ヴァイブレータの紹介:2003年日本映画。赤坂真理による芥川賞候補作の映画化。心に問題を抱える女が、コンビニで出会った若いトラック運転手の道づれとなり、癒されていく。旺盛な活動を続けている監督廣木隆一、脚本荒井晴彦の傑作の一つ。主人公のモノローグと彼女の内面の声を告げるサイレント映画的な黒画面の字幕が特徴的。この作品と、同年公開の『赤目四十八瀧心中未遂』で寺島しのぶは多くの賞を受賞。大森南朋も2003年度キネマ旬報ベスト・テン助演男優賞を受賞している。
監督:廣木隆一 出演者:寺島しのぶ(早川玲)、大森南朋(岡部希寿)、田口トモロヲ(警官)、戸田昌宏(ホテトルの客)、牧瀬里穂(雑誌の女)ほか
映画「ヴァイブレータ」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「ヴァイブレータ」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
ヴァイブレータの予告編 動画
映画「ヴァイブレータ」解説
この解説記事には映画「ヴァイブレータ」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
ヴァイブレータのネタバレあらすじ:起・さわりたい
3月14日、ホワイトデーの夜。外は雪。31歳のフリーのルポライター、早川玲(寺島しのぶ)はコンビニにワインを買いに来たのに、頭の中に聞こえる「声」が邪魔をしてなかなか買い物が済まない。
その時、コンビニに入ってきたいい感じの男に、彼女は「食べたい」と思う。男はすれ違いざま彼女の体に触る。コンビニを出た男を玲は追う。男が運転席で手まねきするトラックの助手席に玲は乗り込んだ。
男は岡部希寿[たかとし](大森南朋)という28歳のフリーの長距離トラック運転手。今の積み荷を翌朝納品した後、東京から新潟に行く。玲はスナック菓子をつまみに焼酎を飲む。「あなたにさわりたい」と玲は言い、やがて二人は肌を重ねる。
ヴァイブレータのネタバレあらすじ:承・道連れ
朝、トラックの外で焼酎とスナック菓子を吐いた後、「道連れにして」と玲は頼む。希寿のトラックは玲を助手席に乗せて、東京からまず川口に向かいタイヤを積み込む。
希寿は、「自分は結婚しているし女の子もいる」と言う。だがトラックが彼の住居だった。「昔は覚醒剤入りの冷凍マグロを運ぶ仕事がいい儲けになった、ストーカー女につきまとわれている」とおしゃべりを続け、深夜になり、違法無線で他のドライバーたちと交信して楽しむ。二人はトラックの中で寝るが、玲は希寿の寝顔をずっと見ていたかった。
ヴァイブレータのネタバレあらすじ:転・気持ち悪い
トラックは雪国を走り、朝、港に着き積み荷を降ろし、また走り出す。希寿はヤクザだった時代、続いてホテトルのマネージャーだった時代の思い出話しを始める。シンナーにはまっていたことも話す。一方、玲も食べ吐き(過食と嘔吐)にはまっていることを明かす。そして頭のなかで自分の考えが「声」として聞こえるのに悩まされていることも。
夜、希寿に勧められ、玲はボイスコンバータを介して声を変え、希寿のふりをして無線で話してみる。まるで自分でなくなくなるような感覚。だが、玲には不思議な声が聞こえる。
ラジオをつけると、その声はあるラジオのDJの声と同じだった。やがて不登校の思い出がよみがえり、不意に吐き気が起き、トラックを停めたガソリンスタンドで吐いてしまう。希寿は優しくしてくれるが、今はさわってほしくない。
ヴァイブレータの結末:声が消える
その夜はラブホテルに泊まる。二人で一つの湯船につかる。玲には希寿のことがちっともわからない。でも彼はあくまでも優しい。玲は彼の胸の中で泣き崩れる。
大衆食堂で二人は食事をとる。結婚しているなんて嘘でしょうと言う玲に、希寿は「妻も娘もストーカーもいない」と答える。食堂を出た後、4トンまでは普通免許で運転できるからと、希寿は玲にトラックを運転させてみる。最初は無理だと思っていた玲だったが、初めてのトラック運転は爽快な体験になった。
最初に二人が出会ったコンビニにトラックは戻ってきた。玲の頭の中の「声」は消えていた。いつかまた聞こえ始めるだろうが、その時は消えていた。玲は去っていくトラックを無言で見送る。玲は自分が、いいものになった気がする。
以上、映画「ヴァイブレータ」のあらすじと結末でした。
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