東京夜曲の紹介:1997年日本映画。小さな商店街を舞台に、秘めた想いが交錯する切ない大人の恋物語。家族を置いて姿を消した浜中が数年ぶりに帰って来た。妻久子は何事もなかったように浜中を迎え、元恋人たみは密かに動揺する。久子に好意を抱く青年朝倉は、彼らの過去を調べ始めるのだが。第21回モントリオール世界映画祭最優秀監督賞を始め、数々の映画賞に輝いた。
監督:市川準 出演者:長塚京三(浜中康一)、倍賞美津子(浜中久子)、桃井かおり(大沢たみ)、上川隆也(朝倉定二)、はやし・こば(浜中の父)ほか
映画「東京夜曲」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「東京夜曲」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
東京夜曲の予告編 動画
映画「東京夜曲」解説
この解説記事には映画「東京夜曲」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
東京夜曲のネタバレあらすじ:帰って来た男
舞台は日本、東京の片隅にある上宿商店街。大沢たみが切り盛りする喫茶店「喫茶大沢」は、商店街の住人達の溜まり場です。この日はある男性の噂で持切りでした。男性の名前は浜中康一。3年前に家族を置いて姿を消し、ふらりと戻って来たたみの幼馴染です。浜中は度々家を出てはしばらく経って帰って来る、という暮らしを続けていました。浜中の妻久子は、夫の奔放な暮らしぶりを全く意に介さず、今回も淡々と迎えます。作家志望の青年朝倉定二は、密かに久子に好意を寄せていることもあって、浜中をとても気にしていました。浜中の父が経営する電器屋「浜中電気」は道を挟んで喫茶大沢の向かいにあります。浜中とたみは互いに意識しながらも、目を合わせることすら避けていました。
東京夜曲のネタバレあらすじ:商店街の人間関係
久子が何故浜中と別れないのか、朝倉は心底不思議でした。そこで昔のことを知っている商店街の住人達に、密かに聞き込みを始めます。浜中が初めて家を飛び出したのは20年ほど前。ちょうどたみの夫が病死した頃だったそうです。一方の浜中は、妹に呼び出され父の借金について相談されていました。何食わぬ顔で店に出た浜中は、店の経営について考えます。後日、ついに喫茶大沢に入店した浜中。たみとは会話が弾まず、どこかぎこちない様子です。たみから話を振られても、浜中は「お前に関係あることなんか何もないよ」と呟きました。その後浜中は一大決心をして、電器屋を辞めてゲームソフト販売店を開きます。浜中の読みは的中し、店は大繁盛するようになりました。
東京夜曲のネタバレあらすじ:思いがけない過去
たみは大沢の母親や妹から、再婚を勧められていました。大沢が亡くなって20年。両親も岡山県に数年前移住し、たみは1人でこの商店街に残っていました。聞き込みを続ける朝倉は、意外な事実を知らされます。昔、浜中とたみは恋人同士だったのです。互いの両親も認める仲で、いずれ結婚するのだろうと誰もが思っていました。しかし浜中がはっきりしない内に、大沢がたみに求婚。大沢のことをずっと好いている女性もいたらしいのですが、彼はたみを選びました。はじめは断っていたたみも、どんどん窶れていく大沢を見て結婚を承諾。それは同情や憐れみだったのかも知れません。浜中はそういう2人の気持ちが理解出来た分、辛さに耐えかねて家を飛び出したようでした。
東京夜曲のネタバレあらすじ:久子の真意
しばらくして、浜中のゲーム販売店に勤める青年と、喫茶大沢の従業員が結婚することになりました。祝賀パーティが喫茶大沢で催され、住人の多くが集まります。浜中の隣に座るたみの姿を、朝倉はじっと見つめていました。朝倉は店を出た久子と夜の道を歩きながら、何故たみは大沢と結婚したのだろうと疑問を口にします。2人の結婚のショックを未だ引きずっているために、浜中は勝手な暮らしをしているのではないかと考えたのです。しかし久子は全く気にしておらず、それどころか自分も悪いと思っているくらいだと話しました。自分も浜中も、勝手に暮らし過ぎた気がすると語る久子。朝倉は恐る恐る、かつて大沢に恋をしていた女性というのは、久子なのではないかと尋ねました。久子は明言しませんでしたが、その苛立ったような強い口調に、朝倉は自分の淡い恋を諦めます。
東京夜曲の結末:たみの決意
浜中は喫茶大沢に残り、たみと静かにテレビを見ていました。そろそろ帰るとドアを開ける浜中に、たみは「お茶漬け食べていかない?」と声をかけます。これまで感情を抑えてきたたみの言葉に、浜中は応じて肌を重ねました。その後、日常に戻った上宿商店街。しかし喫茶大沢にたみの姿はありません。彼女は両親のいる岡山に引っ越したのです。朝倉も本の出版を機に商店街を出て行くことにしました。久子に本を渡し、別れを告げて歩き出します。浜中が店から家に戻ると、ちょうど宅急便でたみから桃が届きました。浜中は久子に「今度岡山行こうか。たみんとこ」と言います。その言葉と共に、この映画も終わりを迎えます。
以上、映画東京夜曲のあらすじと結末でした。
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