13デイズの紹介:2000年アメリカ映画。1962年に実際に起こったキューバ危機をテーマにしたケネディ大統領と政府閣僚、軍幹部らの秘密裏に行われた会議の様子を、大統領補佐官のオドネルの視点を通して描いた作品です。好戦的な軍幹部の描写に、クレームが出たという事です。
監督:ロジャー・ドナルドソン 出演:ケビン・コスナー(ケネス・オドネル大統領特別補佐官)、ブルース・グリーンウッド(ジョン・F・ケネディ大統領)、スティーヴン・カルプ(ロバート・ケネディ司法長官)、ディラン・ベイカー(ロバート・マクナマラ国防長官)、ビル・スミトロヴィッチ(マクスウェル・D・テイラー陸軍大将・統合参謀本部議長)、マイケル・フェアマン(アドレー・スティーブンソン国連大使)、ヘンリー・ストロジャー(ディーン・ラスク国務長官)、ほか
映画「13デイズ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「13デイズ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
13デイズの予告編 動画
映画「13デイズ」解説
この解説記事には映画「13デイズ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
13デイズのネタバレあらすじ:起
大統領補佐官のオドネル(ケビン・コスナー)は妻と子供たちに囲まれた普通の家庭です。今日もケネディ大統領の元へ出勤し、補佐官の仕事をこなしていました。そこに一報が入りました。キューバを写した航空写真の解析の結果、ソ連の核ミサイルが搬入されている様子が映っていました。早速、軍関係者は武器の特定を行いました。結果、核ミサイルと断定されました。早速危機管理チームが結成され、会議が始まりました。軍から提示された選択肢は二つでした。発射台等の設備が出来ていないうちに空爆しようという案と、海上封鎖して、ソ連からの積み荷を一切降ろさせないという案でした。軍はケネディ大統領に決断を迫りました。大統領補佐官のオドネルは口出しできないため、見守るしかありませんでした。そこでオドネルは空軍に少佐にキューバの基地を低空で飛んでくることを指示しました。実際に飛んでみると、一斉射撃を受け、戦闘機は被弾しましたが、報告は攻撃を受けなかったとしました。
13デイズのネタバレあらすじ:承
空爆をすると戦争になるのは確実で、ケネディは海上封鎖の案を選択しました。その時もう一つの案が提案されました。国連大使がトルコに配備しているミサイルを撤去する代わりに、ソ連側にキューバのミサイルを撤去してもらおうというものでした。しかし、これはアメリカにとって屈辱的な弱腰外交だという事で見送られました。軍幹部の飛び交う提案と迫られるケネディは悩みました。そこで司法長官である弟のロバート・ケネディをメンバーに入れ、相談に乗ってもらう事になりました。弟も交え、軍幹部との会合は熾烈を極めました。好戦的で攻撃をしたい軍に対し、国民の生命を守りたいケネディは孤立状態でした。ケネディは悩んだ末、海上封鎖を指示しました。
13デイズのネタバレあらすじ:転
それでも尚、好戦的な軍側の意見は押し付けられます。ケネディは弟やオドネルと相談しますが、最終決断が出来ません。そんな大統領に対し、軍は空爆で先手を取る手法が一番だと言葉で責め立てました。ついにケネディは空爆の決意をしました。そこでオドネルは前回飛んでもらった少佐に再びキューバ上空への飛行を依頼しました。不安がよぎる中、オドネルは少佐に絶対生きて帰ってこいと言いました。しかし、少佐の乗った戦闘機は迎撃ミサイルに追われ撃墜されました。ここぞとばかり軍は戦闘開始を要求しますが、ケネディは首を縦に振りませんでした。そして新たな策に転じることになりました。
13デイズの結末
弟のロバート・ケネディを使ってソ連と交渉することにしました。トルコのミサイルは製造から年数が経ち、古くなっているので撤去すると申し出ました。その見返りにキューバのミサイルを回収してほしいという事でした。ソ連の政府や軍関係者には、トルコのミサイル撤去の話をしてもいいが、公にはしないでほしいと頼みました。公になるとこちらも引くに引けなくなると断言しました。そして返事は明日の朝までと期限を切りました。交渉が終わり、オドネルは自宅で朝を迎えました。戦争にはなっていません。第三次世界大戦の危機を乗り切ったオドレルは、自宅で安ど感からか、ぐったりしました。
