闇の中の紹介:2006年日本映画。殺人を告白する美女と、彼女を治療する精神科医の狂気を描くエロティック・サスペンス。精神科医の新見のもとに、美しく妖艶な患者がやって来た。麗と名乗った彼女は、人を殺害したと告白する。新見は半信半疑のまま治療を始めるが、いつしか麗の魅力にのめり込んでいった。愛と肉欲が絡み合い、新見は麗のために狂っていく。主演を務めるのは、元人気お笑いコンビ「パイレーツ」の西本はるか。
監督:石川均 出演者:西本はるか(麗)、乃木涼介(新見洋介)、未向、亀谷さやか、石井英登、ほか
映画「闇の中」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「闇の中」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
映画「闇の中」解説
この解説記事には映画「闇の中」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
闇の中のネタバレあらすじ:壊れゆく日常
夜中にベッドで目を覚ました新見洋介(乃木涼介)は、隣で眠る妻の背中を見つめます。妻とセックスする夢を見た気がしました。いやあれは殺される夢だったと考え直す新見。そもそも、相手の男は自分ではなかったような気もします。妻の浮気相手は誰だろうと想像し嫉妬を覚えました。
新見は最近どうも記憶が曖昧で、少しずつおかしくなっているのを感じています。満員電車に揺られながら、新見は妻の浮気相手のことばかり考えていました。痴漢の誘惑に駆られますが、慌てて手を引っ込めます。
新見は自らが経営する「新見メンタルクリニック」に出勤しました。新見は精神科医として、様々な悩みや妄想を抱える患者の話を聞いています。新見は看護師と不倫していました。彼女は催眠術をかけられた状態で抱かれるのが好きでした。そう仕込んだのも新見です。催眠術は新見の特技でした。その看護師はしきりに「奥さんと別れて」と口にします。
闇の中のネタバレあらすじ:殺人の告白
「彼女に出会ってから、私は狂った。そして今でも狂っている…」新見はそんなことを考えます。「彼女」は新見の患者として現れました。麗(西本はるか)と名乗るその女は、非常に美しく、やけに妖艶で、新見は思わずじっと見つめてしまいます。
麗は「人を殺しました」と告白しました。しかし殺人の実感ははっきりあるものの、相手は知らない男で、夢だったような気もしています。新見は麗の妄想だと判断し、彼女がそれに気付けるよう詳しい話を聞きました…。
… 麗は被害者となる男と激しくセックスしています。男に馬乗りになった彼女は包丁を握り、男目掛けて勢いよく振り下ろしました。死体は袋に詰めた気もしますが、どうやって移動させたのかは覚えていません。しかし埋めた場所だけははっきりと記憶しています。
新見は麗の案内に従って車を出し、山中に入って行きました。そして土を掘り返してみると、本当に男の死体が埋まっています。新見は驚愕しつつも、男の内ポケットにあった手帳を抜いてその場を後にしました。病院に戻った新見は、麗を落ち着かせながら男の手帳を読んでみます。
どうやらこの男はミキというモデルを狙うストーカーだったようです。彼女のマンションが見える向かい側のアパートに侵入し、空き室に潜んで生活を盗み見していました。ミキはカメラマンと不倫していました。ストーカーはミキに電話し、彼女を脅迫していきます。電車で痴漢したり、ヌード写真を撮らせたり。ある日、ミキの態度に腹を立てたストーカーは、彼女を殺害しようと考えました。手帳の書き込みはそこで終わっています。
麗は誰がストーカーを殺害したのかとパニックになっていました。新見は彼女を抱きしめ「君じゃない」と繰り返します。そのまま麗とセックスした新見は、彼女の乖離性人格障害の可能性を考えました。麗はある時間ある場所では殺人者に変身するのかも知れません。
闇の中のネタバレあらすじ:深みにはまっていく新見
翌日。新見の妻は、昔の恋人に偶然会ったと喜んでいました。新見がテレビをつけると、山林で身元不明の遺体が発見されたとニュースになっています。間違いなく新見達が入った山でした。すると麗から電話がかかってきます。昨日よりぶっきらぼうな声で、やはり殺したのは自分ではない、死体が出たのは偶然だと早口に話しました。
