ターンの紹介:2000年日本映画。北村薫の同名小説を映画化。同じ1日を繰り返し続ける女性と、彼女を救おうと奔走する男性の心の交流を描くドラマ&ファンタジー。銅版画家の真希は、6月16日に交通事故に遭ってしまう。ところが次の瞬間、気付くと真希は自宅に戻っていた。手には昨日図書館に返却したはずの本があり、昨日投函したはずのハガキも残っている。外に出てみると生き物の姿はなく、町はひっそりと静まり返っていた。「昨日」に引き戻された真希は、1日経って事故の時刻になると再び「昨日」の世界に戻ってしまう。自分以外誰も存在しない世界で、同じ1日を繰り返し続ける真希。そんな彼女のもとに、突然1本の電話がかかって来る。
監督:平山秀幸 出演者:牧瀬里穂(森真希)、中村勘太郎(泉洋平)、倍賞美津子(森里子)、北村一輝(柿崎清隆)、柄本明(松原)ほか
映画「ターン」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ターン」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「ターン」解説
この解説記事には映画「ターン」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ターンのネタバレあらすじ:「昨日」の世界
舞台は現代日本、東京。銅版画家の森真希は、自宅で作業に没頭していました。「時」と名付けた作品を画廊で委託販売させて貰えることになり、一緒に暮らしている小学校教諭の母里子と喜び合います。
6月15日、14時15分。椅子で居眠りしていた真希が目を覚まします。胸の上には図書館で借りた本がありました。真希は本とハガキを持って、自転車で出かけます。ハガキを投函した後、図書館で本を返却しました。
翌日、真希は美術教室へ向かうため車を発進させます。そして14時15分、センターラインを越えて来たトラックと衝突してしまいました。真っ白になる真希の視界。気付くと真希は自宅の椅子の上にいました。胸の上には昨日返却したはずの本があり、ハガキも残っています。
時計は14時15分を指していました。戸惑いつつ外へ出てみると、町は異様に静まり返っています。世界から真希以外の生き物が忽然と姿を消していました。テレビは砂嵐ばかりで、電話も通じません。夜まで待ったものの、やはり里子も帰宅しませんでした。
翌日、2度目の6月16日。相変わらず無人の世界に落胆しつつ、真希は里子が勤める小学校へ向かいます。そこにも人の姿はありませんでした。足を滑らせて階段から落ちた真希は、足を骨折してしまいます。
時刻は14時15分。すると真希はまた自宅の椅子の上に戻っていました。時計は14時15分を指しています。返却したはずの本、投函したはずのハガキも手元にありました。骨折も治っているようです。動揺しつつ、真希は状況を整理し始めました。真希は事故に遭った瞬間から、1日前の同じ時間に引き戻されているようです。
そして1日経過し、事故の時間になると、また1日前に戻っています。理由は分かりませんが、真希は同じ1日を繰り返し続ける世界に、たった1人で閉じ込められてしまったのです。
ターンのネタバレあらすじ:一筋の光
奇妙な世界に閉じ込められた真希は、それでも前向きに生きていました。しかし半年も経つと心が限界を迎え、ついに泣き出してしまいます。すると突然、自宅電話の呼び出し音が鳴り響きました。驚いた真希は電話に飛びつき、受話器を耳に当てます。
電話をかけて来たのは、泉洋平と名乗る男性でした。彼は自分がデザインした本の装丁に真希の「時」を使いたいと思い、画廊に頼んで連絡先を入手していたのです。真希が必死に今何月かと尋ねると、洋平は戸惑いつつ12月だと答えました。現実世界で生きる洋平と、繰り返す世界で生きる真希が1本の電話で繋がったのです。
真希は、自分は神隠しに遭ったらしくまだ6月を生きているのだと伝えました。洋平は質の悪い冗談だと思い電話を切ろうとします。しかし真希の懇願により、そのまま電話を切らないでいてくれることになりました。そして毎日20時に電話で話そうと約束します。
半信半疑の洋平は真希の自宅を訪ね、隣人から真希が6月に事故に遭ったこと、それ以来昏睡状態で入院していることを聞かされました。神隠しに遭ったという真希の言葉を信じた洋平は、20時の電話で真希が昏睡状態にあることを伝えます。真希は現実世界にも自分がいることに驚き、今繰り返しの世界を生きている自分は何なのかと動揺しました。
