芳華 Youthの紹介:2017年中国映画。ヴェネチア映画祭やトロント映画祭など数々の映画賞に輝く中国映画の巨匠フォン・シャオガン監督が、軍の歌劇団に所属した自らの若き日々を同じ経歴を持つ作家ゲリン・ヤンと共に作り上げた歴史ドラマです。1970年代の文化大革命に揺れた時代の中国を舞台に、軍歌劇団として前線で生きる若者の姿を壮大なスケールで描きます。
監督:フォン・シャオガン 出演者:ホアン・シュワン(リウ・フォン)、ミャオ・ミャオ(シャオピン)、チョン・チューシー(シャオ・スイツ)、ヤン・ツァイユー(リン・ディンディン)、リ・シャオフェン(ハオ・シューウェン)、ワン・ティエンチェン(チェン・ツァン)、ヤン・スー(文工団分隊長)、チャオ・リーシン(文工団政治委員)ほか
映画「芳華 Youth」ネタバレあらすじ結末と感想
映画「芳華 Youth」のあらすじをネタバレ解説。予告動画、キャスト紹介、感想、レビューを掲載。ストーリーのラストまで簡単に解説します。
芳華 Youthの予告編 動画
映画「芳華 Youth」解説
この解説記事には映画「芳華 Youth」のネタバレが含まれます。あらすじを結末まで解説していますので映画鑑賞前の方は閲覧をご遠慮ください。
芳華 Youthのネタバレあらすじ:起
1976年。当時17歳だったシャオピン(ミャオ・ミャオ)は、人民解放軍の文工団へ入団しました。文工団とは前線の兵士を慰問したり、前線や軍関係のイベントなどで音楽や踊りを披露しては兵士たちを慰労する、軍専属の芸能部隊のことです。
シャオピンの父は10年前に反革命分子とみなされて強制労働所に連行され、その後再婚した母はシャオピンに冷たくあたったのです。人間らしい扱いをされなかったシャオピンにとって、食事や宿舎、シャワーが与えられる文工団での暮らしは、まさに夢のようでした。
模範兵のリウ・フォン(ホアン・シュワン)に連れられて団員たちと合流したシャオピンは、父に自分の成長した姿を見せるために、写真を撮ろうと思いつきました。しかし、シャオピンはまだ軍服が支給されていないため、同僚のリン・ディンディン(ヤン・ツァイユー)の軍服を無断で借りて写真を撮りました。
ところがこのことはすぐに大騒ぎとなり、シャオピンは寮長のハオ・シューウェン(リ・シャオフェン)から叱責されますが、ディンディンは「言ってくれたら貸してあげたのに」と彼女を庇いました。
この年は毛沢東元国家主席の死去により、予定されていた公演が中止となり、更には周恩来元首相の死去、唐山地震、“文化大革命”を指導した四人組の逮捕などまさに歴史の転換期にありました。
芳華 Youthのネタバレあらすじ:承
1978年。シャオピンは汗の臭いがきついと言われて劇団員から日常的ないじめを受けていました。そんなシャオピンに手を差し伸べてくれるのはただ一人リウ・フォンだけでした。そんなある日、団員のシャオ・スイツ(チョン・チューシー)の父が名誉を回復したことがわかり、シャオピンはいつか自分の父も名誉が回復される日が来るのではと望みが生まれました。
しかし、シャオピンの父は既にこの世にはなく、リウ・フォンはシャオピンに遺品の手紙や手編みのセーターなどを渡しました。手紙にはシャオピンへの変わらぬ愛情と会えないことへの無念さが綴られており、リオ・フォンは「泣けばいい」と優しくシャオピンに諭しました。
リウ・フォンは文工団の政治委員から軍政大学に行くことを薦められていましたが、別の人に譲っていました。ある日、スイツが想いを寄せているトランペット担当のチェン・ツァン(ワン・ティエンチェン)が、テレサ・テンのカセットテープを団員たちに聴かせてくれました。リウ・フォンはその歌に自らの心情を重ね合わせ、かねてから想いを寄せていたディンディンに「僕はここにいたかったんだ、君がいるから」と愛の告白をしました。
