トールキン 旅のはじまりの紹介:2019年アメリカ映画。ファンタジー小説の傑作『ホビットの冒険』や、ロード・オブ・ザ・リングの原作『指輪物語』を生み出した作家J・R・R・トールキンの波乱と激動の青年時代の物語。母の急死で12歳にして無一文の孤児となり、母の友人モーガン神父を後見人として名門キング・エドワード校に入学した。孤立していたトールキンはそこではじめて心を許せる3人の野心溢れる少年たちと出会う。4人は<ティー・クラブ・バロヴィアン・ソサエティ>、通称<T.C.B.S.>という秘密クラブを結成し「芸術の力で世界を変えよう」というスローガンのもと誓いを交わし合った。生涯を共にしたいと思える恋人エディスや、人生の恩師ライト教授との出会いによりさらにトールキンの将来は約束されたものとなるはずだったが、第一次世界大戦が勃発。その戦いにより仲間との絆を奪われることとなる。監督はフィンランドのアカデミー賞で38回ものノミネートを誇り、監督賞を2度獲得した注目の才能ドメ・カルコスキ。
監督:ドメ・カルコスキ 出演:ニコラス・ホルト(トールキン)、リリー・コリンズ(エディス)、コルム・ミーニイ(フランシス・モーガン神父)、デレク・ジャコビ(ライト教授)、アンソニー・ボイル(ジェフリー・スミス)、パトリック・ギブソン(ロバート・ギルソン)、トム・グリン=カーニー(クリストファー・ワイズマン)、ハリー・ギルビー(トールキンの少年時代)、アダム・ブレイグマン(ジェフリーの少年時代)、アルビー・マーバー(ロバートの少年時代)、タイ・テナント(クリストファーの少年時代)ほか
映画「トールキン 旅のはじまり」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「トールキン 旅のはじまり」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
トールキン 旅のはじまりの予告編 動画
映画「トールキン 旅のはじまり」解説
この解説記事には映画「トールキン 旅のはじまり」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
トールキン 旅のはじまりのネタバレあらすじ:起
1916年、第一次世界大戦。耳をつんざくような爆音と激しい銃弾の中、高熱に見舞われながらも塹壕をふらふらと彷徨っているジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン。 部下が止めようとしても「友人を探す」と言って聞く耳を持ちません。瀕死の状態で這うように歩きながら死体の山まで来ると、ついに動けなくなったトールキンは、横たわり過去に想いをはせます。
幼いころに父を亡くしたトールキンは、母と弟のヒラリーと3人で、セアホール・ミルという美しい自然に囲まれた町に暮らしていました。生活は決して楽ではありませんでしたが、母は息子たちに想像力や心を豊かにする術をいつも教えてくれました。しかし、その母も病に倒れ急死。トールキンは12歳にして孤児となってしまいました。
トールキン 旅のはじまりのネタバレあらすじ:承
母が生前親しくしていた友人フランシス・モーガン神父が後見人となり、彼の計らいでトールキンはフォークナー夫人宅に下宿しながら、キング・エドワード校に通わせてもらえることになりました。しかしバーミンガムの上流家庭の子息が通うこの学校に奨学金で通い、孤児でもあるトールキンはひとり孤立してしまいます。
そんな中、些細なきっかけで、のちにかけがえのない絆で結ばれることとなる3人の少年と出会います。厳格な校長の息子で画家志望のロバート、劇作家を目指し詩作の才能を持ったジェフリー、そしてすでにクラシック音楽の作曲家として1曲出版しているクリストファーです。
意気投合した4人は、社交場バロウ・ティールームに毎日のように通い、お茶を飲みながらあらゆることを議論していました。彼らはこの集まりを秘密クラブ<ティー・クラブ・バロヴィアン・ソサエティ>、略して<T.C.B.S.>と名付け、「芸術の力で世界を変える」をスローガンにさらに絆を固めました。
トールキン 旅のはじまりのネタバレあらすじ:転
トールキンは、さらにもう一つの素晴らしい出会いがありました。それは自分と同じフォークナー夫人の家に下宿しながら、ピアニストを目指し勉強していたエディスです。孤児という共通の境遇、互いにいたずらや物語が好きということもあり、すぐに惹かれ合い、愛を深めていきました。
やがてT.C.B.S.のメンバーたちに大学受験の時期がやってきます。ジェフリーとトールキンはオックスフォード大学を、ロバートとクリストファーはケンブリッジ大学を目指します。ところが、トールキンだけ入試に失敗してしまいます。再試験で必ず合格するとモーガン神父に約束しますが、代わりに「後見が終わる21歳までエディスとの交際を禁じる」と言い渡されてしまいました。
トールキンはエディスに「何があっても2人の将来をあきらめない」と誓いますが、エディスは「あなたはきっと忘れる」と言い残し、冷ややかに去っていきました。
トールキン 旅のはじまりの結末
無事にオックスフォード大学に合格したトールキンでしたが、奨学金打ち切りの通告で大学を辞めそうになったり、エディスからの婚約の知らせが届いたりと、波乱の日々を送っていました。しかしどんなに困難な出来事に苦しめられても、トールキンにはいつもT.C.B.S.の仲間たちがいました。彼らが常に気にかけ、支えてくれていたのです。
そんなある日、トールキンは言語学のライト教授に声を掛けられます。教授はトールキンの可能性を見出し、またトールキンも強力な理解者を得たことに希望を感じていました。
その中をひとつのニュースが駆け巡ります。
英国が第一次世界大戦に参戦することとなりました。T.C.B.S.のメンバーたちもこれに志願。出兵前のパーティでは、それぞれの軍服に身を包んだ姿で4人そろって記念写真。その後、4人はばらばらに戦地へと送られました。
銃撃戦が展開される中、死体の山に横たわったトールキンが、はっと我に返り歩き出します。飛び交う銃弾の間を、声を振り絞るようにして「ジェフリー!」と叫ぶトールキン。わずかに「ロナルド!」と言い返す声が聞こえたような気がしましたが、幻聴か現実かも定かではありません。
トールキンは病室のベッドで目を覚ましました。瀕死の状態から生き返ったのです。そこにはエディスの姿がありました。エディスは涙ながらに抱きしめ、トールキンの無事を喜びました。しかし、残念ながらジェフリーとロバートは戦によって命を落としてしまいました。
時は経ち、トールキンとエディスは結婚。4人の子供をもうけました。トールキンはオックスフォード大学の教授として働くかたわら、自身でも執筆を続けます。
ある日、トールキンは家族を集めて作品について話します。
”それは魔法も、宝物も、愛も、すべての物語。自らを証明する旅。勇気について、そして何より書きたいのは仲間についての物語”、と。
こうしてできた『指輪物語(The Lord of the Rings)』をはじめとする数々の作品は、今なおポップカルチャーへ影響を与え続けています。
1971年、エディス82歳で死去。その2年後の1973年、後を追うようにしてトールキンも死去。81歳でした。
以上、映画「トールキン 旅のはじまり」のあらすじと結末でした。
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