舞踏会の手帖の紹介:1937年フランス映画。20年前、当時16歳で社交界デビューした主人公の女性。今や未亡人となった主人公が当時の手帖に記された、かつてダンスを共にした相手たちを訪ね歩く旅に出る姿を描いたヒューマンドラマです。ヴェネツィア国際映画祭で外国映画大賞を受賞しています。
監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ 出演者:マリー・ベル(クリスティーヌ)、モーリス・ベナール(ブレモン)、フランソワーズ・ロゼー(マルグリット・オディエ)、ルイ・ジューヴェ(ピエール・ヴェルディエ)、アリ・ボール(アラン・レニョー)、ピエール・リシャール=ウィルム(エリック・イルヴァン)、レイミュ(フランソワ・パチュセ)、ピエール・ブランシャール(ティエリー・レナル)、フェルナンデル(ファビアン・クティソル)、ロベール・リナン(ジャック)ほか
映画「舞踏会の手帖」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「舞踏会の手帖」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
舞踏会の手帖の予告編 動画
映画「舞踏会の手帖」解説
この解説記事には映画「舞踏会の手帖」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
舞踏会の手帖のネタバレあらすじ:起
晩秋のイタリア、コモ湖畔に立つ古城。36歳のクリスティーヌ(マリー・ベル)は、古城の主である年の離れた夫に先立たれたばかりでした。夫は非常に気が良かったのですが、あまりにも年齢が離れていたために、若いクリスティーヌは夫に愛を感じることができず、二人の間には子はいませんでした。
夫の葬儀を終えたクリスティーヌは夫の形見を全て召使いたちに分け与え、思い出の品を整理していました。その時、クリスティーヌは一冊の手帖を見つけました。それは今から20年前、彼女が16歳で社交界デビューしたあの日、舞踏会で愛の告白をしてきた10人の男たちの名が記されていたものでした。
久しく彼らと連絡を取っていなかったクリスティーヌはこの男たちが今どうしているのか気になり、夫の秘書だったブレモン(モーリス・ベナール)に頼んで男たちの住所を調べてもらいました。すると10人のうち2人が既に他界しており、クリスティーヌが恋焦がれた初恋の相手ジェラールの住所だけは分かりませんでした。
意を決したクリスティーヌは旅支度を整え、男たちの元を訪ね歩くことにしました。
舞踏会の手帖のネタバレあらすじ:承
クリスティーヌが最初に訪れたのはジョルジュ・オディエの家でした。家にはジョルジュの姿はなく、彼の母マルグリット(フランソワーズ・ロゼー)が年老いたメイドと共に住んでいました。クリスティーヌを出迎えたメイドはジョルジュは死んだと説明しましたが、マルグリットは未だに我が子の死を受け入れられない様子でした。
マルグリットはクリスティーヌをクリスティーヌの母だと勘違いしたまま一方的に話を続け、ぜひともジョルジュをクリスティーヌの“娘”と結婚させたいと願い出てきました。クリスティーヌに恋していたジョルジュは彼女が婚約したことに絶望して自ら命を絶っており、気が狂っていたマルグリットは息子が自殺するわけがないとわめき立ててクリスティーヌを追い出しました。
クリスティーヌが次に向かったのは、かつて文学少年だったピエール・ヴェルディエ(ルイ・ジューヴェ)の元でした。ピエールはその後弁護士になったものの、今は“ジョー”と名乗り、ナイトクラブを経営する一方で窃盗団を率いて犯罪に手を染めていました。それでもクリスティーヌはピエールとの思い出話に花を咲かせましたが、ピエールはナイトクラブに踏み込んできた警察に連行されていきました。
続いてクリスティーヌは、かつて有望な音楽家だったアラン・レニョー(アリ・ボール)の元を訪れました。アランは今では修道院で孤児に賛美歌を教えており、舞踏会当時の思い出話を語り始めました。あの日、アランは想いを寄せていた女性のために作った曲をピアノで演奏していましたが、当の彼女は曲に耳を傾けることなく、他の男と談笑していたというのです。この女性はまさしくクリスティーヌのことであり、彼女への想いが実らなかったアランは現在の道に進むことにしたのです。話を聞き終えたクリスティーヌにはあの時の罪悪感がよぎっていました。