洋平は真希から得た情報を頼りに、職場の里子を訪ねます。そして真希と電話で繋がっていることを話しました。半信半疑の里子を連れて帰宅した洋平は、20時に受話器を里子に渡します。しかし里子の声は真希に届かず、真希の声も里子には聞こえませんでした。
どうやら会話出来るのは真希と洋平だけのようです。洋平が真希から聞いた情報を里子に話して聞かせると、里子も洋平を信じるようになりました。
ターンのネタバレあらすじ:デート
真希と洋平は会話を重ね、少しずつ惹かれ合っていきます。洋平は6月に友人と小さな展覧会を開いたことを教えました。
翌日、展覧会に足を運んだ真希は、仰木芭蕉の絵に感銘を受けます。そこで2人は同じ時刻に植物園へ行き、仰木芭蕉の前で待ち合わせすることにしました。互いに話しかけますが、存在を認識することは出来ません。
夜、2人は同じレストランの同じテーブルで食事をしました。雪に気付いた洋平が、姿も見えない真希に話しかけます。その声は真希に届きませんでしたが、不思議と思いは伝わりました。真希が「雪が降ってるのね」と呟くと、真希の世界でも本当に雪が降り始めます。真希はそれを微笑んで眺めました。
それがきっかけになったのか、病院で眠り続ける真希の体に変化が表れます。初めて刺激テストに反応するようになったのです。里子からそれを聞かされた洋平は、回復の兆しだと喜び真希にも報告しました。しかし真希自身は特に何の変化も感じておらず、不安を感じるようになります。
ターンのネタバレあらすじ:もう1人の囚われ人
そんなある日、真希は走り去る車を目撃します。どうやら真希以外にも、この世界に存在している人がいるようです。
翌日、真希は風船を大量に飛ばしてその人物が気付いてくれるのを待ちました。車で現れたのは柿崎清隆と名乗る男性で、真希と同じ6月16日の14時20分頃交通事故に遭ったそうです。真希は自分以外の人間の存在に喜び、自分のことを色々と柿崎に話しました。現実世界で昏睡状態にある体のことも、電話で繋がっている洋平のことも。
しかし柿崎は現実に興味が無いらしく、明日もまた同じ時間に同じ場所で会おうと約束しただけでした。真希から電話で柿崎のことを聞いた洋平は、彼について少し調べてみることにします。すると驚いたことに、柿崎は少女誘拐事件の容疑者として新聞に載っていました。
洋平は急いで真希に柿崎の正体を伝えようとしますが、そこに上司の松原が現れます。松原は洋平の手から離れた受話器を手に取り、通話を切ってしまいました。洋平は慌てて受話器を耳に当てますが真希の声は聞こえず、唯一の繋がりが絶たれてしまいます。
真希も突然電話が切れたことに焦り、何度も洋平を呼びましたが応じる声はありません。「昨日」に引き戻されても、電話は二度と繋がりませんでした。肩を落とす真希。すると家に突然柿崎が押しかけて来ます。勝手に住所を調べたらしい彼は、嫌に馴れ馴れしく真希に接しました。
真希は洋平が何か警告しようとしていたことを思い出し、柿崎を警戒するようになります。すると柿崎は本性を現し、真希に襲いかかりました。ところが突然、柿崎が頭を抱えて苦しみ出します。彼は悶え苦しみ、やがて消えてしまいました。真希は現実世界の柿崎が死亡したのだと理解します。
ターンの結末:目覚め
再びたった1人世界に取り残されてしまった真希。不安に震える彼女の耳に、里子の声が届きました。里子は洋平と一緒に、病室で眠る真希に語りかけています。その声が、「昨日」の世界にいる真希にも届いたのでした。
里子の声に励まされた真希は、仰木芭蕉の版画を作り始めます。徹夜で作品を仕上げた真希は、自転車で病院へ向かいました。道路には落ち葉が舞い、やたらに冷たい風が吹いています。天気もいつもと違いどんより曇っていました。真希は不思議に思いながらも、現実世界で自分が眠っているはずの病室へ向かいます。
その途中、彼女の目に思いがけない光景が飛び込んで来ました。眠る真希を車椅子に乗せて移動している里子と洋平の姿です。真希を風に当たらせるため外に出たようでした。真希は呆然としながら後をついて行きます。空から雪が降って来ました。真希は微笑み、里子達に近付いていきます。
そして風が強く吹いた次の瞬間、眠っていた真希が目を覚ましました。膝の上には、仰木芭蕉の版画が乗せられています。真希が里子や洋平に「ただいま」と微笑み、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「ターン」のあらすじと結末でした。
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