トランシルヴァニアの紹介:2006年フランス映画。愛を失ったジンガリナは放浪の男の車に乗りあてのない道を行く。ロマの音楽に彩られながら、彼女が新し命と共に再生してゆく姿を描く。
監督:トニー・ガトリフ 出演:アーシア・アルジェント(ジンガリナ)、アミラ・カサール(マリー)、ビロル・ユーネル(チャンガロ)、アレクサンドラ・ボージャール(ルミニツァ)、マルコ・カストルディ(ミラン)、ほか
映画「トランシルヴァニア」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「トランシルヴァニア」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「トランシルヴァニア」解説
この解説記事には映画「トランシルヴァニア」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
トランシルヴァニアのネタバレあらすじ:恋人を探して見知らぬ土地へ
フランスから友人のマリーと恋人のミランを探し、彼の故郷のトランシルヴァニアへやって来たジンガリナ。ひと気のない村で、彼の家を知っていると言う老人に会ったが引っ越した後だった。通訳の女性を連れた二人は、ロマの楽師の出入りする酒場でミュージシャンでもあった彼の手がかりを探そうとした。するとそこで、共演したことのあるバイオリン弾きに出会った。その酒場の隅でジンガリナはロマの占い師に、彼には必ず会えるだろうと予言された。ジンガリナはミランの子供を妊娠していて、ミランが国外追放されたのは、結婚のために国籍を変えようとした矢先のことだった。 その酒場でジンガリナは、同じ放浪の男にナンパされ、なぜここに来たのかと聞かれた。愛のためだと答える彼女に、男は自分は金のためだと話して笑った。しかし、後日カフェでピアノを弾くミランを見つけたジンガリナは、ミランがジンガリナから逃げるためにフランスから去ったのだと知った。
トランシルヴァニアのネタバレあらすじ:失意のジンガリナはあてどなく
絶望したジンガリナをよそに、町は祭りの様相で仮面をかぶった者が練り歩き、ミランは楽隊の輿に乗り、踊る人々がその後に続いた。町の喧騒に彼女は道の隅でうずくまった。同行していたマリーは彼女を見つけると、通訳にお金を渡し旅を終えようとした。しかし、その晩ジンガリナは酒場の音楽二踊りながら皿を割った。泥酔した彼女は宿で幸せになりたいとマリーに打ち明けた。 フランスに帰ろうとするマリー、この土地に心を惹かれるとジンガリナは、マリーが弟に飛行機のチケットを頼む電話をかけている間に、「ありがとう、マリー」という書置きを残して、物乞いの子供について車から去った。やがて、子供と歩いていると、酒場で出会った男とすれ違った。愛を探しにこの地へやって来たのに子供と歩く彼女を男は笑ったが自分の乗る車に乗せてくれた。寄った市場で物乞いの子供がいなくなると、二人きりになり、情緒不安定なジンガリナは車から飛び出し森の中に迷い出た。そのたびに男は彼女に「命を粗末にするな」と叱った。
トランシルヴァニアのネタバレあらすじ:放浪の始まり
不安定なジンガリナを面倒だと思った男、チャンガロが知り合いに相談すると村の司祭なら治してくれると教えてくれた。しかし行われたのは悪魔祓いの儀式で、彼は司祭をペテン師と罵るり放浪する自分の車にジンガリナを乗せた。何も知らない彼はジンガリナになぜこの土地に来たのかと尋ねても、彼女は勝手に想像してと言うばかりで、自分の事を話そうとはしなかった。 放浪しながら村で買い取った金と銀を運び屋に私に行くと、連れている女に寝首を描かれると忠告されたが彼はそのまま彼女を連れ放浪を続けた。途中、自転車を押す老人とすれ違うと、ジンガリナは老人を車に乗せようと言い出した。しかし、自転車が車の荷台には入らなかったので、自転車をジンガリナが漕ぎ、老人を車に乗せた。途中、チャンガロの持つ枕をサンドバックにするジンガリナを見て、老人は75歳になって、男のように戦う女を初めて見たと驚愕した。
トランシルヴァニアの結末:見知らぬ土地で誕生した新しい命
季節は冬になり、ジンガリナは臨月も間近だった。ある日、車は深い雪にはまってしまった、しかしチャンガロは人を呼び雪原を走り、通りかかったソリの老人に、医者をと泣きついた。同じ頃、一人車の中で陣痛に耐えるジンガリナはマリーの幻影を見た。チャンガロの読んできた老人は何もできず、ただ祈りをささげた。やがて村から老婆たちが助けに来てくれるが言葉の通じない彼女たちが魔女にしか見えなかったジンガリナは臍の緒を切るために取り出されたナイフに恐怖した。無事に出産し、村に身を寄せたジンガリナを残し、チャンガロは楽師を自分のために弾いてくれと頼んだ。そして音楽を聴きながらジンガリナのスカーフをかぶり、瓶で自分の頭を殴った。すると楽師たちは音楽は苦しむためでなく生きるための力だと怒り帰ってしまった。仕方なく酒場で飲むチャンガロは、飾ってあったクマのねじまき人形を買った。それを見ていると、ジンガリナはロマの人々と一緒に去ってしまう幻が過ぎり、急いで帰ると、ベッドで子供とジンガリナが微笑んでいた。
以上、映画トランシルヴァニアのあらすじと結末でした。
トランシルヴァニアのレビュー・感想:生の源としての音楽
作中、音楽はほぼ絶えることがない。酒場はもちろん、車の中でもジンガリナが歌う。共通して言えるのが、それらが愛や、人に根差した音楽である事。自暴自棄になったチャンガロに楽師たちが活を入れる時の言葉が、この作品の中での音楽の立ち位置を端的に表しているように思う。始まりこそジンガリナの破局と絶望だけれど、終わりは新たな生とチェンガロとジンガリナの絆の芽生えなのだから。
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