢いは止まらず、このままでは死ぬだけだと感じたイドゥンは、望みをかけてもう一度ドアを開けに潜ります。ドアを必死に押すイドゥン。ドアの向こう側でクリスチャンが岩をどかし、力いっぱいドアを開きます。ドアが開くと、突然目の前に愛する人がいることにお互いに信じられない思いを感じながら一瞬抱き締め合い、クリスチャンはイドゥンに地下の入り口に向かうように合図します。イドゥンが入り口の方へ泳いで行く後ろ姿を見てから、ソンドレの方へ向かうクリスチャン。イドゥンは無事に地下の入り口に辿り着き、大きく息をつきます。クリスチャンは通気口まで泳いでソンドレを見つけ、「見つけたぞ!」と強く抱き締めます。「パパが来たからもう何も心配ないぞ。きっと助かる。ママが外で待ってる。最後の力を振り絞って泳ぐんだ」と言いますが、もう気力も体力も限界になっていたソンドレは首を横に振ります。クリスチャンが「やらなきゃダメだ。頭より上に水が来たら窒息死することになる。そんなのパパもママも許さない。ユリアも待ってる。みんなお前を必要としてるんだ」と言うと、ソンドレは頷きます。「パパが先に行くからついて来い。ずっと見てるから安心しろ。行くぞ」と言い、2人で1,2,3で大きく息を吸い込んで潜り、泳ぎ始めます。しかし、シェルターのドアを出たところでソンドレの息が続かなくなってしまいます。クリスチャンはソンドレのところまで戻ってソンドレの口に息を吹き込み、入り口の方へ向かえと合図を送ります。ソンドレはまた泳ぎ始めますが、今度はクリスチャンの息が限界になり、前に進めなくなってしまいます。ソンドレはイドゥンのところに辿り着きますが、クリスチャンが来ません。イドゥンは地下に飛び込んで泳いで行き、意識を失って漂っているクリスチャンを見つけます。クリスチャンを連れて入り口に辿り着き、心肺蘇生をしますが、クリスチャンの目は見開いたままで意識が戻りません。途中でソンドレが替わって心肺蘇生をしますが、イドゥンはソンドレの手に触れて心肺蘇生を止めさせ、クリスチャンの瞼を静かに閉じます。ソンドレは悲痛な表情をしながら「こんなのダメだ」と言い、また心肺蘇生を始めます。驚いた顔でソンドレを見るイドゥン。ソンドレは「パパ!戻ってきて!頼むよ」と叫びながら力強く心肺蘇生をします。すると、クリスチャンはブハッ!と水を吐き出して意識を取り戻します。無言で強く抱き締め合う3人。ユリアがいる高台には救援隊が着き、人々はひとまず落ち着きを取り戻しつつありました。ユリアはパパとママとソンドレが歩いて来るのを見て駆け出します。クリスチャンは涙を堪えながらみんなで抱き締め合い、歩き出すのでした。
以上、映画THE WAVE/ザ・ウェイブのあらすじと結末でした
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