梅切らぬバカの紹介:2021年日本映画。自閉症の息子と暮らしている主人公の珠子が、たくましく生きていく姿を描いた作品。珠子役の加賀まりこと、チューさん役で芸人の塚地武雅が、互いに依存し合うことなく信頼し合う親子を好演しています。障害を持つ親ならではの苦労や、関係なく愛する姿が感動的です。
監督:和島香太郎 出演:加賀まりこ(山田珠子)、塚地武雅(山田忠男/チューさん)、渡辺いっけい(里村茂)、森口瑤子(里村英子)、斎藤汰鷹(里村草太)、林家正蔵[9代目](大津進)、高島礼子(今井奈津子)、ほか
映画「梅切らぬバカ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「梅切らぬバカ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
梅切らぬバカの予告編 動画
映画「梅切らぬバカ」解説
この解説記事には映画「梅切らぬバカ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
梅切らぬバカのネタバレあらすじ:起
都会にある古民家に、母・山田珠子(加賀まりこ)と息子・忠男(通称チューさん)が住んでいました。49歳のチューさんは自閉症で、珠子は髪の伸びたチューさんの髪を切ってあげています。ハサミの苦手なチューさん(塚地武雅)は、唸り声をあげて我慢していました。
ある日、隣に里村家が引っ越してきます。夫・里村茂(渡辺いっけい)と、妻・英子(森口瑤子)、小学生の息子・草太(斎藤汰鷹)の三人家族のようです。英子と草太は山田家の伸び放題となっている梅の木が邪魔で、どうにかして欲しいと思っていました。
翌朝、午前6時45分のアラームで目を覚ましたチューさん、珠子に髭を剃ってもらい、そして2人で朝食をとります。一方、里村家でも朝の準備です。家を出た茂と草太は、ゴミ出しに出てきたチューさんに出会いますが、人見知りをしたチューさんのちょっと変わった様子を見て怪訝な顔をしました。
チューさんは障害者たちが集まり軽作業をするところで働いています。
梅切らぬバカのネタバレあらすじ:承
引っ越しの挨拶に行こうと珠子の元に向かった英子。すると珠子のところに若い女性たちが行列を作っているのを目の当たりにします。どうやら珠子は有名な占い師らしく、それで若い女性たちが集まっていたのです。
英子はその列にきちんと並び、順番が回ってきた所で引っ越しの挨拶をし、梅の木が邪魔なのでどうにかしてほしいと伝えました。珠子は謝り、近いうちに剪定すると言いました。
チューさんたちをまとめている大津(林家正蔵)という男がグループホームを経営していて、そのグループホームに空きが出たと珠子に伝えました。喜ぶ珠子でしたが、今までチューさんと離れた事のない珠子にとって、誰かにチューさんをあずけることは不安でしかありませんでした。
珠子はチューさんになんとなく、離れて暮らすことを聞いてみます。チューさんはお嫁さんもらいますと結婚宣言し、珠子を笑わせました。
珠子とチューさんはグループホームの見学に行きます。たくさんの仲間がいて部屋も今より広くなります。申し分ないのですが、前の住居者が地域住民とトラブルを起こして退居していたことを知り、珠子は不安になります。
近隣住民との話し合いに参加することになった珠子。住民たちは危ないだの土地の価値が下がるなど、好き放題言ってます。一際声高に意見していたのは乗馬クラブの奈津子(高島礼子)でした。珠子はよく放馬を起こす事を引き合いに出し、奈津子を黙らせました。
梅切らぬバカのネタバレあらすじ:転
里村家の敷地にチューさんが入り込んだ事で茂が激昂します。チューさんはおどおどしながら出ていきました。後に草太が野球のボールを届けてくれたと話し、チューさんは悪い人ではないのではと思うようになります。
草太は転校してきてからまだ馴染めず、寂しい思いをしていました。ボールのお礼にと山田家に行った草太は、珠子やチューさんと仲良くなります。
梅の木の剪定の日になると、チューさんは仕事を休み剪定を見学することにしました。チューさんが奇声を上げて中断ばかりしている様子を、通りがかりに見ていた英子は「日が暮れちゃうね」と声をかけました。その後、珠子から、この梅の木はチューさんにとっていなくなった父親の形見みたいなものなんだ、と梅の木を切らない理由を知ります。
チューさんはグループホームに行き、珠子は一人暮らしになりました。草太は時々珠子のとこに寄ってはゴミ捨てなどの手伝いをしています。ある日、草太はグループホームで揉め事を起こしてホームを抜け出してジュースを飲んでいるチューさんを見つけます。
草太は馬好きなチューさんのために乗馬クラブを一緒に見に行くことにしました。しかし勝手に忍び込んだことが見つかってしまいました。草太は逃げ出しますがチューさんはその場で怖くて動けなくなってしまいます。
梅切らぬバカの結末
この事で、触っていたポニーが逃げ出して自治会長の北村とぶつかり、怪我をしてしまいます。騒動は大きくなってしまいました。これが署名運動に繋がり、チューさんはグループホームを退居せざるを得なくなります。
草太は逃げ出したことに罪悪感を感じ、茂と英子に打ち明けました。全てを聞いた茂は草太に「黙っておけ」と伝えます。しかし、そうは言ったもののどこか後ろめたさのあった茂は、珠子の元に謝りに向かうと「来たわね」と珠子は笑いました。
珠子の家ではチューさんが戻ってきたお祝いをしていたのです。草太と英子も来ていました。そこに茂も加わります。ビールを飲み、茂はすっかり酔っ払ってしまいました。酔った茂は帰り際「ここにグループホームを建てればいい」と発言します。
翌朝、またいつものようにチューさんのいる日常が始まりました。茂と顔を合わせた珠子は「本当に建てるわよ」と笑いますが、茂は酔っていたからか何も覚えていないようです。チューさんは大好きな馬を見てから仕事へと向かいます。珠子はチューさんを見送り、庭の梅の木を眺めました。
以上、映画「梅切らぬバカ」のあらすじと結末でした。
「梅切らぬバカ」感想・レビュー
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忠さんにとって梅の木は見守ってくれる父親のような存在であり、「パチン」と切ってしまう音以上に、梅を切られることが不安や恐怖だったのかもしれません。
グループホームを退去し、家に帰る道すがら話しかける母に対して「かまいません」と答える忠さんに母親は驚きます。忠さんからかつて聞いたことのない言葉だったのでしょう。廃品回収のトラックの音声を真似たものだと判りますが、母の知らぬところで彼はまだゆっくりと成長しているのだと思わせるシーンでした。馬を見て大きな声をあげなくなったように。
希望の見えるラストで良かった。
ほのぼのとした親子愛。対してグループホームと地域住民とのトラブル。でもお隣さん同志が仲良くなって良かった。
70才こしたら、自分の事でもいっぱいなのに50才の息子と又暮らせるのを喜んでる母。何歳になっても母なんですよね。
次に別のグループホームに入る時、梅の木剪定しないとね。
確かに歩行の邪魔です。