スリー・ビルボードの紹介:2017年イギリス,アメリカ映画。ミズーリ州の田舎町に突如、3枚の広告看板が現れる。真っ赤な背景に大きな文字で「恐怖の中レイプされて死んだ」「犯人逮捕はまだ?」「ウィロビー署長は何をしてるの?」と書かれた3枚の看板。それらは何者かによってレイプされたあげく無残に殺害されたアンジェラの母、ミルドレッドが出した広告だった。このセンセーショナルな看板で静かな街エビングはざわめきはじめる。ミルドレッドを取り巻く人々が、看板をきっかけに怒りと赦しの間に揺れていく。スリー・ビルボードは2018年の第90回アカデミー賞で、フランシス・マクドーマンドが最優秀主演女優賞、サム・ロックウェルが最優秀助演男優賞を受賞した。
監督:マーティン・マクドナー 出演:フランシス・マクドーマンド(ミルドレッド・ヘイズ)、ウディ・ハレルソン(ビル・ウィロビー)、サム・ロックウェル(ジェイソン・ディクソン)、ジョン・ホークス(チャーリー)、ピーター・ディンクレイジ(ジェームズ)、アビー・コーニッシュ(アン・ウィロビー)、ほか
映画「スリー・ビルボード」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「スリー・ビルボード」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
スリービルボードの予告編 動画
映画「スリー・ビルボード」解説
この解説記事には映画「スリー・ビルボード」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
スリービルボードのネタバレあらすじ:起
ミズーリ州の郊外エビング。ミルドレッドは、迷い込んだか変わり者しか通らないと言われる、とある道に停車し、3枚の錆びついたビルボード(広告看板)を見上げながら決意の表情を見せます。そのまま看板の広告会社へ出向き、広告を出してほしいと契約金1ヶ月分の5000ドルをオーナーのレッドの前に叩きつけました。困惑したレッドでしたが、広告内容を聞くと目の前の女性がアンジェラの母親だと分かり契約を交わします。アンジェラとは、この街でレイプされたのち無残に殺害された少女でした。ミルドレッドは、7ヶ月も警察が犯人を捕まえることができないことに苛立ち、広告看板に訴える強行に出たのです。ミルドレッドは息子のロビーを乗せ車で看板の脇の道路を通ります。真っ赤な背景に大きな文字だけの看板は「恐怖の中レイプされて死んだ」「犯人逮捕はまだ?」「ウィロビー署長は何をしてるの?」といった警察へのメッセージでした。
スリービルボードのネタバレあらすじ:承
この看板はエビングの街に大きな波紋を起こしました。名指しされたウィロビー署長は末期のすい臓がんだったため、人々は同情を寄せています。ディクソン保安官をはじめとし、エビング署の警察官たちはミルドレッドを脅し始めます。ミルドレッドの息子ロビーは学校で嫌がらせを受けるなどして、住民たちもミルドレッド一家を揺さぶり非難するのでした。ある日、ミルドレッドはレッドに呼び出され、1ヶ月目の広告費を滞納していることを告げられます。規約を確認したところ、以前払った5000ドルは前金だったと言うのです。安くない広告費、ミルドレッドが困惑していると事務所に匿名の5000ドルが届きます。ミルドレッドと同じく警察を憎んでいる者からの援助でした。それにより広告を継続させることはできたものの、警察の睨みも増します。屈しないミルドレッドに対し、躍起になったディクソン保安官は母親からの入れ知恵で、ミルドレッドの友人デニスをマリファナ所持の罪で逮捕しました。離婚した元夫で、今は10代の若い女と暮らしているチャーリーまでもがミルドレッドを責めます。
スリービルボードのネタバレあらすじ:転
ある日、ウィロビー署長は家族で束の間の休日を楽しみました。お酒を飲みすぎた妻と子供を寝かしつけると、ひとりで馬小屋へ行き、そのまま銃で自殺。妻へ残した手紙には”最期を辛く悲しい思い出で終わらせたくない”とガンの自らの死期を悟って自殺したことが書かれていました。上司の死を知ったディクソン保安官は怒りに震え、レッドの事務所へ乗り込み殴る蹴るの暴行をした後、そのまま2階の窓から突き落としレッドに大怪我を負わせてしまいます。これを見ていた、新しく赴任した署長によりディクソン保安官は解雇されます。そしてディクソンはますますミルドレッドを憎むこととなります。ある日ディクソンはミルドレッドが働く土産物屋を訪れます。彼女を力で制しようとしたとき、ウィロビー署長の妻アンの来訪で助かります。アンはウィロビー署長からミルドレッド宛ての手紙を渡すために来たのです。ミルドレッドへの手紙には、アンジェラをレイプした犯人を見つけ出すことができなかったことへの謝罪と、”広告看板は名案だった。その思いを絶やさないために広告費を秘密裏に1ヶ月分支払った”と書かれていました。しかし、それに反して世間のミルドレッドへの嫌がらせは止まりません。ついに何者かによって看板は燃やされてしまいます。ディクソンが犯人であると思い込んだミルドレッドは、夜の無人になった警察署に火炎瓶を投げ込み放火します。ところが無人だと思っていた警察署にはディクソンがいました。大火傷を追いましたが偶然通りかかったミルドレッドの友人により救われました。また友人がミルドレッドを庇ってくれたため罪に問われることもありませんでした。ウィロビー署長はディクソンにも手紙を残していました。”刑事になる夢を叶えるために傲慢な態度を改めいい警官になってほしい”と。それを読んだディクソンは改心し、アンジェラの事件に真剣に取り組み始めます。そんな中、ディクソンがバーで飲んでいると隣の席に座った男が「女を犯した」と友人と話していたのです。ディクソンは話の内容からこの男がアンジェラ殺しの犯人と確信し、彼らの乗ってきた車のナンバープレートを確認した後、男に近寄り喧嘩をふっかけ、皮膚の一部を剥ぎ取りDNAを採取することに成功します。
スリービルボードの結末
ディクソンは迷った末、ミルドレッドに連絡し「アンジェラを殺した犯人を見つけたかもしれない」と告げます。希望を取り戻したミルドレッドでしたが、結局DNAは犯行現場のものと一致せず、さらには犯行時、男は国外にいたことが分かりました。ミルドレッドとディクソンは深く肩を落としますが、ミルドレッドは希望を持つことができたと感謝します。男はアンジェラを殺した犯人ではありませんでしたが、女性をレイプしたことには違いない。その犯人が捕まっていないことに怒りを向け、ミルドレッドとディクソンは、男の住むアイダホへと向かいます。車中、ミルドレッドはディクソンに向かって言います。「警察署を放火したのは自分だった」と。ディクソンは「君以外、他に誰がいるんだ」と笑みを浮かべ、ミルドレッドもわずかに笑顔を見せます。「男を見つけたら殺す?」と問うミルドレッドに「あまり気がすすまない」と答えるディクソン。ミルドレッドも「私も気がすすまない」と返しドライブは続くのでした。
以上、スリービルボードのあらすじと結末でした。
2018年のゴールデングローブ賞やアカデミー賞などで、数々ノミネートされ、各部門で受賞していた作品ということもあり、観ました。アメリカのミズーリ州の郊外で起こった看板からはじまる、犯人捜しのミステリー映画で、出演者の迫力ある演技や、謎めきながら、伏線と共に、物語が展開していき、最後も妙にわだかまりを残さず、受け手にイメージさせて、フェイドアウトしていくスタイルで、うまくまとめられているかんじがしました。