ロパートキナ 孤高の白鳥の紹介:2015年フランス映画。踊る舞台そのどれもで感動を与えるロパートキナ。本人そして各所で行ったインタビューから、その魅力を考える。200年以上の歴史を持ち、世界最高峰のバレエ団として名高いロシアのマリインスキー・バレエ。そこでプリンシパルを務めるウリヤーナ・ロパートキナの素顔迫るドキュメンタリー映画。日本での公開は2016年、ロパートキナの引退宣言は2017年です。
監督:マレーネ・イヨネスコ 出演者:ウリヤーナ・ロパートキナ、アニエス・ルテステュ、ジャン=ギヨーム・バール、ピエール・ラコット、ほか
映画「ロパートキナ 孤高の白鳥」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ロパートキナ 孤高の白鳥」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ロパートキナ 孤高の白鳥の予告編 動画
映画「ロパートキナ 孤高の白鳥」解説
この解説記事には映画「ロパートキナ 孤高の白鳥」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ロパートキナ孤高の白鳥のネタバレあらすじ:起・ロシア屈指のバレリーナ
ウリヤーナ・ロパートキナがペテルブルクに移り住みバレエ学校に通い始めた少女時代、自分がバレリーナになるとは思いもしなかったと、本人は語る。
パリ・オペラ座の元エトワール、アニエス・ルスティテュは、ロパートキナについて、深みがあって知的で考え抜かれた踊りをし、自分のポリシーをいつも貫いていて、踊る役柄も自己満足で選ばず、キャリアに箔のつく役を選ぶ事ことも無い。自分の個性と資質に合う役を選び、誰にも迎合せず流行に左右されない、目立ちたがらず、スタンドプレイもしない、自分の芸術と才能で観客を楽しませると賞賛する。
モンブラン国際文化賞を授与された、エルミタージュ美術館館長、ミハイル・ピオトロフスキーは、彼女を国とこの街と世界の誇り、ペテルブルクが培ってきたバレエの精神を体現する現代のバレリーナ。現代性も取り入れ新しくすることでクラシックの伝統を守り続けている。偉大な振付家たちが名作バレエを創造してきたエルミタージュ美術館の舞台は彼女には小さいかも知れないが、舞台が小さくて優雅に踊る。今回の受賞はロパートキナのおかげだと感謝を述べた。
ロパートキナ孤高の白鳥のネタバレあらすじ:承・伝統を背負う
通っていたワガノワ・バレエ・アカデミーを訪れ、歴代プリンシパルの写真や資料を前にした彼女は、マリインスキーのソリストになった時、偉大な先輩たちが踊ってきたその重圧が肩にのしかかるのからは逃れられないと感じたと振り返る。パヴロワ、ニジンスキー、ヌレエフ、輩出した偉大なダンサーは今でもバレエの歴に名を残している。
ワガノワでバレエを学ぶのは苦難の連続、一年目から与えられた課題をやり遂げ、その課題をこなすと、また新しい課題、常に登るべき山がある。最後の試験を受けた部屋では当時のストレスを思い出し、稽古場で昔を懐かしんだ。
現在、彼女のコーチとの出会いは、マリインスキー時代。バトンを渡しバレリーナ人生を終えバレエ学校を設立すると、コーチのもとに出産を終えたロパートキナが生徒としてやって来た。身体に大きな変化をもたらす出産を経てもなお第一線に復帰できたのはその思慮深さだと指摘する。ロパートキナはバレリーナであり、娘のマーシャの母親でもある。
ロパートキナ孤高の白鳥のネタバレあらすじ:転・他国での評価
フランスの振付家、ピエール・ラコットは、ひとつの役を演じたかと思うとまったく別役に変身する無限の能力の持ち主であり、知性の賜物、偉大なアーティストの証だと讃美を贈る。
パリ・オペラ座、バレエ教師、ジャン=ギョーム・バールは20年前、クレムリン大会宮殿の『瀕死の白鳥』に魅了され、感情表現に圧倒された。機械的な動き最近の流行だけれど、これ見よがしにな名人芸に走らず、その風潮に抵抗し感情のこもった踊りで感動を呼ぶ。パリ・オペラ座で彼女が客演を務めた時、リハーサルでは要求レベルが高く、細かい点をすべて洗い出し、話し合った。ロパートキナのクラスレッスンを見ると情感豊かで機械的な動きは一つもない。心と音楽と魂が混然一体となり、それぞれの動きに誠意が滲み出ている。
ロパートキナ孤高の白鳥の結末:キャリアを重ねた今
ロシア正教会で祈るロパートキナ。
踊る作品によって自分を豊かにすると考えているロパートキナは、プーキシン原作のオネーギンを踊ってみたいと言う。今まで立ちはだかって来たこんなを乗り越えてきたことに、彼女自身が驚いている。体形を保ち、熱心に学び、ひたすら努力し練習し探求し、成功しても油断は禁物だと手を抜かなかった。高いレベルに達してしまうと、一休みしたいという気持ちから後退しがちになる、自分にとって発見だったのは、そこからさらに努力が必要だという事、成功を手に入れても忘れるべき。大事なのは、たとえ最高レベルに達しても次へ進む事。成功は一つのステップに過ぎず、栄光を忘れ、自分の名前に称号がついても、何も知らない学校で学ぶ子供に立ち戻るべき。
踊り続けて年齢を重ねた今、『愛の伝説』でなぜ女王は苦悩の人生を生きるのかという問題が解明できた。女王は美貌よりも真の愛を選んだ。愛は所有を求めると考えがちだけど、まさに愛とは何かという問題を改めて考えた。
マリインスキーで自分が踊っている事は今でも信じられない。舞台の後、自分の人生ががはマリインスキーのバレリーナ運命に導かれたものだと思う。マリインスキーの伝説的な作品で主役を踊るチャンスに恵まれている。すべて神さまのおかげとインタビューの最後に微笑んだ。
以上、映画「ロパートキナ 孤高の白鳥」のあらすじと結末でした。
ロパートキナ孤高の白鳥のレビュー・考察:現状に甘んじない
印象深い舞台映像や、華々しく彼女を語る周囲の人々とは逆に、全編を通し、コーチや寡黙なロパートキナからは謙虚さが伝わってくる。常に学ぶという姿勢を忘れない彼女だったからこそ長く第一線に立ちロシアのバレエにコンテンポラリーの新しい風をもたらすこともできたのだと思う。教会の場面が出てくるが、彼女の踊りはどこか祈りにも似ている。
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