哀愁の紹介:1940年アメリカ映画。「風と共に去りぬ」のヴィヴィアン・リーと「クォ・ヴァディス」のロバート・テイラーが共演した戦争メロドラマ。戦時下で出会ったイギリス人将校と踊り子の恋模様がドラマチックに綴られた作品です。1953年制作の日本映画「君の名は」に登場する数寄屋橋は本作に登場するウォータールー橋を元にしていると言われています。
監督:マーヴィン・ルロイ 出演者:ヴィヴィアン・リー(マイラ・レスター)、ロバート・テイラー(ロイ・クローニン)、ヴァージニア・フィールド(キティ)、ルシル・ワトソン(マーガレット・クローニン)、マリア・オースペンスカヤ(マダム・キーロワ)、ほか
映画「哀愁」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「哀愁」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
哀愁の予告編 動画
映画「哀愁」解説
この解説記事には映画「哀愁」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
哀愁のネタバレあらすじ:起
1939年3月9日、ドイツと英国の開戦に揺れるロンドン。ロイ・クローニン大佐はウォータールー橋に一人佇み、物思いにふけっています。ロイは手の中の小さなビリケン人形を見つめながら、ある出来事を思い出していました。
第一次世界対戦のさなかのロンドン。ウォータールー橋に佇んでいたロイは空襲で一人の女性を救い出し、防空壕へ逃げ込みます。二人は空襲が止むのを待ちながら言葉を交わします。女性の名はマイラ、若いバレーダンサーです。ロイはマイラがその夜出演するという公演に招待されましたが、先約があったため断りました。マイラは今の公演が終わればアメリカへ発つと言い、ロイもまた翌日にはパリの前線に行くことが決まっていました。マイラは別れ際、幸運のお守りだというビリケン人形をロイにプレゼントしました。
その夜ロイは予定を変更し、マイラの公演を見に行きます。ロイはマイラに恋心を抱いていました。そしてデートを申し込む手紙を楽屋に届けます。女性だけのバレエ団において恋愛はご法度でしたが、マイラは親友キティの助けを借りてデートへ出掛けます。
哀愁のネタバレあらすじ:承
二人はその夜、ナイトクラブでディナーを楽しみ、キスを交わしました。ロイは戦地から手紙を書くとマイラに約束しますが、マイラはもう会うことはないだろうと告げます。マイラは未来に対して過度な期待をしてはいけないと自分に言い聞かせているようでした。
次の日、部屋で休んでいたマイラは、パリへ旅立ったはずのロイが宿舎の前に佇んでいる姿を目にします。マイラは大慌てで部屋を飛び出し、ロイに抱きつきます。マイラもまたロイを心から愛していました。ロイは地雷除去のため、出発が2日延期になったと話し、マイラに結婚を申し込みます。
唐突なプロポーズにマイラは戸惑いましたが、ロイの愛を受け入れる覚悟を決めました。叔父に結婚の許可をもらったロイとマイは、その足で教会へと向かいますが、規則により午後三時以降の挙式ができなかったため、明日あらためて式を挙げる約束をとりつけました。
マイラは宿舎に戻り、結婚が決まったことをキティに報告、キティは自分のことのように二人の結婚を喜びます。しかしその夜ロイが急遽前線へと旅立つことになりました。マイラは夜の公演をすっぽかして駅までロイを見送りにいきます。しかしこのことがバレエ団の団長マダム・キーロワの怒りを買い、マイラとマイラを擁護したキティはクビを言い渡されてしまうのでした。
哀愁のネタバレあらすじ:転
マイラとキティはアパートを借りて新しい生活を初めますが、再就職先が決まらず、貧困に陥ります。そんなある日、ロイの母マーガレットがマイラに会うため、ロンドンへやってくることになりました。マイラは約束したカフェに出掛けますが、そこでふと手にした新聞記事の戦死者リストにロイの名前が載っているのを目にしてしまいます。絶望したマイラは遅れてやってきたマーガレットにも不遜な態度を取ってしまうのでした。
アパートに戻ってきたマイラは、キティが生活のために娼婦を始めたことを知り、ショックを受けます。生きる意味を見失い、ウォータールー橋にぼんやりと立っていたマイラは見知らぬ男から声をかけられます。マイラもまた娼婦へと身を落としてしまうのでした。
数年後、ウォータールー駅で客を物色していたマイラは、帰還したロイと再会します。ロイの死亡記事は誤りだったのです。ロイはマイラとの再会を心から喜びますが、マイラの心中は複雑なものでした。結局マイラは娼婦であることを打ち明けられないまま、ロイとともにロイの故郷スコットランドで暮らすことになりました。
哀愁の結末
マーガレットやロイの叔父は、マイラを暖かく迎え入れます。しかし閉鎖的な近所の住民達らは踊り子上がりのマイラを侮蔑し、好奇の視線を浴びせます。マイラの心は罪悪感に苛まれていき、ついに娼婦をしていたことをマーガレットに打ち明けてしまうのでした。
明け方、マイラは置き手紙を残し、スコットランドを旅立ちます。ロイはすぐ後を追いかけ、ロンドンへと戻ってきます。しかしマイラはキティと暮らしていたアパートにも戻ってはいませんでした。ロイとキティはマイラを探して、街中を歩きまわります。ロイはマイラが娼婦をしていたこと言えずに苦しんでいたことを知りました。
その頃、マイラはウォータールー橋に一人佇んでいました。マイラは道に飛び出し、自ら命を絶ちました。
歳月がたってもロイはマイラへの思いを断ち切れずにいました。ロイは橋に佇み、マイラが囁いた愛の言葉を思い出しては悲しみ暮れるのでした。
以上、映画「哀愁」のあらすじと結末でした。
「哀愁」感想・レビュー
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モノクロ画面であることが、かえって新鮮に感じられた。俳優の一挙手一投足が、生き生きして見えた。
森鴎外の文学作品である舞姫に似たイメージがある。
裕福な留学生と貧困な美貌女性との運命的な出会いは、愛通ずる。
確か女性は、パラノイアとなり、物語は終わった。