「13デイズ」感想・レビュー
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キューバ危機は、一歩間違えば、人類の歴史を大きく変えたかもしれない、20世紀の大事件だ。
この映画「13デイズ」は、事実のみが持つ説得力を生かし、この題材を息詰まる政治サスペンスドラマに仕立てた作品だ。
1962年、キューバでソ連製の核ミサイルが発見され、当時のジョン・F・ケネディ大統領が、海上封鎖で対抗し、撤去を迫ったのだった——–。
この危機が回避されるまでの13日間を、ケビン・コスナー演じる、大統領特別補佐官の立場でたどるのだ。
映画は、二重の対立構造を描き、緊張を高めていく。一つは、事件の本筋である米ソの駆け引き。
米側がつかんだソ連軍の動きは描写しても、モスクワの思惑は見せぬまま、物語が進行する。
こうした展開により、疑心暗鬼を生む冷戦の危うさを訴えかけるのだ。そして、もう一つの緊張関係が、外交努力で核戦争の危機を避けたい大統領らと、キューバ侵攻や空爆など強行策を主張する、軍幹部の対立。
やや誇張もある気がするが、軍部を”悪者”扱いしたため、物語がより面白くなったと思う。大統領が決断をためらえば、弟の司法長官ロバート・ケネディは、勇み足を踏むなど、美化されがちなケネディ兄弟を人間臭く描いているところもいい。
ケビン・コスナーも、ヒーローとして出しゃばらず、ケネディ兄弟を支える役に徹して、映画を引き締めている。
一方、硬い話になりがちな題材に、家族を登場させた事で、この映画に膨らみが出たと思う。
この状況で、家族を守るには、武力衝突を避ける以外にないとの主人公の思いは、素直に頷ける。家族愛が、そのまま武器を取る事に結びつくアメリカ映画が多いだけに、妙に新鮮な印象を残す作品になったと思う。
「世界が滅びる日が来る」。この映画で描かれた悪夢の2週間は全人類にとってこう思われたに違いはないのです。第二次世界大戦は今日まで続く超大国誕生のきっかけとなりましたが、その勝者が袂を分かって対立するという、単純で危険極まりない図式ともなったのです。当時繁栄を極めていたアメリカの喉元に突き付けられた短剣。それが西半球で最初に誕生した共産国・キューバの存在でした。そこへ新たにミサイル基地を設営して軍事的に絶対的な優位に持ち込むというソ連の野望を、当のアメリカが受け入れはずはありませんでした。建国以来、その恵まれた立地条件を活かして、農業にまた工業へと順調に発展してきたこの若い国家は、敵と接するという危機に見舞われたことがありませんでした。西海岸のシアトルを除いて、ソ連製のミサイルの射程圏内にすべての都市が収まってしまう。既に米ソの宇宙開発競争が過熱化していましたから、頭上から驚異に多くのアメリカ市民が恐れおののいたことは間違いのないことでしたが。弱気を嫌う国民性のアメリカは、この劣勢を跳ね返そうと目論みます。それがミサイルを積んだ船舶を海上で封鎖する作戦を選択させたのでした。新たな世界のリーダーを目指していた両超大国の威信を賭けた、危険なゲームが幕を開けました。アメリカを率いていたのは革新的な若いリーダ。片やソ連は権力ゲームを巧みに勝ち抜いてきた千軍万馬の強者。若さは行動力の象徴でもありますが、経験不足は否定できません。経験豊富な書記長の方は陸上では西側を圧倒できる兵力を誇りながらも、海軍力では比較にならない貧弱さが大きな弱みでした。政治体制も国力も異なる両者の最終的な決着は政治的な駆け引きへと舞台が移ります。どちらも自国及び同盟国に有利なように交渉を重ねる者の、問題解決へはつながらない状態が続き、世界は一気に緊迫しました。それまでの経緯がこの『13ディズ』の見せ場なのです。幸いなことに全面的な核戦争への発展はソ連側が譲歩した(とされる)ことで回避はされましたが、成り行き次第では大きな悲劇につながっていたことでしょう。しかしこの事件は意外にも両者の間に信頼が生まれたということも見過ごせない事実なのです。これを契機に両首脳の間にホットラインが設けられたことは実に有名です。両者はこの後、暗殺と政治的失脚で政治の表舞台から消えることになります。もしこの二人の信頼関係が続いていたならば…。世界の流れが大きく変わっていたことは否めませんよね。悪夢のヴェトナム戦争を含めての。そういう歴史の流れを含めて改めてみてみると、「激動の60年代」を理解する善きテキストとなる映画だと思うのです。