クリスティーヌが向かったのは、今では都会を離れてアルプスの山岳ガイドとなっていたエリック・イルヴァン(ピエール・リシャール=ウィルム)の元でした。クリスティーヌとの再会を喜んだエリックは二人で一緒にこの山小屋で暮らそうと提案しましたが、折しも雪山では雪崩が発生、遭難事件発生を知らせる鐘の音を聞いたエリックはクリスティーヌの引き留めを振り切って雪山へと急いでいきました。エリックと一緒に暮らすのは無理だと感じたクリスティーヌは、置き手紙を残して山小屋を後にしました。
舞踏会の手帖のネタバレあらすじ:転
クリスティーヌが続いて向かったのは、かつて政治家を志望していたフランソワ・パチュセ(レイミュ)の元でした。パチュセは今やとある田舎町の町長となっており、この日はパチュセの再婚の結婚式が執り行われる予定でした。式が始まる直前、クリスティーヌはパチュセと会話する機会を得ましたが、パチュセには犯罪に手を染めているならず者の養子がおり、呼ばれてもいないのにその場に現れてはパチュセにクリスティーヌとの関係をばらすと脅して金をせびろうとしました。パチュセはたちまち養子と取っ組み合いになり、表情を硬くしたクリスティーヌはその場を立ち去りました。
クリスティーヌは次に、当時医学生だったティエリー・レナル(ピエール・ブランシャール)の家を訪れました。かつては将来有望だったティエリーも今や堕胎手術で稼ぐ闇医者に身を落としており、精神障害の発作にも悩まされていました。それでもティエリーは精一杯クリスティーヌをもてなし、クリスティーヌも力になると申し出ましたが、ティエリーには内縁の妻がおり、彼女との関係は良好とはいえないものでした。ティエリーの発作が起きたため妻はクリスティーヌを追い出しましたが、激怒したティエリーは妻を銃で射殺しました。
生まれ故郷の町に向かったクリスティーヌは、今や人気美容師になっていたファビアン・クティソル(フェルナンデル)の店を訪れました。ファビアンは結婚して娘がおり、娘に初恋の女性の名“クリスティーヌ”と名付けていました。ファビアンはもしクリスティーヌと結婚していたらきっと苦労させていただろうと胸の内を明かし、思い出話に花を咲かせました。その後、ファビアンはクリスティーヌを、20年前にあの舞踏会が開かれた場所で開かれる舞踏会に誘いました。
ところが、あの頃のように胸をときめかせて会場に入ったクリスティーヌの目に映ったのは、華やかだった当時とは比較にならないほどに寂しい光景でした。思い出との落差に落胆するクリスティーヌは会場にいた16歳の少女に声をかけました。少女は20年前のクリスティーヌと同様に初めての舞踏会に目を輝かせていました。
舞踏会の手帖の結末
旅を終え、コモ湖の古城に戻ったクリスティーヌは友人に今回の旅は虚しい旅だったと振り返りました。友人は実は一生懸命になってジェラールの居場所を探し当てており、そこはクリスティーヌの古城から湖を挟んで真向かいの場所でした。クリスティーヌは再び失望することを恐れながらむ、勇気を振り絞ってジェラールの屋敷へと向かいました。
ジェラールはこの1週間前に他界しており、クリスティーヌが着いた頃には既にジェラールの葬儀は終わっていたところでした。屋敷にはジェラールの息子ジャック(ロベール・リナン)がおり、屋敷を売り払って明日から宿無しだと言うのでクリスティーヌはジャックを養子として迎え入れることにしました。
それから程なくして、クリスティーヌはジャックを舞踏会に連れ出しました。ジェラールは生前ジャックと一緒に舞踏会に参加することを夢見ており、ジャックにとってはこれが初めての舞踏会でした。クリスティーヌは緊張するジャックに「最初の煙草みたいなものよ」と励まして送り出しました。
以上、映画「舞踏会の手帖」のあらすじと結末でした。
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