リアリズムの宿の紹介:2003年日本映画。カルト的な人気を誇るつげ義春の漫画を題材にした作品。ひなびた温泉街を訪れた青年二人は海辺で出会った若い女性と一緒に旅をはじめますが、彼女は何も言わずに姿を消してしまいます。行き当たりばったりの奇妙な旅を続ける青年達の姿を独特なユーモアと悲哀を交えて描くロードムービーです。
監督:山下敦弘 出演者:長塚圭史(坪井小介)、山本浩司(木下俊弘)、尾野真千子(川島敦子)、康すおん(ポンちゃん)、山本剛史(船木テツヲ)ほか
映画「リアリズムの宿」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「リアリズムの宿」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「リアリズムの宿」解説
この解説記事には映画「リアリズムの宿」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
リアリズムの宿のネタバレあらすじ:起
とある山奥の寂れた駅、国英駅。旅行にやってきた脚本家の坪井と映画監督の木下は友人の船木が来るのを待っていますが、遅れているという連絡が入ります。顔見知りではあるものの、さして親しい間柄というわけではない二人は、戸惑いつつもとりあえず先に宿に向かうことにします。暇潰しに川で釣りをしたり、風変わりな外国人が経営する宿で露天風呂に入ったりして二人は何となく打ち解けていきます。翌朝海辺でバスを降りた二人は船木に電話しますが、一向に繋がりません。浜辺でぼんやりと海を眺めていると、半裸の若い女性が二人の元に駆け寄り助けを求めてきました。彼女の名は川島敦子、海で泳いでいたら服や荷物をすべて流されてしまったと事情を話します。敦子が原宿で一人暮らしをしていると知ると、東京からやってきた坪井と木下はどことなく親近感を持ちはじめます。そして一人で旅しているという敦子と一緒に行動するようになるのでした。
リアリズムの宿のネタバレあらすじ:承
その夜三人は一緒に温泉旅館に泊まることになりました。敦子を気に入った木下はテンションが上がりっぱなしで、家族構成や恋愛観まで根掘り葉掘り敦子から聞き出そうとします。カラオケスナックで恋愛と性欲の関係について論じ始める木下でしたが、童貞の木下よりも坪井のほうが恋愛経験は遥かに豊富です。坪井が六年間同棲していた彼女と最近別れたことを告白すると、敦子はリアルな恋愛話に興味津々で、坪井に色々と質問するのでした。翌日も三人はゲームセンターで遊んだりして宛てもなく町を彷徨います。そしてバス停でしばし休憩しますが、敦子はやって来たバスにふらりと飛び乗り、何も告げずに坪井と木下の前から姿を消してしまうのでした。
リアリズムの宿のネタバレあらすじ:転
喫茶店に入った坪井と木下でしたが、所持金も残り少なくなっていて、この先どうしようかと思案しはじめます。ポンちゃんというチンピラ風の中年男から話しかけられた二人は、ポンちゃんの弟分であるミツルから無料で泊まれる場所を紹介してもらえることになりました。しかし連れて来られたのは大家族が暮らすミツルの実家で、身の置き所がないと感じた二人は別の宿を探すことにするのでした。しかしやっと見つけた宿もくたびれた民家の二階で、再び他人の家に間借りしているような、居たたまれない気持ちになります。大雑把な家庭料理に汚い風呂、そして臭い布団に入ると二人はこの間抜けで悲惨な状況を笑わずには居られませんでした。木下は笑いながら敦子が今どうしているのだろうかと心配し始めます。彼は敦子が海で泳いでいたのではなく死のうとしたのではないかと考えていました。二人はいい女だったなぁと敦子についてしみじみと語り合いますが、彼女が何故突然姿を消したのか未だに分らないままなのでした。木下が東京に帰ったら脚本を一本書いてほしいと坪井に頼むと、坪井は一緒に書きましょうと答えるのでした。
リアリズムの宿の結末
あくる朝遅れていた船木がようやく国英駅に到着しました。宿を後にした坪井と木下は学生服を来た敦子が駅に佇んでいるのを見かけます。原宿で一人暮らしをしているというのは真っ赤な嘘で、敦子は地元の高校に通う女子高生でした。敦子は二人に気づきそっと手を振ります。坪井と木下は戸惑いながらもどこか安心したように微笑し、軽く頭を下げるのでした。坪井と木下は海沿いの道をただただ歩き続けます。そんな二人の後を船木も追いかけていくのでした。
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