新見はドッペルゲンガーについて考えます。その症状は、それが自分にそっくりという訳ではなく、年齢や容姿が違っても自分であると確信して疑わないことです。新見は看護師に、この病院を辞めたくなるよう催眠術をかけました。しかし彼女は「奥さんと別れて」としか言いません。
そこに麗が現れました。怖くて1人でいられないと言うのです。所謂多重人格のほとんどは、自覚のある演技だと新見は知っていました。麗は罪を逃れるために演技をしているのかも知れないと思い、観察してみることにします。麗は自宅マンションへ新見を連れて行きました。新見は知りませんがミキの部屋でもあります。
麗が買い物に出かけた後、新見は彼女のパソコンを操作し「ボクの女王様」というホームページを見つけました。そこにはマゾヒストの男による、Lという女王様との体験が綴られています。男はLから様々な苦痛や辱めを受け、これ以上無いほど興奮しました。そしてある日、男はLから刃物を買えと命じられます。男はやっとLに殺して貰えると思い、それがどれほどの快感をもたらすのか考え恍惚に震えました。
それを最後にホームページは更新が止まっています。帰宅した麗の誘いで、2人はアブノーマルなセックスに興じました。新見は更に麗に夢中になっていきます。
闇の中のネタバレあらすじ:別人格達
翌日。新見は妻から、本当に昔の恋人と会って良いのかと聞かれました。新見は昨夜許可したらしいのですが、全く記憶にありません。その後、外を歩いていた新見は、突然車に追いかけ回されました。運転席に座っていた男が顔を出し、「あの女にこれ以上近付くな」と警告して去って行きます。
新見は興味を失った看護師と別れることにしました。自分が愛しているのは妻だと言って、金を置いて店を去ります。病院へ行くと麗が待っていました。新見は催眠術による治療を彼女に施すことにします。目を開いた麗は、ぶっきらぼうに「あんた誰?」と睨みつけてきました。麗の別人格のようです。更に、ミキやLも麗の別人格でした。ミキはカメラマンから、新見が看護師にかけた言葉とそっくり同じ文句で別れを告げられ、彼を毒殺しています。Lは男に興味が無く、今の人格は男に殺意を向けていました。
新見は自分が麗を救うと叫び、誰よりも麗を愛し、誰よりも麗に狂っていると主張します。誰よりも狂っている自分は何をするか分からない、だから麗から出て行けと凄みました。しばらくして、新見の前に脅迫の男が再び現れました。彼は「問題が起きてる。彼女があんたに惚れ始めた」と告げます。
闇の中の結末:新見の妻
新見は麗の部屋を訪ねました。迎える麗は落ち着いていて、新見は自分の催眠治療が効いたのだと思います。麗は本当に幸せになりたいと呟きました。新見が同意すると、麗はぶっきらぼうに「じゃあ奥さんと別れて」と言い出します。新見はそれを受け入れました。
もうひとつ隠し事があると言う麗は、今夜向かいのアパートからこの部屋を見ていて欲しいと言い出します。そこはストーカーがミキを見ていた部屋でした。夜、新見が麗の部屋を見ていると、彼女が電話をかけてきます。ヨウコと名乗ったその声は、麗の別人格でした。
新見への好意を告げたヨウコは、自分の愛を見せると言います。すると脅迫の男が包丁を持って麗の部屋に現れました。ヨウコは冷静にその包丁を受け取り、男を刺殺してしまいます。新見が慌てて部屋に駆け付けると、死体を前に麗は笑っていました。ストーカーの死体を始末したのは、脅迫してきた男だったようです。
新見は以前彼がそうしたように、死体を袋に入れて山へ向かいました。そして人目につかない崖の上から袋を蹴り落とします。彼はとても尽くしてくれたと麗は話しました。しかし麗もヨウコも新見の方を好きになったので、脅迫してきた男は邪魔になったのだそうです。
麗の愛を受け取った新見は、麗と結婚しました。「私は妻を愛している」と新見の独白。
―― 麗が誰かとセックスしています。馬乗りになった彼女は包丁を握り、男の体に突き立てる前に寸止めしました。男はにやりと笑います。新見は、ある日妻は昔の男に抱かれた、と語りました。麗のセックスを新見がじっと見続ける中、この映画は終わりを迎えます。
以上、映画「闇の中」のあらすじと結末でした。
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