しかし、このことは文工団の仲間たちや上層部に問題視され、リウ・フォンは伐採部隊へ左遷させられることになりました。ただ一人だけリウ・フォンを見送ったシャオピンは文工団に不信感を抱くようになり、怪我をした主役の代役に抜擢されたにも関わらず、仮病を使って拒んでしまいます。シャオピンは仮病を見破った政治委員によって野戦病院に異動させられることとなりました。
芳華 Youthのネタバレあらすじ:転
1979年、中国とベトナムとの間では中越戦争の激戦が続いていました。副中隊長に昇進していたリウ・フォンは部下を率いて最前線で戦っていましたが、次々と仲間たちは倒れて行き、そしてリウ・フォンもこの戦いで右腕を失ってしまいました。リウ・フォンは叶わぬディンディンへの想いを抱きながら死を覚悟していました。
その頃、野戦病院で看護師として働いていたシャオピンは、全身に大火傷を負って運び込まれた一人の少年を介護していました。少年は実は16歳であり、軍隊に入る年齢ではありませんでしたが、家族のために年齢を誤魔化して入隊したのです。シャオピンは少年のひたむきさに思わず涙ぐみました。
その後、シャオピンは報道班入りして現地に入ったスイツと再会、ディンディンへの「リウ・フォンを傷つけたことを絶対に許さない」という伝言をスイツに託しました。やがて戦争は終結しますが、シャオピンは精神を病んでしまい、一命を取り留めたリウ・フォンの呼びかけにも応じることはありませんでした。
1980年。文工団の団員の間では解散するのではないかという噂が流れていました。チェン・ツァンは自分は実は幹部の子弟であることを明かし、解散の噂は本当であると語りました。同じく幹部の娘であるシューウェンは驚きながらも彼に惹かれていきました。
正式に文工団の解散が決定し、最後の公演が催されることになりました。観客の中にはシャオピンの姿もありました。舞台を見ていたシャオピンは自然と手足が動き出し、いつしか会場を出て、生き生きとした表情で踊り始めました。
解散の日、スイツは意を決してチェン・ツァンへ恋文を渡そうとしましたが、そこに現れたシューウェンはチェン・ツァンと付き合い始めたことを明かしました。深く衝撃を受けたスイツは泣きながら恋文を破り捨てました。
その後、久しぶりに文工団の寮を訪れたリウ・フォンはスイツと再会、既に大学への進学を決めていたスイツに祝福の言葉をかけました。寮にはボロボロになったシャオピンの軍服姿の写真がありました。
芳華 Youthの結末
1991年、海南省・海口。シューウェンとチェン・ツァンは結婚して子供をもうけていました。ある日、作家となったスイツの出版会見の場を訪れたシューウェンは、近くの交番でリウ・フォンが取り上げられた車を返してほしいと警官に抗議していました。
リウ・フォンの義手が外れたのを見たシューウェンは、戦争の英雄で傷痍軍人を酷く扱うのかと憤り、代金を肩代わりして車を取り返してあげました。
1995年、雲南省・蒙自。リウ・フォンはシャオピンと再会を果たし、中越戦争で命を落とした仲間たちの墓参りに向かいました。シャオピンは16歳で命を落としたあの少年兵の墓を見つけることができませんでした。
その帰り、リウ・フォンは寮の部屋から見つけたシャオピンの写真を渡しました。シャオピンは驚きながらも、これまで言えなかった想いを打ち明けました。「私を抱きしめて」リウ・フォンは優しくシャオピンを抱き寄せ、シャオピンもまた彼の肩に頭を埋めました。
以上、映画「芳華-Youth-」のあらすじと結末でした。
この映画の感想を投稿する